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トランプ氏が何を言っても円相場は112円±5円

日本に対する“脳内イメージ”はアップデートされた?

2017年2月14日(火)

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為替問題は日米首脳会談で争点にならなかったが、この先もくすぶり続ける。では、今後のドル円相場はどのように見通したらよいのだろうか。国際通貨研究所の武田紀久子・上席研究員は、「トランプ氏が何を言っても円相場は112円±5円」と話す。そのワケは?

 為替問題はこの先も争点になり続けるだろう。首脳会談では日本サイドの思惑通り、為替問題は「専門家である財務相同士で議論する(2/10安倍首相)」と協議テーマから除外され、また実務面では麻生副首相とペンス副大統領をトップとする「新経済対話」の設置に漕ぎ付けた。

 しかし、これでトランプ大統領の“口先介入”がピタリと止むとは思われない。実際、同じ会見で同大統領は各国の通貨切り下げを不満とし、「短期間で公平な条件を取り戻す」と述べている。米国の大統領がこれほど執拗に為替問題を取り上げること自体が極めて異例だが、しばらくはこれが直面せざるを得ない現実であり、先の道行きも長そうである。まずは、トランプ大統領と通商・為替問題、そして今のドル円相場について、少し整理をしてみたい。

トランプ大統領の“脳内イメージ”

 既に多くの指摘があるが、こと日米の通商・為替政策に対するトランプ大統領の“現状認識”や“言語感覚”は、貿易摩擦と呼ばれ緊張感が極めて高かった1980年代、あるいは、1990年代のままアップデートされていない印象が強い。そもそも二国間の貿易をあたかも企業同士が商売をする感覚で捉えており、貿易収支については一方が勝てば(=黒字)、もう一方が負ける(=赤字)というゼロサムの発想をする。就任直前の1月11日に行った会見では、二国間貿易を「deal=取引」と呼び、貿易赤字を「loss=損失」と表現。貿易赤字は「bad deal」の結果であり、「米国はgood dealとすっかりご無沙汰だ」などと発言していた。

 国際分業が進んだ現在、二国間の貿易収支を無理やり均衡化させることは意味がないばかりか、結果的に世界経済にダメージを与える好ましくない政策であることは、経済学の常識になっている。しかし、トランプ大統領は二国間の貿易不均衡是正の主張を繰り返し、更には、その為に為替相場が重要な役割を果たす、と信じている様子である。

「トンデモ発言」の指南役はナバロ国家通商委員長

 とはいえ、正式就任後は大統領の発言にも少し変化が出ている。

 例えば、1月31日の製薬会社幹部との会合で米貿易赤字について「他国はマネーサプライ(資金供給)と通貨安誘導で有利な立場にある」とコメント。残念ながら日中の通貨安批判の発言主旨に変わりはないが、“量的緩和による通貨安”という切り口と言葉遣いは、“脳内イメージ”が「21世紀」へとアップデートされた兆候かもしれない。また、今回首脳会談後の記者会見では、珍しく「原稿」を読み上げてもいた。同大統領が耳を傾ける指南役がおり、その人物への信頼が厚い様子がうかがえる。

 トランプ氏は大統領就任に当たって、政権人事ポストをいくつか新設しているが、その一つに大統領直属の通商政策統括組織である国家通商会議(NTC)がある。委員長にはカリフォルニア大教授で対中強硬派として知られるピーター・ナバロ氏が就任しており、今回ホワイトハウスでの昼食会などに、もちろん加わっていた。昨年9月の時点で、ナバロ氏はトランプ氏の経済政策公約についてペーパーを発表。その中で米国経済成長のカギとして投資や財政出動とともに「純輸出の重要性=貿易赤字を減らすことが成長に寄与する」と強調している。

 具体策はまだ見えないが、輸入を制限し国内産業振興や輸出促進で貿易収支の改善を図るというトランプ氏の保護主義的な貿易観は、ナバロ委員長という指南役を得て、「現代型」へ進化しつつある可能性がある。別の言い方をすれば、通商・為替問題を巡るトランプ大統領の「トンデモ発言」は、実は、ナバロ委員長のお墨付きを得ている可能性すらある。

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「トランプ氏が何を言っても円相場は112円±5円」の著者

武田 紀久子

武田 紀久子(たけだ・きくこ)

国際通貨研究所 経済調査部上席研究員

1989年、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入社以来、一貫して市場関連業務に従事。1999年、為替アナリスト班立ち上げメンバーに。以降、マーケット・エコノミストとしての活動を続けている。2015年10月より国際通貨研究所へ出向。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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