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危機を追い風に変える安倍首相の死角

TPP、税収活用策…これから表面化する甘利氏頼みのツケ

2016年2月9日(火)

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甘利明前経済財政・再生相の金銭授受問題の次は北朝鮮によるミサイル発射と難題続きの安倍晋三政権。それでも危機管理能力を発揮し、ピンチを政権への追い風に変える勢いだ。甘利氏退場の痛手を最小限にとどめ、経済政策を円滑に運べるかが次の焦点になる。
(写真=朝日新聞社)

 年明け以降、中国経済の失速や円高・株安、甘利明前経済財政・再生相の金銭授受問題といった国内外のリスクに見舞われ続ける安倍晋三政権。そこに今度は、北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイル発射という日本の安全保障を脅かす重大事案が発生した。

危機管理でしのぐ安倍政権

 「毎日のように何かが起きている。気が休まる間もない」。安倍首相の側近がこう嘆くように政府・与党は一連の対応に追われているが、これまでのところ、政権への批判は広がりを見せていない。安倍首相をはじめとする政権キーマンによる危機管理が一定の評価を得ていることが大きな要因だ。

 甘利氏の疑惑を巡っては、安倍首相は盟友であり、アベノミクスの司令塔を担う甘利氏を守り抜く考えを強調していた。ところが、甘利氏が大方の予想を覆す「サプライズ辞任」に踏み切り、安倍首相が間をおかず石原伸晃氏を後任に起用する手際の良さを見せた。

 「野党に本格追及される前に対処したことで傷口が小さくてすみ、安倍首相も決断力をアピールできた」。自民党のベテラン議員はこう評する。

 野党の戦術の甘さなども背景にあるとはいえ、甘利氏辞任後の各種世論調査で軒並み内閣支持率がアップした。安倍首相や菅義偉官房長官を中心とする巧みなダメージコントロールの証しと言える。

 1月の核実験に続き、7日にミサイル発射の暴挙に出た北朝鮮に関しても、安倍政権はほぼ想定通りの対応を見せた。政府はミサイル発射を把握して3分後に行政機関の緊急ネットワークシステムで発信。前日から公邸に入っていた安倍首相はすぐに省庁に万全の対応を指示し、首相官邸で記者団に「断じて容認できない。国民の安全と安心を確保することに万全を期す」と強調して見せた。

 安倍首相はさらに、北朝鮮に対する独自制裁の準備を急ぐよう関係閣僚に指示。日米韓3カ国で安保協力を進め、対北朝鮮包囲網作りに注力する構えだ。

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「危機を追い風に変える安倍首相の死角」の著者

安藤 毅

安藤 毅(あんどう・たけし)

日経ビジネス編集委員

日本経済新聞社で経済部、政治部などを経て2010年4月から日経ビジネス記者。2012年4月から現職。政治、経済政策を中心に執筆している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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