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好調日立の鉄道事業に「EU離脱」リスク

英国の国民投票まで残り3カ月、影響の度合いは読めず

2016年3月23日(水)

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英ロンドンのキングスクロス駅に入ってきた、日立製作所の新型車両「Class800」。色はヴァージン仕様の赤と白が基調。先頭車両の側面には「あずま」と記載されている(写真:永川智子、以下同)

 3月18日、午前10時30分過ぎ。英ロンドンのターミナル駅、キングスクロスの8番ホームにゆっくりと車両が滑り込んできた。赤と白を基調とした真新しいデザイン。先頭車両には「Azuma」、その上には平仮名で「あずま」と記載されている。この日、英鉄道運行会社のヴァージン・トレインズは、テスト中の新たな鉄道車両を披露した。

 車両は、日立製作所の最新鋭モデル「Class800」。日立にとっては、この車両が2012年7月に獲得した総事業費57億ポンドのIEP(都市間高速鉄道計画)の第一弾となる。2018年にヴァージン・トレインズのイースト・コースト本線にまず497両を納入し、その後、別の運行会社が運営するグレート・ウェスタン本線向けに369両納入する。「新幹線を作った日本の鉄道技術が集積された車両」とだけあって、英国での注目度も高い。会場には、ヴァージン・グループ創業者のリチャード・ブランソン氏も駆けつけて挨拶に立った。

 Class800は最高速度時速200キロでキングスクロス駅と北部のエジンバラ駅などを結ぶ。ロンドンーエジンバラの輸送時間を従来よりも22分短縮し、4時間となる。車両名の「Azuma」はその名の通り、英国の東側を走るヴァージンのイースト・コースト本線から着想を得たという。「新車両の運行を楽しみにしている」とブランソンも顔をほころばせた。

お披露目式にはヴァージン・グループ創業者のリチャード・ブランソン氏(右から2人目)も参加。報道陣の注目を集めた

 もっとも、多くの報道陣の関心は別のところにあった。英国のEU(欧州連合)離脱騒動が日立の鉄道ビジネスにどう影響するかという点だ。

 英国のデービット・キャメロン首相は、EUを離脱するか否かの是非を問う国民投票を、6月23日に実施すると表明した。仮に離脱となれば、英国に拠点を持つ企業への影響は避けられないと見られている。

 目下、英国で日立の鉄道事業は絶好調だ。先に記載したIEPの他、都市近郊鉄道向け車両などを次々に受注。全ての納入が完了すると、現在174両が走る日立製列車の数は約8倍に増加し、車両の新規受注シェアでドイツのシーメンスやフランスのアルストムを抑えてトップに躍り出る。

 昨年9月には、英ニュートン・エイクリフに新たな鉄道車両の製造工場を開設。昨秋には、イタリアの防衛・航空大手フィンメカニカから車両製造事業のアンサルド・ブレダの買収も完了した。現在、欧州各国の部品メーカーなどと協力し、部品調達から車両製造までを欧州で手掛けるサプライチェーンを構築しており、世界の鉄道市場の約5割を占める欧州での事業拡大を急いでいる。2014年には鉄道事業の本社機能も英国に集約している。

 その前提にあるのは、英国がEU経済圏の一部であることだ。認証手続きなどが統合され、モノの移動に対する負担が少ない欧州の「単一市場」の利点を最大限に生かそうとしている。

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「好調日立の鉄道事業に「EU離脱」リスク」の著者

蛯谷敏

蛯谷敏(えびたに・さとし)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション編集を経て、2006年から日経ビジネス記者。2012年9月から2014年3月まで日経ビジネスDigital編集長。2014年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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