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直前予想、日米首脳会談はこうなる!

「日米FTAは持ち出さない」「TPP+(プラス)」が浮上

2018年4月17日(火)

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トランプ大統領:常套手段の脅しのセリフを繰り出す

 首脳会談に向けてトランプ流の揺さぶりは露骨だ。

 まず相手を言葉で脅し、攻撃して揺さぶり、慌てさせる。そこで相手から有利な取引を引き出すのがトランプ流の交渉術だ。今回も日米首脳会談を控えた先月下旬、安倍首相を名指しで、「『こんなに長い間、米国をうまくだませたなんて信じられない』と、ほくそ笑んでいる。そんな日々はもう終わりだ」とつぶやいている。また先日も日本を名指しで、「何年も貿易で米国に打撃を与えてきた」と言う。

 もうトランプ氏のお決まりの常套手段だと十分に分かっているのだから、メディアも反応しなければいいものを、「叩かれ症候群」の日本のメディアはつい反応してしまう。それでは相手の思うつぼだ。こういう相手には無視するのが一番なのだ。

トランプ大統領:TPP復帰の本気度、実はゼロに近い

 さらに環太平洋経済連携協定(TPP)復帰をちらつかせた発言もそうだ。トランプ氏はTPP復帰に向けた条件の検討をライトハイザーUSTR代表に指示した。だがこれも1月のダボス会議での発言と同様、本気ではないだろう。

 トランプ氏のダボス発言を受けて、日本のメディアはトランプ政権の方針転換だとして大々的に報じたが、私はそれに疑問を呈して「単なる揺さぶり、思わせぶりだろう」と指摘した(参照:米国のTPP復帰はトランプ流の揺さぶりか)。

 その後今日に至るまで、トランプ政権内ではTPP復帰を検討した形跡が全くない。日本のメディアの勇み足は「誤報」と言われても仕方がない。

 今回の発言も農業州の共和党議員との会合での発言だということを考えると、11月の中間選挙を睨んだ農業団体の不満へのリップサービスに過ぎない。本気度は限りなくゼロに近い。

トランプ政権:「TPPの再交渉」は二国間交渉を迫る口実

 そして、これは日米首脳会談を控えたタイミングだということも関係する。TPPは3月に署名を終え、あとは早期発効に向けて国会承認を得ようとしている矢先だ。安倍総理としては、それまでは波風を立たせたくないというのが本音だろう。日本は米国にTPPに復帰してもらいたいのはヤマヤマだが、TPPの再交渉に応じるという選択肢はない。

 そこでTPPの再交渉を条件に復帰をちらつかせ、再交渉が嫌なら、“日米FTAがらみ”の二国間の協定を迫るという、トランプ流の「揺さぶり戦術」だと見たほうがいい。これも見え透いた交渉術で、そもそもTPP復帰によって大統領選でのコアの支持層の反発を招きかねないリスクを冒すはずがないのだ。

 そのことを念頭に置いて、こうした揺さぶりは受け流すのが得策だ。そもそもトランプ氏はTPPに復帰する考えはないのだから、トランプ氏の単なる揺さぶり発言をまともにとらえて、「TPP再交渉かFTAか、米国は二者択一の選択を迫る」という一部の報道ぶりも、ややずれていると言わざるを得ない。

トランプ政権:対日FTA要求をより鮮明に

 むしろトランプ大統領は、日米FTAに向けた圧力をより鮮明にしてくるだろう。日米FTAについては、これまではライトハイザーUSTR代表など取り巻きの幹部しか言及しておらず、トランプ氏は一切言及していなかった。

 その背景はこうだ。ポイントは、昨年スタートした日米経済対話である。ペンス副大統領と麻生副首相による枠組みで昨年2月の日米首脳会談で合意され、これまで2度ほど開催された。そして、そこでの議論がいずれ日米FTAの交渉開始につながってくるので、それまでは敢えて日米FTAとは言わない、との暗黙の共通認識が日米間であったようだ(参考:事実上、「日米FTA交渉」は既に始まっている)。要するに日米経済対話での進捗を踏まえて「期が熟せば」ということなのだ。

 トランプ大統領としては、11月の中間選挙を前にして、TPP離脱によって相対的に国際競争が不利になる畜産業界の反発を、前述のリップサービスだけでいつまでも乗り切れるわけでもない。そうすると、勢いそろそろ日米FTAをより鮮明にしたいとの誘惑にかられるのも頷ける。一方、日本としてはTPP批准の国会審議もあり、まだその時期ではないということだろう。いずれにせよ日米間で水面下での綱引きが行われていた。

コメント8件コメント/レビュー

対中国,対北朝鮮と同時に対ロシア,対デジタルエコノミーの対話を深めて共通利害を確認して共同歩調をアピールする事。広範囲の協議を定期的に行う枠組みを作ることで首脳会談の意義を高め,大所高所の議論,高度の戦略的指針確認を主目的にして,細目は実務家にゆだねる枠組みを作ることが日米にとっても環太平洋にとっても有意義な会談運営ではなかろうか。(2018/04/17 15:02)

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「直前予想、日米首脳会談はこうなる!」の著者

細川 昌彦

細川 昌彦(ほそかわ・まさひこ)

中部大学特任教授(元・経済産業省米州課長)

1955年1月生まれ。77年東京大学法学部卒業、通商産業省入省。「東京国際映画祭」の企画立案、山形県警出向、貿易局安全保障貿易管理課長などを経て98年通商政策局米州課長。日米の通商交渉を最前線で担当した。2002年ハーバード・ビジネス・スクールAMP修了。2003年中部経済産業局長として「グレーター・ナゴヤ」構想を提唱。2004年日本貿易振興機構ニューヨーク・センター所長。2006年経済産業省退職。現在は中部大学で教鞭をとる傍ら、自治体や企業のアドバイザーを務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

対中国,対北朝鮮と同時に対ロシア,対デジタルエコノミーの対話を深めて共通利害を確認して共同歩調をアピールする事。広範囲の協議を定期的に行う枠組みを作ることで首脳会談の意義を高め,大所高所の議論,高度の戦略的指針確認を主目的にして,細目は実務家にゆだねる枠組みを作ることが日米にとっても環太平洋にとっても有意義な会談運営ではなかろうか。(2018/04/17 15:02)

この局面で、もし民主党政権時代の首相が今も続いていたらと考えると、もう絶望的になりますね。
安倍総理におかれましては、くだらないネタで騒ぐ人たちの雑音は気にせず、階段に臨んで欲しいと心より応援申し上げます。

ちなみに、首脳会談ですので、記事に書かれたほとんどの事項はもう決まってるのではないでしょうか。
北朝鮮とシリア関連は、会談でこんごの対応を詰めていくとは思いますが。(2018/04/17 12:31)

「安倍〜、お前はツイッターで反撃しないから、森友とか加計とか、こういう事態になるんだぜ!」
「でも僕、ああいうもんは苦手で〜」
「苦手だったら、俺がいい専門家を紹介してやるからよ〜」
「ほんと〜?じゃあ妻の分も紹介して欲しいな〜」
みたいな話をついでにするのでは?
そして、マスコミのフェイクニュース攻撃で、再び安倍支持率は上昇!するかもね。(2018/04/17 11:29)

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