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オレたち黄昏バブル入社組

50代を目前に立ちすくむ学歴エリートたち

2015年8月3日(月)

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 出世のためには深夜残業や休日出勤もいとわず、家庭を犠牲にして会社に滅私奉公する──。典型的な日本のサラリーマンを、作家の安土敏は会社に飼われた「社畜」と表現した。社長の指示で不正会計に手を染めた東芝社員もまた社畜である。

日経ビジネス8月3日号「社畜卒業宣言

 だが、会社に忠誠を誓う代わりに雇用を守る暗黙の「契約」を、会社は反故にし始めた。世界競争にもまれる中、かつて大量採用した「バブル入社組」を支えきれなくなってきたのだ。捨てられるバブル入社組。だがそれを「卒業」と考えれば、必ずしも不幸ではない。

 日経ビジネス8月3日号の特集「社畜卒業宣言」では、「契約不履行」に走り始めた企業の実態と、それによって、居場所をなくし始めたバブル入社組の姿を描き、その先にあるべき未来の雇用形態を探った。

 この連載では、特集の連動企画として、誌面では紹介しきれなかったアンケート結果の詳細や、新たな働き方を始めた先駆者の試みなどをリポートする。手始めに、取材した実話を基に構成したストーリーを通じて、会社による一方的な契約不履行に直面して困惑するバブル入社組の実像を浮き彫りにする。

(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 日中の最高気温が35度近くに達し、今年一番の暑さとなった7月中旬の夕方。東京都内の中堅広告代理店に勤める小泉洋(46歳)は、額から吹き出る汗をハンカチでぬぐいながら、神楽坂上の路地裏にあるもつ焼き屋を目指して、坂道を上っていた。

 1980年代の6年間を同じ校舎で過ごした中高一貫校の同級生たちと、その店で旧交を温めることになっていた。同校は、今も東京大学の合格者数ランキングで全国上位に名を連ねる、都内有数の進学校である。

 小泉が在学していた当時も、クラスメートの多くは東京大学か、医学部を目指した。だが、小泉は違った。たまたまテレビで京都大学のアメリカンフットボール部が日本一になった試合を観戦し、魅了される。同部の一員になることを夢見て、京都大学を志望した。しかし一浪の末、受験に失敗。夢破れて、第2志望だった都内の私立大学に入学した。1988年春のことだ。

 こんなことを思い出したのは、店に先に来ていたのが、高校の同じクラスで机を並べた安田圭だったからだ。高校時代はさほど親しくはなかったが、偶然、同じ大学に進学した。高校でラグビー部だった安田は、大学ではラグビーサークルに入り、小泉はアメフトサークルの門をたたいた。双方の部室が同じ校舎の地下1階にあったことから、大学の4年間はよく顔を合わせ、言葉を交わした。

 しかし大学を卒業してからは再び疎遠となり、会うのは2年ほど前に開かれたクラス会以来だった。

 向かいの席に座ると、「ほかのやつらからは遅れるとのメールが来たよ」と安田。「先に乾杯するか」。中ジョッキを傾けて生ビールをぐいっとあおると、いきおい、話は大学時代にフラッシュバックした。

「永遠に続く気がした」バブルの狂騒

 2人が大学に入った88年。日本は、後に「バブル」と呼ばれる異様な時代のとば口にあった。株価や地価の高騰が連日報じられ、世の中の雰囲気がそれまでと一変した。

 浪人中だった前年の10月にはブラックマンデーが起き、「大学に入る頃には恐慌が起きて、アメフトどころじゃないかもしれない」と焦り、普段は読まない新聞の記事に食い入るように目を走らせた。それからわずか半年しか経っていないのに、遠い昔のことのように感じられた。

 入部したばかりのアメフトサークルの同期数人に連れられて、初めて入ったディスコ。そう。あれは確か、新宿・歌舞伎町の旧コマ劇場の向かいにあった「ニューヨーク・ニューヨーク」だ。

 薄暗い照明の中、当時、日本でも大流行していたカイリ―・ミノーグの「ロコモーション」や、リック・アストリーの「ネバー・ゴナ・ギブ・ユー・アップ」が次々とかかり、若い男女が身体を揺らした。2年近くも勉強漬けの日々を送っていた小泉は、別世界に迷い込んだような錯覚に陥った。

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「オレたち黄昏バブル入社組」の著者

中野目 純一

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス副編集長

2012年4月から日経ビジネス副編集長。マネジメント分野を担当し、国内外の経営者、クリステンセン、ポーター、プラハラードら経営学の泰斗のインタビューを多数手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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