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東芝会計問題、「不適切」が「粉飾」に変わるとき

利益のかさ上げはいつ、誰が、指示したのか

2015年7月17日(金)

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 東芝は複数の部門で利益をかさ上げし、それを社長自らが主導していた疑いが濃くなった。不適切会計の総額は1700億~2000億円に膨れ上がり、経営陣の刷新は不可避だ。日本を代表する名門企業の「闇」は、日本市場全体の信頼すら揺るがす一大事である。

 「工夫しろ」

 東芝で不適切な会計が行われていた2009~13年、前社長の佐々木則夫氏(現副会長)は、利益が計画に届かない部署に対しメールや口頭で、こんな圧力をかけていたことが、関係者の証言で明らかになった。佐々木氏は副会長を退任する見通しだ。

 「工夫」が「粉飾」を指したかどうかは今後の調査を待つしかない。ただ、その一言が持つ意味を、優秀な東芝の社員たちは暗黙のうちに理解したのだろう。彼らの従順な行動は積もり積もって、利益を1700億~2000億円もかさ上げすることになったと見られる。

 一方、佐々木氏の後を受けて社長に就任した田中久雄氏も、現場に利益の水増し圧力をかけていたと指摘されている。事実なら社長辞任は必至だ。

 連結売上高約6兆5000億円、従業員数20万人の巨大企業の中枢で何が起きていたのか。浮かんできたのは日本を代表する名門企業を率いていると思えない、醜い権力闘争の痕跡である。

社長就任会見で露呈した不仲

東芝の第三者委員会は、佐々木則夫前社長(右)だけでなく西田厚聰元社長(左)にも不適切な会計について事情を聴いている(写真=左:村田 和聡、右:陶山 勉)

 「彼(佐々木氏)は年度の初めに立てた売り上げ目標を一度も達成したことがない」

 佐々木氏の前任である西田厚聰(あつとし)氏は2013年6月、週刊誌のインタビューでこう語った。西田氏と佐々木氏の不仲が明らかになったのはその年の2月、田中氏の社長就任を発表する記者会見でのことだった。

 西田氏が社長候補の田中氏に「東芝を成長軌道に乗せてほしい」と発言すると、佐々木氏は気色ばみ「業績を回復し、成長軌道に乗せる責任は果たした」と反駁した。

 2人の対立が表面化したのはこの時だが、西田氏はかなり前から社内で佐々木氏の経営に不満を漏らしていたという。関係者の間では、西田氏に「業績を上げろ」とプレッシャーをかけられた佐々木氏が現場に「工夫しろ」と圧力をかけた、との見方が有力だ。

コメント8件コメント/レビュー

 ウエスチングハウスの暖簾代償却、繰り延べ税資産の取り崩しにも切り込んでほしい。
 そもそも、今回の粉飾の発端は原子力部門にあるのでは?
 原子力部門の数字、会社発表より実際はもっと悪いのでは?
 貴社の今後の記事に期待します。(2015/07/24 17:19)

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「東芝会計問題、「不適切」が「粉飾」に変わるとき」の著者

大西 康之

大西 康之(おおにし・やすゆき)

ジャーナリスト

日本経済新聞産業部記者、欧州総局(ロンドン)、日経ビジネス編集委員、日本経済新聞産業部次長、産業部編集員などを経てフリーのジャーナリストに。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

 ウエスチングハウスの暖簾代償却、繰り延べ税資産の取り崩しにも切り込んでほしい。
 そもそも、今回の粉飾の発端は原子力部門にあるのでは?
 原子力部門の数字、会社発表より実際はもっと悪いのでは?
 貴社の今後の記事に期待します。(2015/07/24 17:19)

今年1月23日の台湾聯合報に、スマホで有名な中国の華為(ファーウエイ)の創業者がダボスで英国のBBCに「約5千名の幹部が不正経理を行ったと白状したので許した」と語った記事が載った。15万人社員の約3.3%もの幹部が会計操作をやったという驚愕の内容だ。英語のeconomyを自国語に翻訳するに「理財」とした中国であるから推して知るべしだろう、でも「経済(経世済民)」と訳した日本国民は到底こんな事は起こさないに違いないと勝手に信じていた。東芝の「不適切会計」はこの思い込みを吹き飛ばした。日本企業が「いろいろあるだろう国」と同程度だと世界の人々に知らしめた。トップと幹部の不正経理との関わりはまだ不明確だが、ファーウエイ創業者の任正非氏は1944年また一連の端緒と推定される西田厚總氏は1943年生まれ。幼少期が戦後の混乱期だった日本では団塊の世代に属するのは偶然か。信用を重ねてきた日本国民の戦後70年だったはずだが”いい歳をしていったい何を学んできたのか”。「信用を築くに百年失うは一瞬」というが一億の民草の不断の努力を一部のトップが無にしてしまった。東芝は今後百年間公職追放でも丁度良い。(2015/07/21 22:37)

権力の権化で有名で、権力を得るためには、手段を選ばなかった西田とその部下たち。社長時代の西室氏は西田を認めなかったにもかかわらず、岡村は西田を社長にしてしまった。すべての不幸はその時に始まった。(2015/07/21 09:28)

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