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シャープ、土壇場で機能したガバナンス

社外取締役が革新機構案に「ノー」

2016年2月5日(金)

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シャープ再建のカギを握る鴻海精密工業の郭台銘(テリー・ゴー)会長(写真:ロイター/アフロ)

 産業革新機構による出資で決まりかけていたシャープの再建計画が土壇場でひっくり返った。既定路線に待ったをかけたのは社外取締役だ。約7000億円超を出すという鴻海(ホンハイ)精密工業の案を蹴って、約3000億円を出資する革新機構案を選んだのでは「取締役として善管注意義務違反に問われかねない」という危機感があったのだろう。

 事態は先週末に一変した。来日したホンハイの郭台銘(テリー・ゴー)会長はシャープに対する支援額を7000億円超に積み増した。郭会長は経済産業省にも乗り込み、ホンハイとシャープの資本提携は「台湾と日本にとってウィン・ウィンの関係になる」と力説した。対する産業革新機構も谷山浩一郎執行役員がシャープに赴き、具体的な支援案を説明した。

 シャープは両者の案を比較表にまとめ、参考資料として2月4日の決算取締役会に付した。社外取締役の一部が資料を見て顔色を変えた。

 「(出資額がホンハイ案の半分に満たない)革新機構案を選んで、株主に合理的な説明ができるのか」

主力2行の姿勢に違い

 週末に郭会長が具体案を示すまで、ホンハイは当て馬に過ぎず、シャープ再建は「革新機構案ありき」で調整が進んでいた。だが、郭会長が条件を釣り上げ始めたことで、まず主力行の一つ、みずほ銀行の態度が変わった。ホンハイ案の方が銀行のダメージが少なく、うまくすれば出資金をホンハイに貸し付けることができるかもしれないからだ。 

 一方、もう一つの主力行である三菱東京UFJ銀行は、革新機構案を推していた。シャープの執行部内にはホンハイに対するアレルギーがあり、4日の取締役会は紛糾した。ホンハイにも交渉権を与えることを決めるのが精一杯だった。

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「シャープ、土壇場で機能したガバナンス」の著者

大西 康之

大西 康之(おおにし・やすゆき)

ジャーナリスト

日本経済新聞産業部記者、欧州総局(ロンドン)、日経ビジネス編集委員、日本経済新聞産業部次長、産業部編集員などを経てフリーのジャーナリストに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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