たばこ議連が反発、混迷する受動喫煙防止対策

所管の厚生労働省と神経戦

永田町でたばこ論争が火を噴いている。屋内でたばこを原則的に吸えなくする政府の方針に、たばこ議連らが大反発。収束するめどは立っておらず、所管の厚生労働省は焦りをにじませる。

 「先行きが不透明で、困り果てている」。厚生労働省の幹部はそうぼやく。たばこ規制をめぐり永田町が“煙上”しているからだ。

 他人のたばこの煙を吸い込む、「受動喫煙」。政府は、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、受動喫煙対策を強化する方針を固めており、厚労省が政府案の策定作業を進めている。

 世界保健機関(WHO)のたばこ規制枠組み条約が05年に発効し、諸外国では飲食店を含め公共の場を屋内全面禁煙にする法制化が進んだ。だが、日本では屋内禁煙は努力義務にとどまる。WHOは、14年末に日本の対応を「世界で最低レベル」と酷評した。

 汚名をはらそうと厚労省は16年秋、受動喫煙防止策を罰則付きに強化する健康増進法改正案のたたき台をまとめた。医療機関や小中高校は敷地内禁煙、大学や官公庁、運動施設は建物内禁煙、飲食店などのサービス施設や職場は喫煙室設置可の原則建物内禁煙とし、違反者に罰則を科す内容だ。

 ところが、3月中の立法化を目指して法案の概要を自民党厚労部会に示したところ、出席議員から「非現実的だ」「五輪のためなら東京だけでやれ」などの異論が噴出した。やむなく厚労省は修正案を3月1日に公表。飲食店に関し、バーやスナックなど主に酒類を提供する小規模店は原則禁煙の例外とするほか、病院や官公庁でも既に設置されている喫煙室は施行後5年間は使用を認めるとした。

 たたき台に比べると、修正案は大きく後退した。それでも自民党内には反発する声がある。3月7日には規制強化に慎重な党のたばこ議員連盟(会長=野田毅前党税制調査会長)が「対案」を公表した。分煙を維持する内容で、現状からほぼ何も変わっていない。

 厚労省は対案の発表を受け、「議連案では対策は不十分で、望まない受動喫煙を防げない」と反論した。ただ、3月10日ごろを想定していた法改正案の閣議決定を断念せざるを得なくなった。

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著者プロフィール

庄子 育子

庄子 育子

日経ビジネス編集委員/医療局編集委員

日経メディカル、日経DI、日経ヘルスケア編集を経て、2015年4月から現職。診療報酬改定をはじめとする医療行政や全国各地の医療機関の経営を中心に取材・執筆。

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