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熊本地震で全国のトヨタの工場が止まる理由

ジャストインタイムの罪か、フォース・マジョール(不可抗力)か

2016年4月19日(火)

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被災したアイシン精機子会社の工場(熊本市) (写真:菅 敏一)

 トヨタ自動車は熊本で発生した地震の影響で、国内にある16の車両工場のうち15工場を段階的に、23日まで停止する。アイシン精機の子会社であるアイシン九州(熊本市)とアイシン九州キャスティング(同)の工場が被災し、ドア部品やエンジン部品の調達が滞ったためだ。トヨタは2月初旬、愛知製鋼の爆発事故を受けて全16工場を6日間にわたって停止し、約9万台の生産を遅らせた。今回もサプライヤーの被災がトヨタの車両生産全体に大きなダメージを与えることになりそうだ。

 アイシンの2工場は14日から稼働を停止している。「14日夜に全従業員が避難し、18日午前に初めて内部を確認したが、生産エリアの被害状況はいまだ完全に把握できていない」(アイシン精機広報)という。

東日本大震災の教訓は生かされたか

 状況確認を難しくしている要因の一つに、2工場が共同で使用している配電設備の故障がある。周辺の停電は解消されているが、工場内部は通電していない。そのため、「どのラインが稼働できるのかの判断にはまだ時間がかかる」(同)。

 トヨタは2011年の東日本大震災の時も、半導体部品などのサプライチェーンが寸断されて工場の稼働を停止した。その後、リスク分散体制を整備。ティア2(2次下請け)を含め、数千点の部品調達先と代替生産が可能な工場を洗い出し、「RESCUEシステム」と呼ぶデータベースを構築してきた。有事の際、すぐに生産に支障が出る品目を特定し、別の調達先への代替生産を迅速に実施できるようにするためだ。

 実際、今回の震災でこれが生きたという。「東日本大震災以前だったら、このタイミングで調達が滞りそうな部品を特定し、代替調達先の検討に入ることはできなかっただろう。今回はすでに検討の段階に入っている」(トヨタ広報)。24日以降の工場稼働については、20日をめどに判断する予定だ。

 とはいえ、今回も工場を一定期間、停止せざるを得なかった。こうしたことが起こるたびに出る批判が、「在庫を持たないジャストインタイムがサプライチェーン寸断の影響を増大させた」というもの。しかし、そう言い切れない事情が自動車などの組立メーカーにはある。

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「熊本地震で全国のトヨタの工場が止まる理由」の著者

池松 由香

池松 由香(いけまつ・ゆか)

日経ビジネス記者

北米毎日新聞社(米国サンフランシスコ)で5年間、記者を務めた後、帰国。日経E-BIZ、日経ベンチャー(現・日経トップリーダー)、日経ものづくりの記者を経て、2014年10月から日経ビジネス記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

島津 翔

島津 翔(しまづ・しょう)

日経ビジネス記者

2008年東京大学大学院工学系研究科修了、日経BP社に入社。建設系専門誌である日経コンストラクション、日経アーキテクチュアを経て、2014年12月から日経ビジネス記者。担当分野は自動車、自動車部品。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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