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「勝者」しか住めなくなったシリコンバレー

2017年8月5日(土)

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 稀有な発展を遂げたシリコンバレーの良いところは、言い尽くせないほどある。新しいテクノロジーやビジネスモデルが常に生まれ、優れた才能が世界から集まる。起業に挑戦する果敢さも溢れていて、同時に失敗も学習機会として捉えられる。

 しかしその一方で、シリコンバレーのひずみや失敗もここ数年明らかになってきた。最大の問題は、シリコンバレーが「勝者」しか住めない町になってしまったことだ。シリコンバレーのスタートアップは、事業の失敗であれば「ピボット(方向転換)」によって成功に導いているのだが、ことにシリコンバレーにおける社会的な失敗は、なかなか修正されそうにない。深く構造的な問題になりつつあるからだ。

シリコンバレー住民の30%が公的サポートに頼る

 シリコンバレーの社会的な失敗の事例をいくつか紹介しよう。ひとつは貧富の差だ。2016年末に「オープン・インパクト(Open Impact)」というNPOが発表したレポートによると、シリコンバレーに住む「ミリオネア」や「ビリオネア」の数は7万6000人にも上るが、その一方で住民の30%近くは日々の食事もままならず、公的、私的の何らかの生活サポートに頼っているという。30%とはかなりの割合だ。

 ホームレス人口も、豊かな土地からは想像できないほどに多い。スタンフォード大学があるパロアルトや米Google本社のあるマウンテンビューを含むサンタクララ郡の調べでは、2017年1月時点で同郡のホームレス人口は7394人で、前回調査のあった2015年から838人増えた。

 中でも25歳以下の若者や子供が、全ホームレス人口の3分の1を占めているという。実際、最近はサンフランシスコでもシリコンバレーでも、街を歩いているとホームレスの人々があまりに多いのに、異常な印象を受けるほどだ。

住宅価格は100万ドルを突破

 住宅問題も同様に深刻だ。住宅価格の高騰げが止まらず、サンタクララ郡では2017年5月時点で、一戸建ての中間価格が前年度から9.3%上昇して109万3000ドルになった。米Facebook本社のあるメンロパークを含むサンマテオ郡の中間価格は138万5000ドルでさらに高い。

 しかも中間価格の数字は実態を表していない可能性がある。シリコンバレーでよく目にする売家には、300万ドルや500万ドルと値札が付けられている。サンフランシスコ市内でもワンベッドルームのアパートの賃貸料が、今や4000ドルを超えているのも珍しくない。現実離れした現象と言えないだろうか。

写真●年収1000万円越えでも暮らしていくのが難しくなったサンフランシスコ市内
撮影:中田 敦
[画像のクリックで拡大表示]

 住宅問題には解決策が見当たらないため、シリコンバレーはますます勝者しか住めない場所になっていくはずだ。こうした住宅問題や格差問題、ホームレス問題は、当然のことながら互いに関連している。今はまともな住宅に住めなくなった家族がキャンピングカーの中で生活したり、路上のホームレスになったりしている状態だが、そのうち彼らはシリコンバレー自体にいられなくなってしまうだろう。

コメント4件コメント/レビュー

シリコンバレーとサンフランシスコに計20年住んだ後、日本に戻り8年になります。今は東京に住んでいますが、感心するのは公共交通機関の充実ぶり。そして実に狭いところに大勢の人が働き、暮らしているということ。都市計画で云うところの理想のハイデンシティー化が実現しています。SVもSFもTokyoをモデルとして都市化すべきじゃないでしょうか? まあ、SFのあの美しさは守って欲しいのですが。(2017/08/07 18:32)

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「「勝者」しか住めなくなったシリコンバレー」の著者

瀧口 範子

瀧口 範子(たきぐち・のりこ)

ジャーナリスト

シリコンバレー在住。テクノロジー、ビジネス、社会、文化、時事問題、建築、デザインなどを幅広く日本のメディアに寄稿。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

シリコンバレーとサンフランシスコに計20年住んだ後、日本に戻り8年になります。今は東京に住んでいますが、感心するのは公共交通機関の充実ぶり。そして実に狭いところに大勢の人が働き、暮らしているということ。都市計画で云うところの理想のハイデンシティー化が実現しています。SVもSFもTokyoをモデルとして都市化すべきじゃないでしょうか? まあ、SFのあの美しさは守って欲しいのですが。(2017/08/07 18:32)

1990年代後半にも同様の状況がありました。学校の先生や警察官、消防士などの公共サービスの担い手がシリコンバレーに住めず、何十キロも離れたところから通う必要がありました。また当時もパロアルトにトレーラーハウスが出現しました。
確かに市場原理のメッカシリコンバレーですから、公的機関の出番ではないのかも知れませんが、当時活躍した、地域活性化をリードする産学官連携NPO(ジョイントベンチャーシリコンバレーネットワーク)などの出番ではないでしょうか。サステナブルな地域であり続けるために、個人ベース、企業ベースで自発的に様々なプロジェクトが出てこないものかと思います。それこそがシリコンバレー的と思うのですが。(2017/08/07 11:51)

シリコンバレーに限らず、成功しているという企業は租税を適切に納めているとは言えませんので、利益を享受している人や企業以外にとっては、ありがたい存在とは言いがたいですね。
そして勝者同士も競争で優劣が付いていく。成功って何だろうかと考えてしまいます。(2017/08/07 08:56)

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