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カミングアウトは自分のため、そして周りのため

「男のフリ」をやめた安冨歩・東京大学教授インタビュー

2015年9月3日(木)

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 8月24日号の日経ビジネス特集「究極のダイバーシティー LGBT」では、企業や大学で働くLGBT当事者6人を「7.6%の実像」(7.6%は日本の人口に占めるLGBT比率)として掲載した。

 そのうちの一人でトランスジェンダーの東京大学東洋文化研究所の安冨歩教授は、過去2回日経ビジネスオンラインに登場している。2012年(個人の創造性を根絶やしにする日本社会の「立場主義」)と2014年(“立場主義”が日本を破滅させる)、そして今回と、インタビューの中の写真を見ると安冨教授の変化は一目で分かる。女性の格好で外出し始めるようになったきっかけや、心境の変化などを詳しく聞いた。

(聞き手は齊藤 美保)

女性の格好で外出するようになり約1年ですが、振り返るとどんな1年間だったでしょうか。

安冨 歩(やすとみ・あゆむ)
京都大学卒業後、銀行勤務。京大、名古屋大学を経て東大へ。自叙伝『ありのままの私』が発売中。(撮影:北山宏一)

安冨:本当に楽しい一年でした。これまで知り合うことがなかったような人と出会う機会が多かったですね。曲を作ったり絵を描いたりと、創作活動もするようになりました。テレビにもたくさん出ましたね。なかなか現金収入には結びつかなかったですが。テレビって結構ギャラ少ないんですよ(笑)。そういうことも含め、様々な発見と出会いがあった1年でした。

著書の中で、「“自分自身ではないもののフリ”を見つけ出しては剥ぎ取ることを繰り返してきた結果、“自分は男性のフリをしている”という事実を発見した」と書いています。やはり大きな驚きでしたか。

安冨:気付いた瞬間は大変な驚きでした。元々自分の中に潜んでいた感情なのに、これまで全く気が付くことができなかった事実だからです。でも、事実に抵抗しようとは思いませんでしたし、驚いた後はすんなりと受け入れていました。

自分でないもののフリをし続けることは「ストレスがたまる」と指摘しています。これまでどのようなストレスを抱えてきたのでしょうか。

安冨:もう生存事態がストレスですよ。だって女の子が男の子集団のなかに一人だけ放り込まれているようなものだったからです。例えばあなたが明日から男性集団の中で生活してくださいと一人だけ放り込まれたら気持ちが悪いでしょ。そういう感じです。

 最も恐ろしいのが、それを自分が「気持ち悪い」と感じていることに気付いていなかった、ということなんですね。ストレスというのは、気が付かないことで発生するものです。気付いていれば、それはストレスではなく「苦痛」です。人間は苦痛を長続きさせることはできないので、「辞める」なり「逃げる」なりの対処ができます。

 しかしストレスは、苦痛だという事実に気が付いていない状態です。それゆえ対処ができず、痛みが精神の奥底にまで入ってくる。ストレスは苦痛よりも健康に悪影響があります。「ストレス社会だからしょうがない」ってフレーズを口にする人がいますが、しょうがなくないですよ。ストレスほど恐ろしいものはない。苦痛社会のほうがまだマシかもしれません。

 こういう女性の格好をするようになって、周りから変な目で見られることはあります。それは苦痛ですが、理由ははっきりしているのでストレスにはなりません。

コメント4件コメント/レビュー

人は全て男性性と女性性を持っているはず。どういう服装をするかということよりも自分の持っている女性性や男性性をもっと発揮する必要があるのかもしれない。21世紀は女性性の時代なので、女性性を強く出せるようになりたいと思う。(女装をするつもりはありません)(2015/09/04 11:25)

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「カミングアウトは自分のため、そして周りのため」の著者

齊藤 美保

齊藤 美保(さいとう・みほ)

日経ビジネス記者

2011年中央大学法学部卒業。同年、日本経済新聞社に入社。産業部にて電機、IT、自動車業界を担当した後に、2014年3月から日経ビジネス編集部に出向。精密業界を中心に製造業全般を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

人は全て男性性と女性性を持っているはず。どういう服装をするかということよりも自分の持っている女性性や男性性をもっと発揮する必要があるのかもしれない。21世紀は女性性の時代なので、女性性を強く出せるようになりたいと思う。(女装をするつもりはありません)(2015/09/04 11:25)

声高に権利を主張しない、こういうカミングアウトには素直に共感したい。隠すストレスなく生きられるならその方がよい。(2015/09/04 10:42)

いい記事でした。
LGBTに限らず、本来の在り様を隠蔽し無意識のストレスに苛まれている人が溢れている時代に多くの方に読んでもらいたいと思います。(でもそういう方は何故かイラついたりして読めないことも多いですが^^;)(2015/09/03 14:20)

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