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「脳型コンピュータ」の道険し

2015年12月15日(火)

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 脳を参考にすることで、全く新しいコンピュータを生み出せるのではないか――。世界中で「脳型コンピュータ」に関する研究開発が進められている。しかし脳型コンピュータの実現は容易ではない。それを象徴するスタートアップがある。米Brain Corporationだ。

 事業内容を隠して活動する「ステルス」の状態を脱し、2015年9月に初めての製品を発売したBrain Corporationは、二つの意味で注目に値するスタートアップだ。一つ目の理由は、同社が2015年9月に小型ロボット開発用の商用ソフトウエア「BrainOS」を発売したこと。もう一つの理由は、同社が脳型コンピュータの開発から事業転換して、ロボット用ソフトの発売に至ったということだ。

写真1●米Brain Corporation Senior Vice PresidentのTodd Hylton氏
[画像のクリックで拡大表示]

 カリフォルニア州サンディエゴに拠点を置くBrain Corporationは、米Qualcomm社や米国防高等研究計画局(DARPA)から出資を受け、「脳の神経回路に着想を得た新型コンピュータの基礎研究を行っていた」(同社Senior Vice PresidentのTodd Hylton氏、写真1)ことで知られる。

 2009年に同社を起業したのは、脳やその一部をコンピュータ上に再現し、脳内の電気活動を計算する「脳神経系シミュレーション」の研究者であるEugene Izhikevich氏。脳神経系シミュレーションに詳しい国立情報学研究所(NII)情報学プリンシプル研究系の小林亮太助教は「Izhikevich氏は、脳の中にあるさまざまな神経細胞のシミュレーションに成功し、世界に先駆けて脳全体のシミュレーションに挑戦したことから、同分野では非常に有名だった」と語る。

「SyNAPSE」のプロジェクト責任者も参加

 さらに2012年に同社に加わったHylton氏は、DARPAでニューロン細胞の機能を再現するチップの開発プロジェクト「SyNAPSE(Systems of Neuromorphic Adaptive Plastic Scalable Electronics)」を立ち上げた人物。2人の有名人が主導する同社は、脳型コンピュータの開発を目指す研究者の中で、知られた存在だった。

 しかし実際にBrain Corporationが9月に発売したBrainOSは、ARMプロセッサを搭載する小型Linuxコンピュータ「Raspberry Pi 2」で動作する、ロボット用のミドルウエア群だった。

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「「脳型コンピュータ」の道険し」の著者

中田 敦

中田 敦(なかだ・あつし)

シリコンバレー支局

1998年慶應義塾大学商学部卒業、同年日経BP社に入社。ITproや日経コンピュータを経て、2015年5月からパロアルトに開設したシリコンバレー支局を拠点に、シリコンバレーの最新事情を取材中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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