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トランプ氏が発した「互恵的」の真意

日米首脳会談をキーワードから読み解く

2017年2月13日(月)

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 安全保障・経済の両面で一定の成果があったと評価される日米首脳会談。しかしトランプ大統領の発言の中には、表面的な意味とは違うメッセージが込められた複数のキーワードがあった。
2月11日、フロリダ州のトランプ氏別荘で対話する安倍首相とドナルド・トランプ米国大統領(写真:ロイター/アフロ)

 「安全保障は満額、経済は及第点」と政府関係者が自己評価する今回の日米首脳会談。特に何を言い出すか予測不能のトランプ大統領が相手だけに、予定外のハプニングの発言を恐れていた。結果は記者会見も事前のおぜん立て通りで、ホッと胸をなでおろしているのが正直なところだろう。

 短時間の首脳会談直後に共同記者会見を済ませ、ここまでで「内外に安心感を与える」との日米共通の目的が達成された。しかし、これは単なる序曲に過ぎない。フロリダでのゴルフ外交がトランプ大統領にとって「本番」だったようだ。共同記者会見において、トランプ大統領が「フロリダで長時間の交渉をするつもりだ」と発言したことは要注意だ。随行者が限られた中での交渉内容は、今後どこまで表に出てくるのだろうか。

経済の目玉「ハイレベル経済対話」

 日本側の仕掛けの意図は明確だ。キーワードは「個別」ではなく「包括」、「交渉」ではなく「対話」だ。実は過去の日米関係においても同様の仕掛けがあった。16年前、クリントン政権に代わって、ブッシュ政権が発足した直後にスタートした「次官級経済対話」がそれだ。日米双方の主要経済官庁のトップ同士による対話の場だ。

 アジェンダとして個別分野での対立だけにならないよう、極力日米が協力して取り組める分野を探し出していた。当時、私は経産省でこのアイデアを持って、ブッシュ政権発足前から米側に対する根回しに奔走していた。日本たたきが激しかったクリントン政権に代わって新政権になった機会に、これからは個別摩擦に終始する関係を避けようという考えからだった。通商当局者は、時代が変わっても似たような発想になるものだ。

 さらに今回はもう一つ特殊事情が加わっている。トランプ大統領の過激発言に振り回されずに、ペンス副大統領をトップとする経済対話の中でコントロール、マネージしていこうとの意図だ。

 今回の首脳会談で、今後のトランプ政権との付き合い方を枠組みとしてセットして、ある種タガをはめることができたのは、取りあえず第一歩としては成功と言えよう。ただし問題はこれからだ。何を議論するかは米側の経済閣僚、政府高官が出揃ってから両国間で詰めた議論がなされるだろう。今、明らかにされている議論予定の3分野はあくまでも、日本側の説明であることに注意すべきである。

 例えば、貿易に関しても、日本は貿易・投資のルール作りに力点を置こうとしている。しかし米側が関心あるのは自動車、農産物などの個別分野での実利だ。こうした問題も「二国間の貿易の枠組み」を議論する中で当然持ち出してくるだろう。こうした綱引きがまさにこれから始まろうとしているのだ。

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「トランプ氏が発した「互恵的」の真意」の著者

細川 昌彦

細川 昌彦(ほそかわ・まさひこ)

中部大学特任教授(元・経済産業省米州課長)

1955年1月生まれ。77年東京大学法学部卒業、通商産業省入省。「東京国際映画祭」の企画立案、山形県警出向、貿易局安全保障貿易管理課長などを経て98年通商政策局米州課長。日米の通商交渉を最前線で担当した。2002年ハーバード・ビジネス・スクールAMP修了。2003年中部経済産業局長として「グレーター・ナゴヤ」構想を提唱。2004年日本貿易振興機構ニューヨーク・センター所長。2006年経済産業省退職。現在は中部大学で教鞭をとる傍ら、自治体や企業のアドバイザーを務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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