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米国の「イランびいき」に苛立つサウジ

2016年1月8日(金)

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シーア派の有力な宗教指導者ニムル師の死刑執行に抗議して、サウジのサルマン国王の肖像に火を付けるイラクの人々(写真:AP/アフロ)

 サウジアラビアとイランの関係悪化が中東全域に波紋を広げている。サウジアラビアがイランとの外交関係断絶を表明して以来、サウジと関係の深いバーレーンやスーダンもイランとの断交を宣言。アラブ首長国連邦(UAE)やクウェートもイランから大使を召還した。イスラム教スンニ派のサウジアラビアを中心とするグループとシーア派イランの対立が深まっている。

 きっかけは1月2日にサウジアラビア政府がシーア派の有力な宗教指導者ニムル師を含む47人の死刑を執行したと発表したことである。これに怒ったイラン人の群衆がテヘラン(イランの首都)のサウジ大使館やイラン北東部マシャドのサウジ領事館を襲撃。対抗措置としてサウジ政府はイランとの外交関係断絶を表明した。急ピッチの展開だった。

 シーア派の若者たちの間で絶大な支持を集めていたとされるニムル師を処刑すれば、イランをはじめシーア派社会で激しい反発を招くことは事前に十分に予想されていた。米政府もサウジ政府に対して同師の処刑に踏み切らないよう自制を散々呼びかけていたので、サウジアラビアがイランの反発や同国とのさらなる関係悪化を承知の上で今回の措置をとったことは間違いない。

 ではなぜサウジアラビアはこのタイミングでイランとの対立を煽る措置をとったのだろうか? 国内的な要因と国際的な要因の両面からみていきたい。

増大する国内の不満を外に向けさせる

 「サウジアラビアが現在の政策を継続した場合、原油安により、歳出維持に必要な金融資産を5年以内に使い果たす恐れがある」と国際通貨基金(IMF)が警鐘を鳴らしたのは昨年10月のこと。長期に及ぶ原油価格の低迷で2015年のサウジアラビアの財政赤字は国内総生産(GDP)の20%相当に達し、当局は外貨準備の取り崩しや8年ぶりの国債発行を余儀なくされた。

 昨年末には2016年の歳出を14%削減することとともに、一部国有組織の段階的民営化、付加価値税の導入、たばこへの課税を行う方針を発表。また向こう5年間の補助金見直し計画の一環として燃料や電気、水道料金の引き上げを打ち出し、潤沢に補助金を投入していた燃料価格については約50%引き上げることも発表した。これを受けてニムル師が処刑される数日前にはガソリンスタンドに長い行列が出来たことが報じられていた。

 サウジアラビアにおいて、社会不安の抑制と治安維持のために、政府の補助金は不可欠の要素である。いわゆる「アラブの春」が吹き荒れた2011年に、サウジ政府は新たな社会保障や賃上げ、そして公共住宅に1000億ドルを上回る資金を投入する「バラマキ」を行うことで、国民の不満を抑え込んだ。

 今回は国内での「バラマキ」が出来ない状況になっており、国王の統治能力に対する不満が若年層を中心に拡大する恐れが十分にある。一般国民だけではない。息子のムハンマド副皇太子・国防相に軍事・経済面での権力を集中させているサルマン国王の手法に対して、王族内でも不満が広まる可能性がある。

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「米国の「イランびいき」に苛立つサウジ」の著者

菅原 出

菅原 出(すがわら・いずる)

ジャーナリスト/国際政治アナリスト

アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。在蘭日系企業勤務、ジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長