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今こそ「社畜」と決別しよう

取材班キャップの編集後記

2015年8月11日(火)

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 日経ビジネス8月3日号の特集「社畜卒業宣言」では、会社に忠誠を誓う代わりに雇用を守る暗黙の「契約」を反故にし始めた企業の実態と、それによって、居場所をなくし始めたバブル入社組の姿を描き、その先にあるべき未来の雇用のあり方を探った。

 特集の連動企画として展開してきた本連載の最終回は、バブル入社組である取材班のキャップの編集後記を掲載する。

 まずは特集のPART1で克明に描写した、希望退職の募集を巡って揺れ動くシャープのバブル入社組社員のその後を追う。そこで浮き彫りになる、企業側の一方的な都合で切り捨てられるバブル組の姿。だが、それを「卒業」と考えれば、必ずしも不幸ではない。自らの意思で社畜と決別した先に訪れる会社と社員の関係について提言する。

3500人規模の希望退職を募集したシャープ(山田 哲也、以下同)

 シャープのバブル入社組、遠山力也(46歳、仮名)は、悶々とした夏休みを過ごしている。7月下旬、会社が募集した3500人規模の希望退職に手を挙げた。年齢的に「会社を変わるなら、ここが限界」と考えたからだ。

 部長から受け取った「退職願兼希望退職適用申請書」を見て驚いた。A4の用紙が1枚。しかも記入欄のほとんどは既に埋められており、日付と名前を入れるだけの状態になっていた。

 「24年働いて、最後はこれだけか」

 名前を書き込んで部長に渡すと、こう言われた。

 「一応、受け取るが、受理されるかどうかは分からんぞ」

 希望退職の対象は「2015年9月30日時点で満年齢が45歳以上59歳以下かつ勤続5年以上」の正社員。遠山は間違いなくこの基準を満たしている。だが退職金の特別加算金を受け取れるのは会社が制度の適用を認めた人だけ。認められない人は、通常規定通りの退職金しかもらえない。

 選考の基準は会社がその人を「必要とするかどうか」である。「必要ない」と判断した人には特別加算を認める。「どうぞ辞めてください」という意味だ。「必要」と評価する人には加算を認めない。「お前は辞めるな」ということである。

 皮肉なことに「必要ない」と判断された人の手続きはスピーディーに進む。直属の上司から担当役員までの承認印が次々に押され、早ければものの数日で受理される。「気が変わらないうちに辞めてもらおう」というわけだ。

 「必要」な人の手続きには時間がかかる。遠山は7月30日に申請書を提出したが、今現在、会社からのお沙汰はない。

つかの間の安堵に浸ったが…

 「受理されないかもしれないぞ」

 部長にそう言われた時、遠山は少しほっとした。

 「つまり俺は、会社に必要な人間だった、というわけだ」

 そう思うと、24年間の働きぶりが認められたようで悪い気はしなかった。部長に「分かった」と言われたら、自分は会社にとって「必要ない」人間だったことになる。

 だが自尊心に浸る時間は長くはなかった。遠山はすぐに、自分を待ち受けている現実の厳しさに引き戻された。

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「今こそ「社畜」と決別しよう」の著者

大西 康之

大西 康之(おおにし・やすゆき)

ジャーナリスト

日本経済新聞産業部記者、欧州総局(ロンドン)、日経ビジネス編集委員、日本経済新聞産業部次長、産業部編集員などを経てフリーのジャーナリストに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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