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ISのテロ以上に懸念される極右勢力のテロ

  • 和田 大樹

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2016年4月13日(水)

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 今回のブリュッセル同時テロは、昨年11月のパリ同時多発テロと同じく、欧州のみならず国際社会全体に対して大きな脅威を与えた。何の罪のない多くの方々が犠牲になったことに対し、強い憤りを感じる。しかし、もし不謹慎に聞こえたらお詫びするが、テロ問題ウォッチャーとして長年研究してきた筆者には、今回のブリュッセルでの同時テロにはそれほど大きな驚きはなかった。なぜなら、この種のテロは以前から欧州諸国内で繰り返し試みられてきたからだ。

 欧州ではこの種の、国内に在住する者が過激主義に影響、感化されテロを行うという「ホームグロウン」や「ローンウルフ」(誰からの指令もなく自ら単独でテロを試みる)の脅威は、2014年6月のISによる一方的な設立宣言が行われる以前から深刻な問題だった。

 例えば、2004年3月に発生したマドリード列車爆弾テロ、2005年7月のロンドン同時多発テロなどもそれぞれスペイン、イギリスで生まれた移民2世、3世が実行したテロである。欧州当局は、ISの台頭以前から、アルカイダ(特にアルカイダ中枢やAQAP)のブランドやイデオロギー(サラフィジハーディズムであるが、アメリカの専門家の中ではアルカイダイズム“Al Qaedaism” やビンラディニズム“Bin Ladenism”と呼ぶ者もいる)に影響を受けたグループや個人による、単独で実施されるテロ行為に神経を尖らせていた。

何度も試みられてきたホームグロウンテロ

和田 大樹(わだ・だいじゅ) オオコシセキュリティコンサルタンツ アドバイザー。1982年生まれ。専門は国際政治学、国際安全保障論、国際テロリズム、政治リスク分析、危機管理。清和大学と岐阜女子大学でそれぞれ講師、研究員を務める一方、東京財団やオオコシセキュリティコンサルタンツで研究、アドバイス業務に従事。2014年5月に主任研究員を務める日本安全保障・危機管理学会から奨励賞を受賞。著書に『テロ・誘拐・脅迫 海外リスクの実態と対策』(2015年7月 同文舘出版)。The Counter Terrorist Magazine”(SSI, 米フロリダ)や “Counter Terrorist Trends and Analysis”(ICPVTR,シンガポール)などの国際学術ジャーナルをはじめ、学会誌や専門誌などに論文を多数発表。所属学会に国際安全保障学会、日本防衛学会、防衛法学会、日本国際政治学会など。

 欧州の事例を挙げるなら、例えば米国ランド研究所が2011に公表した論文、「Radicalization, Linkages, and Diversity - Current Trends in Terrorism in Europe」によれば、2006 年 1 月から2010 年 12 月の間に欧州で発生したテロ事件数(未遂を含む)は 33 件報告されており、そのうち 13 件が英国で発生し、以下デンマーク6件、イタリア3件、ドイツ2件、フランス2件、スペイン2件、ノルウェー2件、スウェーデン2件、オラ ンダ1件となっている。実はフランスにおけるこの種のテロの脅威は、欧州諸国の中でも突出して高かったわけではなく、ISの台頭以前はむしろ英国の方が懸念されていた。

 米国の事例も見てみよう。米国はアフガニスタンでの掃討作戦でアルカイダ中枢を弱体化させていったが、その一方で2009年にイエメンで台頭したAQAP(アラビア半島のアルカイダ)は、米本土でのテロ攻撃を繰り返し企ててきた。

 具体的なケースとしては、

  1. イエメンで訓練を受けたナイジェリア人ウマル・ファルーク・アブドルムタラブによるクリスマス米旅客機爆破未遂テロ事件(2009年12月)
  2. AQAPの広告塔であった米国人アンワル・アウラキから影響を受け、過激主義に目覚めた精神科医ニダル・マリク・ハサンによるアリゾナ州・フォートフッド陸軍基地銃乱射事件(2009年11月)
  3. アウラキから影響を受けたとされるパキスタン系米国人、ファイサル・シャザドによるニューヨーク・タイムズスクエア爆破未遂テロ(2010年5月、なおこの事件についてはパキスタン・タリバン運動の関与を指摘する説も根強い)
  4. イエメン発米国行の貨物輸送機に乗せたプリンターのカートリッジに爆薬を隠した貨物機爆破未遂テロ(2010年10月)

 などが挙げられる。また2013年4月のボストンマラソン爆破テロ事件でも、実行犯の兄弟のうち死亡したタメルラン・ ツァルナエフ容疑者(兄)は、AQAPが発行するオンライン雑誌「インスパイアー”Inspire”」を読んだことがあり、そこに掲載されていた簡単に作れる爆弾の製造方法を学んだとされる。

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