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「お飾り」だった東芝の社外取締役

内部統制の専門家、八田進二氏が語る企業統治の「魂」

2015年8月4日(火)

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 「東芝の社外取締役は“お飾り”だった」――。

 かつて金融庁企業会計審議会の内部統制部会を率いた、青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科の八田進二教授はこう語る。社外取締役に求められる「監督」機能が不十分だった結果、東芝の企業統治の仕組みが形骸化したという。経営トップの方針を忠実に実行したという意味では、東芝の内部統制は「(逆の意味で)優等生」だったとも指摘する。

(聞き手は小笠原 啓)

東芝の不正会計問題に関連して、日経ビジネスオンラインでは企業のコンプライアンス(法令遵守)についてアンケートを実施しています。通常の方法では達成不可能な業務目標(チャレンジ)が強制されてきた東芝と同様な経験をお持ちではないでしょうか。率直なご意見をお聞かせください。

回答はこちらから(アンケート回答サイトが開きます)

青山学院大学大学院の八田進二教授。「第三者委員会報告書格付け委員会」の委員も務める

東芝は2003年に委員会設置会社に移行し、ガバナンス(企業統治)の仕組みでは国内のトップランナーでした。なぜ、今回のような不正会計を防げなかったのでしょうか。

八田:結局は、器を作っても魂を入れられなかったということでしょう。仕組みや社内規定といった形式を整えても、運用を間違えると意味がない。今回の問題からは、多くの反省材料が摘出できます。

 東芝のトップには恐らく、上場企業が社会の公器であるという意識が希薄だったのでしょう。自分たちの保身や組織防衛のために企業を私物化したことが、今回の背景にあります。

優秀な頭脳を間違った方向で活用

 権限を持つトップがそうした意識に染まると、社内の雰囲気は変わっていく。東芝のような「偏差値の高い組織」だとなおさらです。頭が良い部下は、1を聞いて100を知ってしまう。直接的な命令に限らず「あうんの呼吸」で指示されても、部下はトップの意図を忖度して行動に移してしまう。優秀な頭脳を、間違った方向に使っているわけです。

 トップからミドルに指示が伝わる過程で、誰かが倫理観や正義感を持っていれば、もっと早い段階で歯止めをかけられたはずです。ところが今回、外部機関への告発でしか問題を明らかにできなかった。東芝の組織全体のDNAに、根深い問題が潜んでいると言わざるを得ない。

 そうなると、是正は簡単ではありません。トカゲの尻尾と一緒で、一部を切っても復活してくるからです。取締役や執行役を切るだけでは足りない。過去3代の執行部に関与した幹部は、本社の中核部門から外すぐらいの意気込みがないと、東芝の再生は難しいでしょう。

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「「お飾り」だった東芝の社外取締役」の著者

小笠原 啓

小笠原 啓(おがさわら・さとし)

日経ビジネス記者

早稲田大学政治経済学部卒業後、1998年に日経BP社入社。「日経ネットナビ」「日経ビジネス」「日経コンピュータ」の各編集部を経て、2014年9月から現職。製造業を軸に取材活動中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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