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安倍首相と黒田総裁に伝えた国の借金の返し方

「ヘリマネ」政策の提唱者、アデア・ターナー氏に聞く

2017年1月18日(水)

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 1月初旬に米著名投資家ジョージ・ソロス氏と共に来日し、安倍晋三首相や黒田東彦・日本銀行総裁と経済政策を巡って議論した人物がいる。彼の名はアデア・ターナー氏。英金融サービス機構(FSA)の元長官で、イングランド銀行総裁候補にもなった金融界の大物だ。

 ターナー氏が著作「債務、さもなくば悪魔」で提唱しているのは、中央銀行が財政赤字を穴埋めするヘリコプターマネー(ヘリマネ)政策。日本政府の債務は1000兆円を超す一方、昨年末に決まった2017年度予算案では歳出の膨張に歯止めが利かない。窮地に立たされる政府財政にとって、ヘリマネは本当に「唯一無二の解決策」となるのか。ターナー氏に聞いた。

日本の財政問題は解決可能と訴えていますね。

ターナー:「マネーファイナンス」と呼ぶ経済政策が有効的だと主張している。今すぐにも検討する必要がある。

アデア・ターナー(Adair Turner)氏
英シンクタンク、インスティテュート・フォー・ニューエコノミックシンキング会長。1955年生まれ。米マッキンゼー・アンド・カンパニー、米メリルリンチ(現バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ)などを経て、2008年から2013年まで英国金融行政の監督機関である英金融サービス機構(FSA)の長官を務めた。昨年末に著書『債務、さもなくば悪魔 ヘリコプターマネーは世界を救うか?』を上梓した(写真:木村 輝、以下同)

マネーファイナンスとは、いわゆるヘリコプターマネー(ヘリマネ)のことですね。

ターナー:その通り。日本の公的債務残高は国内総生産(GDP)比で250%。国際通貨基金(IMF)が公表する純債務残高でも140%にのぼる。このうちGDP比で80%近くの国債を日本銀行が保有している。この日銀保有分を帳消しにしてしまえば、財政問題は解決するというのが私の提唱するマネーファイナンスだ。

日銀が持つ国債を帳消しすれば良い

国債の帳消しとは、どういうことでしょうか。

ターナー:日銀は金融緩和政策を通じて大量に買い入れた日本国債を、最終的には民間に売却すると説明している。私は単純に考えてそんなことは無理だ、あり得ないと思っている。

 その代わり、日銀が保有する国債を無利子の永久債に転換する。そして、その永久債を徐々に償却、つまり消していくことで政府債務を減らすことができる。

その政策では、いくらでも国債の発行が可能になります。政府の財政規律が緩み、最終的にはハイパーインフレにつながる可能性があるはずです。

ターナー:ハイパーインフレにはならないと断言できる。例えばマネーファイナンスを通じて1円を政府が手に入れても、インフレにはならない。一方。これが100兆円となるとインフレを引き起こす。要は程度の問題だ。規律を保つことでハイパーインフレは避けられる。

 インフレを考慮し、日銀が償却できる国債の限度を定期的に設定する。例えば、一定期間中にGDP比20%まで償却して良いと決めると、純債務残高は現在の140%から120%まで減らすことができる。

 問題は政治的リスクだ。「なぜ20%なのだ。60%や80%でも良いだろ」と大きな声で主張する人が出てくると、規律が崩れてしまう。そのため、政策委員会を日銀内に設置するようルールを作り、委員会だけが償却限度を決められるようにする必要がある。このようなマネーファイナンスの仕組みは、世界中どの国でも導入可能だ。

コメント9件コメント/レビュー

>世間の常識を超えた理屈が国レベルの借金にだけ適用されうると言うのでしょうかね。<
その通りです。家計や企業会計と国家財政は真逆です。資本主義が続く限り国家の通貨発行量は増加し続けます。なぜなら金利の存在があるからです。通貨発行量を増加させるためには国債の発行が必要です。日銀の資産として国債が必要だからです。金利の存在を成立させるためには通貨発行量の増加とそれに付随して国債の発行残高の増加させなければなりません。(2017/01/19 18:26)

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「安倍首相と黒田総裁に伝えた国の借金の返し方」の著者

武田 健太郎

武田 健太郎(たけだ・けんたろう)

日経ビジネス記者

2008年東京大学教育学部卒業、日本経済新聞社に入社。「NIKKEIプラス1」を担当後、証券部で金融マーケットや企業財務を取材。CFA協会認定証券アナリスト、AFP(日本FP協会認定)。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

>世間の常識を超えた理屈が国レベルの借金にだけ適用されうると言うのでしょうかね。<
その通りです。家計や企業会計と国家財政は真逆です。資本主義が続く限り国家の通貨発行量は増加し続けます。なぜなら金利の存在があるからです。通貨発行量を増加させるためには国債の発行が必要です。日銀の資産として国債が必要だからです。金利の存在を成立させるためには通貨発行量の増加とそれに付随して国債の発行残高の増加させなければなりません。(2017/01/19 18:26)

多様なものの見方を提供する、というのはマスメディアの重要な役割だと思うので、こういう意見も紹介するようになったことを日経ビジネスオンラインの一読者として喜びます。(2017/01/18 19:20)

いっそのこと「インフレを考慮し、日銀が償却できる国債の限度を定期的に設定する」作業をAIにやらせてしまってはいかがでしょうか?
少なくとも「政治的リスク」は避けることができると思います。(2017/01/18 16:09)

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三品 和広 神戸大学教授