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日本と中国が為替操作していると批判されるワケ

元日銀審議委員、白井さゆり慶応大教授が解説

2017年2月13日(月)

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日米首脳会談では、「為替」についてのサプライズはなく、ひとまず穏便に終わった。だが、トランプ大統領は「日本は何年も市場で通貨安誘導を繰り返している」と批判しており、この先も予断を許さない。そもそも、最近は為替介入をしていない日本が、なぜ批判されるのか。元日銀審議委員で慶応義塾大学教授の白井さゆり氏が解説する。
黒田東彦日銀総裁も超金融緩和を長くは続けられない(写真:ロイター/アフロ)

 安倍首相とトランプ氏の首脳会談が2月10日に開催された。主要議題は日米同盟の重要性の確認で、尖閣諸島、中国の海洋進出、北朝鮮の核・弾道ミサイルなどの懸案事項で共通認識が共有され、トランプ大統領の年内来日要請と同氏による受け入れ表明など、日本外交としてはまずますの成功と言えそうだ。

 経済関係については、米国の環太平洋経済連携協定(TPP)離脱を踏まえ、今後は日米二国間で議論を進めていくこと、貿易や投資拡大に向けて麻生太郎副総理とマイク・ペンス副大統領による対話の枠組み新設などを確認した。注目点は為替問題で、トランプ大統領は記者の質問に対して通貨の切り下げに言及し、きわめて短期間で公平な条件を取り戻して通貨安誘導を阻止する構えを強調した。中国を念頭に置いているのは間違いなく、今年4月の米国財務省による為替報告書の発表を待たずに、近く中国を「為替操作国」と認定し、高関税を適用する可能性がある。日本については、今年末の企業懇談会でトランプ氏は中国と日本の両方に言及し「何年も市場で通貨安誘導を繰り返している」と言及しており、今後の日米交渉でこの点も議論の俎上に乗るとみられる。

 そこで本稿では、トランプ大統領が繰り返し言及する中国と日本の「通貨の切り下げ」に焦点を絞って論点をとりまとめてみたい。

中国は「為替操作国」なのか

 中国に対する通貨の切り下げとは、2015年8月に人民元が対ドルで3%程度切り下げられて以来、人民元安が10%程度も進んだ現状を指しているとみられる。主要貿易相手国との貿易額で加重平均した人民元の名目実効為替レートも10%程度安くなった。ただし、トランプ氏の言うように何年もその状態を続けてきたというよりも、ここ1年半の最近のことだ。

 というのは、中国では、2005年7月に1ドル=8.3元程度で人民元をドルに対して固定する為替制度を撤廃して以来、2013年末までは人民元高が続いてきたからだ。この間、中国政府は変動幅を徐々に拡大し、2015年12月にはドルよりも主要貿易相手国の貿易加重平均をとった通貨バスケットに重点を移しており、2005年から2013年までに人民元は対ドルで25%程度、通貨バスケットに対して(ピークの2015年初め対比で)50%程度も高くなっている。通貨高の影響もあって、経常収支の黒字が国内総生産(GDP)に占める割合はピークだった2007年の10%程度から、2015年以降には3%程度へ低下し、2016年は2%以下にまで低下したようだ。過去と比べれば中国は外需から投資・消費主導の経済へと大きく転換を果たしているのは明らかだ。

 米国側でも、同じ傾向が確認できる。米国の経常収支の赤字は対GDP比でここ5年ほどは2%台で推移しており、貿易赤字も世界金融危機前の6%近くから4%台へと縮小している。米国の経済活動の規模からみてこの程度の赤字は大きな問題ではないはずである。

 では何が問題なのか?ここ1年半の人民元安の動きとともに、時を同じくして米国の貿易赤字が金額ベースでは急ピッチで拡大し、世界金融危機前の状況に戻りつつあることをトランプ氏は懸念しているようだ。特に米国の輸入総額に占める中国の割合が2005年の14%程度から2016年には2割を超えるまで拡大しているのに、米国の輸出総額に占める中国の割合がこの間4.6%から2016年には8%へ拡大しているに過ぎないため、貿易の不均衡は甚だしいということなのだろう。

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「日本と中国が為替操作していると批判されるワケ」の著者

白井 さゆり

白井 さゆり(しらい・さゆり)

元日銀審議委員/慶應義塾大学教授

1989年、慶應義塾大学大学院修士課程修了。1993年、コロンビア大学経済学部博士課程修了(Ph.D.取得)。1993年、国際通貨基金エコノミスト、1998年慶応大助教授を経て2006年から教授。2011年4月から2016年3月まで日銀政策委員会審議委員

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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