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米誌が選んだ無名のスマートなスタートアップ

2016年7月4日(月)

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 米誌「MIT Technology Review」が、今年も「最もスマートな会社50選」を発表した。この場合のスマートとは、賢いという意味。テクノロジーに強い同誌のお眼鏡にかなった企業がずらりと並んでいる。毎年順番が変わって、企業の技術力を測る指針にもなるので興味深い。

 このリストには、米Amazon.comや米Tesla Motors、米Googleの親会社である米Alphabetなど、一般にもよく知られた企業だけでなく、あまり有名でないが独自の分野で大いに注目されている企業も名を連ねる。今年は、医療関連やDNAシークエンシング技術などのスタートアップが多いのが特徴だ。医療テクノロジーが本当に進化しているのだと感じさせる。

 そのリストの上位から、一般に有名でない企業、IT関連でない企業を拾ってみよう。

再生エネルギーのためのクリーンなバッテリーを開発

 米Aquion Energyは、カーネギーメロン大学の素材科学研究者が創設したスタートアップで、太陽光や風力などによって発電した電気を蓄電する新型バッテリーを開発した。通常は鉛電池がこの目的のために使われるが、毒性が強く、気温が高い地域では性能が劣化していく。塩水電池と呼ばれる同社のバッテリーは、非毒性の素材を組み合わせて作られていて安全で、価格も安く、性能も数倍高いという。再生エネルギーのためにバッテリーもグリーンにした、という例だ。ビル・ゲイツやベンチャー・キャピタル大手のKPCBが投資している。

遺伝子テストキットを100ドル以下で販売

 米23andMeは、その人が潜在的にかかる可能性が高い病気が分かるという遺伝子テストキットを100ドル以下で売り出したことで有名になった会社だ。共同創業者の一人、アン・ウォジスキ氏が、Googleのセルゲイ・ブリン氏の妻(今は元妻)であることも話題になった。

 2007年から販売が始まった同社のキットは、FDA(連邦食品医薬局)の認可なしにあまりに多くの種類の病気を扱っているとして、アメリカでは販売が制限されていた。その後、一部の遺伝病や「先祖の組成」にレポートを絞ってテストを再開している。同社がこれまで集めた1000万人分の遺伝子情報は、集合的に医療研究にも提供されている。

 ちなみに、先祖の組成というのは、遺伝子の分析から自分の先祖が世界のどこの民族や地域の出身なのかを、その構成度で表してくれるものだ。人種のるつぼのアメリカ人にとって、これは今、大きな関心ごとになっているようである。

遺伝子治療を血友病などに適用

 米Spark Therapeuticsは、遺伝子治療を血友病や遺伝性視覚障害の治療などに生かそうとしている会社だ。既に上場企業だが、もともとはフィラデルフィアの児童病院で始まった研究が元になっている。臨床試験ではいい成果が出ているとのことで、期待が高まっている。遺伝子治療がもうそこまで来ていると感じさせる。

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「米誌が選んだ無名のスマートなスタートアップ」の著者

瀧口 範子

瀧口 範子(たきぐち・のりこ)

ジャーナリスト

シリコンバレー在住。テクノロジー、ビジネス、社会、文化、時事問題、建築、デザインなどを幅広く日本のメディアに寄稿。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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