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キヤノン電子社長 酒巻久氏に聞く

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2015年12月2日(水)

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工場から椅子を撤廃したことなどで注目されるキヤノン電子は、1999年に社長に就任した酒巻久氏が徹底的な経営改革で業績を改善させた。その酒巻氏の最新刊は『見抜く力』。見抜くとはどういうことなのか、どうしたら実行できるのか。経験に基づいた見抜き方と、改革目標への到達の仕方などについて、日経トップリーダー「週刊 社長@ボイス」キャスターの内田まさみさんが聞いた。

人や物事を見抜くのは大変難しいことですが、酒巻さんは先日『見抜く力』という本を出版されました。

酒巻久(さかまき・ひさし)氏 1940年、栃木県生まれ。67年キヤノンに入社。複写機、ワープロの開発などを経て、96年に常務。99年にキヤノン電子社長に就任。6年間で売上高経常利益率10%超の高収益企業へと成長させた。 (写真・山田健二、以下同)

酒巻:見抜くというのは難しい、だから、見抜けないことをいろいろと集めてみて、その逆のことをやればいいんじゃないかと思って書いたのが、『見抜く力』です。見抜くのが難しいと思ったなら、何がそこにあるから見抜けないのかを考えれば、見抜けるようになるんじゃないか、ということです。

 見抜くことは、先を見ることと一緒です。人を、市場を、技術の展開を見抜くことは、先を読むことだと私は考えています。

 例えば、今日、帰り道で事故に遭うかどうかは分かりません。でも、あの場所はいつも車が飛び出してくるところだと予測はできます。そうやって予測して、その場所で車に注意をすれば、それは先が見えたのと同じことではないでしょうか。

 ですから、相手が人でも企業でも、さまざまなデータをとって、それに基づいて行動すれば、それは見抜けたということだ、というのが私の言い分です。

これから作るものを、いつかダメにする存在を予測する

その見抜く力は、商品開発などにも生かされるのでしょうか。

酒巻:そうです。例えば今はデジカメ全盛の時代ですが、デジカメの売れ行きを鈍らせるような商品は何かを自分なりに考えて、考えついたら、その設計に入るのが一番いいのです。

 そうやって、次に負けるべき商品に向けて新しい商品を作っていけば、必ず勝てます。そういう商品を作れる人は「天才だ」などと言われますが、そうじゃないんです。タイミングを見ているんです。私はそれをずっとやってきていて、いつも、10年、20年早すぎる、だから売れないと言われてきました。

 キヤノン時代の今から30年ほど前に、「NAVI」というパソコンを作ったことがあります。これは、今のスマートフォンとほとんど同じ機能を持っていました。据え置きですが、画面はタッチパネルになっていて、電話ボタンを押すと電話機能になって、ゲームボタンを押すとゲーム、ワープロボタンを押すとワープロといった具合です。

 それから当時のパソコンは、背面のケーブルの配線が汚いものが多かったから、後ろから見てもきれいなパソコンを作りました。

 ただ、早すぎた。結局、販売中止になりました。その後、私はキヤノン電子に移ったんですが、どこかのターミナル駅近くの喫茶店に、そのNAVIが置いてあったのを見つけたんです。

 「これ、動くんですか」と聞いたら「動きます」と。「何でこの店に置いているんですか」と聞いたら「機能が豊富だし、前から見ても後ろから見てもきれいでこのデザインが気に入っているから」と、そこのお嬢さんが言う。「それは私が命懸けで設計したものなんです」とお伝えしたら、とても喜んでくれましたね。「次の商品が出るのを待っていたんですよ」とも言われました。こういう人がいたんだと、嬉しくなりました。

 私は先読みをしすぎて早すぎたんですが、でも、遅すぎるよりはいいんです。早すぎた場合でも技術と人は残りますから、そういう時代が来たときに活用できます。遅すぎると、残るのは借金だけ。もちろん、一番いいのはお客さんが欲しがるタイミングで作ることです。

 NAVIをやってみて感じたのは、これから作るものをいつかダメにする存在を予測して、そのいつかが来たときに対応できる人材を、時間をかけて育てるのがいいんじゃないかということです。

 特許を例に挙げますと、出願するときに、その特許を潰す、つまり使えなくする可能性を持つものをすべて考えておきます。それらについて先に対策を打っておくと、その特許はずっと生きます。先を見るには、転ばぬ先の杖を用意しておくことが重要です。

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