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孤独死現場を「リセット」する人たち

現場に残された「5000万円」の真実

2015年9月11日(金)

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 日経ビジネス2015年9月14日号の特集は「あなたに迫る 老後ミゼラブル」。現代ニッポンに生きる誰もが直面しかねない「老後ミゼラブル」の現実を浮き彫りにした。誌上でも取り上げた「3大ミゼラブル」の1つが孤独死だ。
 近年、孤独死する高齢者が増え、遺品整理業が活況を呈している。死後、時間が経過した現場は悲惨そのもの。一方で、遺品に紛れて金品が見つかることも多々あるという。「特殊清掃」を手掛ける福岡県の遺品整理業者が、孤独死現場の真実を明かした。

(聞き手は鵜飼秀徳)

岩橋ひろし氏(友心・まごころサービス代表取締役)
1976年、福岡市生まれ。39歳。専門学校を卒業後、嬉野温泉旅館「和多屋別荘」にて全国初の男性中居「男組」の中居頭を務める。2004年7月、自動車販売店アクション・ロードを創業。2012年3月、遺品整理士を取得し、4月から福岡県大野城市で「友心・まごころサービス」を立ち上げる。生前整理、遺品整理・特殊清掃、空家整理、家屋解体、相続関係手続き、不動産売買、各種お祓い・供養・納骨などの一連の関連業務をワンストップで実施。(撮影:松隈直樹)
注:本文中に、一部現場の生々しい描写があります。ご了承ください

今年に入って、孤独死現場の清掃依頼はどのくらいあったのですか。

岩橋:既に40軒は超えていますね。年々増えてきている印象です。

「遺品整理」と「特殊清掃」とは何が違うのですか。

岩橋:遺品整理は故人が使っていた家財道具一式を片付けることです。通常は病院や自宅で誰かに看取られながら亡くなり、葬儀などを終えて落ち着いた頃に、遺族が依頼します。

 それとは別に「特殊清掃」というものがあります。特殊清掃を含む遺品整理というのは、自殺、殺人、孤独死などでご遺体の発見が遅れた部屋の清掃です。当然、そんな凄惨な現場には誰も入りたがらない。自殺や孤独死の場合、匂いで近隣の人が気付いて通報するということが多いです。

 そうした現場には残存家財が残っている。ご遺体そのものは運び出された後なんですが、体液や毛髪などは残されたままで腐敗し、異臭を放っています。ご遺体の跡を片付けてから遺品整理です。これが特殊清掃です。

特殊清掃を始められる前は、中古車販売業をされていたとのことですが。

岩橋:はい、中古車販売業をやっていましたが2011年にハウスクリーニングのフランチャイズの業者さんから、遺品整理の話を聞いたのが事業を立ち上げたきっかけです。調べてみると遺品整理士認定協会というのが立ち上がっていて、その資格を取得しました。

当時は遺品整理に対し世の中のニーズが高まりつつあったけれども、遺品整理を専門にする業者がまだ少なかったということですか。

岩橋:そうです。先行する業者が少なく、参考にできなかった。例えば、どういうところに営業に行けばいいのか、どこにニーズがあって、どういう仕事につながっていくのか、というものも見えない状況。広告の打ち方も分かりませんでした。

遺品整理士の認定は何番目くらいだったのですか。

岩橋:117番目です。今では1万1000人を超えていますから、いかに遺品整理業がここ数年で伸びているかが分かります。

遺品整理はリサイクル業に似ている

遺品整理業者すべてが特殊清掃をしているわけではない?

岩橋:そうです。多くの業者さんが、「お宝探し」の一環でやっています。処分を頼まれた家財、家電を再販し、儲けを出すのもこの仕事のひとつの側面です。

リサイクル業に似ている?

岩橋そうですね。実際、リサイクル業者さんが遺品整理を手掛けるのが、ほとんどです。

遺品整理業が増え出したのは、東日本大震災がきっかけだとか。

岩橋:そうです。しかし、残念なことに、言い方は悪いですが、火事場泥棒的な要素があったと思います。遠く離れた都会で暮らす遺族が、東北の現地でムチャクチャになった部屋の整理なんてできないじゃないですか。だから業者に依頼するしかない。極端な例で言うと、30万円という見積もりに対して、300万円で請求したりするような過剰請求もあったと聞きます。

 業者の一部が、そういったことをやったために業界のイメージが悪くなった側面は否めません。そのイメージダウンを払拭するために、北海道にある数社が集まって、遺品整理士認定協会を立ち上げ、遺品整理士という資格が生まれたのです。

コメント16件コメント/レビュー

以前特殊清掃の漫画(きたがわ翔さん)を読んで、その凄惨さに目を覆いました。
本当に辛い仕事だけれど、私には絶対できないけれど、素晴らしいお仕事だと思います。もっと広く知ってほしい職業です。
余談ですが、警察官になった先輩が、最初の仕事が死体を片付ける仕事で、ショックでPTSDになりすぐ退職してしまったそうです。
警察や特殊清掃の方にお世話になることのないよう、いくつになっても人と関わることを心がけたいです。(2015/09/23 20:53)

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「孤独死現場を「リセット」する人たち」の著者

鵜飼 秀徳

鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)

ジャーナリスト、浄土宗僧侶

1974年生まれ。成城大学文芸学部卒業後、報知新聞社会部記者を経て、日経BP社に移籍。日経ビジネス記者、日経おとなのOFF副編集長などを歴任後、2018年に独立。浄土宗僧侶の顔も持つ。正覚寺副住職。佛教文化学会会員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

以前特殊清掃の漫画(きたがわ翔さん)を読んで、その凄惨さに目を覆いました。
本当に辛い仕事だけれど、私には絶対できないけれど、素晴らしいお仕事だと思います。もっと広く知ってほしい職業です。
余談ですが、警察官になった先輩が、最初の仕事が死体を片付ける仕事で、ショックでPTSDになりすぐ退職してしまったそうです。
警察や特殊清掃の方にお世話になることのないよう、いくつになっても人と関わることを心がけたいです。(2015/09/23 20:53)

外国人の奥様が「日本以外にこのような死を迎える事を聞いた事がなく、考えられない」と書かれた方に教えていただきたいのですが、奥様は日本の様な少子高齢化が進んだ国の出身の方なのでしょうか?
もしそうでしたら、是非ともお国での具体的な対策などを教えて頂きたいと思います。
もし子沢山が当たり前のお国のことでしたら、今の日本ではあまり参考にならないと思うのですが。(2015/09/22 15:07)

前のコメントで外国人の奥様が「こんなことは日本以外聞いたことがない」と。どこの幸せな国のご出身でしょうか?日本は私が住むイギリスより老人医療サービスなど至れり尽くせりで、親の生活や介護の自分の責任として心配する子世代も多いです。個人主義で核家族の欧米は老人の一人暮らしなど当たり前。その分孤独死が多い孤独死先進国。日本で孤独死が増えているとしたら、日本伝統の家族三世代同居などが崩れ、社会や価値観の欧米化が原因のひとつでしょう。欧米先進国の例や対策も取材したらいいと思います。(2015/09/14 17:20)

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