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Jアラートで我々は何を警戒すべきなのか

弾道ミサイルを探知して国民に知らせるシステムを理解する

2017年9月4日(月)

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北朝鮮のミサイル発射を受け、日本政府はJアラートで北海道など12道県に警報を出した。日本国内に直接の被害はなかったものの、警報の在り方をめぐって様々な意見が出た(写真:AP/アフロ)

 8月29日の早朝、北朝鮮が太平洋上に向けて弾道ミサイル「火星12」を発射した。このとき、東日本各地で「Jアラート(全国瞬時警報システム)」が作動して警報を発した。対象は北海道を含め、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、長野の12道県。着弾したのが北海道の襟裳(えりも)岬から東へ約1180km離れた位置であったため、「警報が出る範囲が広すぎる」という批判が上がった。また、「(着弾する)数分前に警報を出されても意味がない」といった指摘もある。

 こうした批判が出るのは、弾道ミサイルを探知して国民に警報するシステムへの理解が不足しているためではないか。そこで本稿では、弾道ミサイル発射に対する警戒・追尾の仕組みと合わせて解説したい。

Jアラートとは

 弾道ミサイル情報、津波警報、緊急地震速報など、対処に時間的余裕のない事態に関する情報を国(内閣官房・気象庁から消防庁を経由)から送信し、市町村防災行政無線(同報系)等を自動起動することにより、国から住民まで緊急情報を瞬時に伝達するシステム

弾道ミサイルの飛び方

 弾道ミサイルに対する警戒・追尾について理解するためには、弾道ミサイルの飛翔について知る必要がある。野球の外野手を例に考えると分かりやすい。

 外野に打球が飛んで、それを見た走者が本塁に向けて走っているとする。すると外野手は、ボールをとって本塁にいる捕手のところに投げる。このとき、自分がいる位置から捕手の位置までの距離と方向を見定めて、ボールを投げる向き、投げ上げる角度、投げる力を加減している。

 弾道ミサイルの発射も、これと同じである。発射地点と目標地点を決めれば、両者を結ぶ弾道飛行のコースは物理法則によって確定する。それにより、ミサイルを発射する方位、ミサイルを発射する際の角度、ミサイルが到達すべき速度という三大諸元が決まるので、それを発射の際に設定する。

 実際の発射では、発射台からミサイルを撃ち出すときには真上に向けている。離昇した後で少しずつ向きを変えて、発射の際に設定した方位・角度に向かうようになっている。そして、発射の際に設定した速度に達したところでエンジンの燃焼を停止させるか、先端部に搭載した再突入体を放出すると、その後は慣性によって目標地点まで飛翔する。

 米軍の「トマホーク」のような巡航ミサイルであれば、飛行中に針路・高度・速度を変えられるのだが、弾道ミサイルは慣性飛行に移るまでの段階ですべてが決まってしまう点に特徴がある。

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「Jアラートで我々は何を警戒すべきなのか」の著者

井上 孝司

井上 孝司(いのうえ・こうじ)

テクニカルライター、軍事研究家

日本マイクロソフトを退職後、1999年にテクニカルライターとして独立。主に技術解説記事を手掛け、IT分野から鉄道・航空・軍事まで幅広くカバーしている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師