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Jアラートで我々は何を警戒すべきなのか

弾道ミサイルを探知して国民に知らせるシステムを理解する

2017年9月4日(月)

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弾道ミサイルの探知・追尾

 では、その弾道ミサイルを探知・追尾する側の仕組みはどうなっているか。
まず、発射の探知には赤外線を使用する。ロケットを作動させた際に噴射する排気ガスから赤外線が放射されるので、それを人工衛星に搭載した赤外線センサーで探知する仕組みだ。米軍の場合、DSP(Defense Support Program、国防支援計画衛星)、あるいはその後継となるSBIRS(Space-Based Infrared System、宇宙配備赤外線システム)といった弾道ミサイル早期警戒衛星がある。

 ただし、早期警戒衛星が発射を探知した時点で分かるのは、「どの地点で赤外線放射が発生したか」までである。その時点では、まだミサイルは上昇と方位変化の途上にあるので、どちらに向けて飛翔しているかは分からない。

 加えて、赤道上空の高度約3万6000kmという位置にある早期警戒衛星が、分解能(データのきめの細かさ)の低い赤外線を使って探知するため、飛翔経路を精確に追尾するのは無理がある。

 その後のミサイルの飛翔を追尾するには、もっと精度が高い探知手段、すなわちレーダーが必要である。その一例が、米軍が車力分屯基地(青森県つがる市)と経ヶ岬通信所(京都府京丹後市)に配備しているXバンド・レーダー「AN/TPY-2」である。

 これはもともとTHAAD(Terminal High-Altitude Area Defense)弾道弾迎撃ミサイルを管制・誘導する目的で開発されたレーダーだが、ソフトウエアを変更して、弾道ミサイルの追尾に専念する動作モードが加えられた。ミサイルの射撃管制を行うときと比べると、追尾に専念する方が探知可能距離は長く、一説によると4000kmに達するという。

 また、航空自衛隊が日本国内の4カ所(下甑島、佐渡、大湊、与座島)に配備している大型レーダー「J/FPS-5」も、弾道ミサイルの追尾が可能である。

 注意しなければならないのは、地球は球体であり、表面が丸みを帯びている点である。そのため、たとえ4000kmの探知距離があっても、4000km遠方で離昇したミサイルを直ちに探知することはできない。そのミサイルが地平線から姿を現すと初めて探知できるので、実際に探知可能な距離は仕様上の探知可能距離よりも短くなる。

段階的に危険範囲が狭まる

 ともあれ、高い分解能を持つ「AN/TPY-2」や「J/FPS-5」といった地上設置レーダー、あるいは洋上に展開させたイージス艦の対空捜索レーダー「AN/SPY-1」を使って連続的に追尾することで、弾道ミサイルの飛翔経路と速力が分かる。

 その時点で初めて、ミサイルが描く弾道飛行の経路が分かり、着弾地点の予測が可能になる。そうやって得られたデータが、日本政府を通じて「Jアラート」によって一般市民レベルまで流れてくる。

コメント7件コメント/レビュー

こうしたことは知って、うまく情報を使って被害を少なくすることにはもちろん大賛成。

私が最も気になるのは、情報を受けて、建物に入ったり、伏せたりしたら、(完全に)安全というようなイメージを与えかねないことです。そんな風に思うのは私だけでしょうか。

水爆でなくプルトニウム爆弾でも、爆心地から数キロ範囲は、瞬間に溶けて死ぬことになるでしょうか。何をしても無駄です。一旦、爆撃を受ければ、そうした可能性もあるということを忘れさせるイメージを与えることが心配です。迎撃ミサイルでも完全には撃ち落とせないだろうから、一旦戦争(開始)状態になるとはそういうことだ、という認識を間違った情報で誤らせる恐れを強く感じます。

もっと言えば、いくら、政府(国、総理大臣)が、国民を守る、といってもそれは無理だ、ということを忘れさせかねない。それが、我々の判断をどれだけ誤らせかねないことか。
最大限に守る、というのは、ひど場合には、言葉の遊びです。

伏せようが何をしようが、竹やりでB29と戦う、といっていたころ以下の衛りかもしれないと思います。それを忘れさせる可能性のある警報(の発令、使い方)は、時に犯罪的だと思います。(2017/09/05 05:32)

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「Jアラートで我々は何を警戒すべきなのか」の著者

井上 孝司

井上 孝司(いのうえ・こうじ)

テクニカルライター、軍事研究家

日本マイクロソフトを退職後、1999年にテクニカルライターとして独立。主に技術解説記事を手掛け、IT分野から鉄道・航空・軍事まで幅広くカバーしている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

こうしたことは知って、うまく情報を使って被害を少なくすることにはもちろん大賛成。

私が最も気になるのは、情報を受けて、建物に入ったり、伏せたりしたら、(完全に)安全というようなイメージを与えかねないことです。そんな風に思うのは私だけでしょうか。

水爆でなくプルトニウム爆弾でも、爆心地から数キロ範囲は、瞬間に溶けて死ぬことになるでしょうか。何をしても無駄です。一旦、爆撃を受ければ、そうした可能性もあるということを忘れさせるイメージを与えることが心配です。迎撃ミサイルでも完全には撃ち落とせないだろうから、一旦戦争(開始)状態になるとはそういうことだ、という認識を間違った情報で誤らせる恐れを強く感じます。

もっと言えば、いくら、政府(国、総理大臣)が、国民を守る、といってもそれは無理だ、ということを忘れさせかねない。それが、我々の判断をどれだけ誤らせかねないことか。
最大限に守る、というのは、ひど場合には、言葉の遊びです。

伏せようが何をしようが、竹やりでB29と戦う、といっていたころ以下の衛りかもしれないと思います。それを忘れさせる可能性のある警報(の発令、使い方)は、時に犯罪的だと思います。(2017/09/05 05:32)

単なる空襲警報に過ぎない
先の大戦でも、空襲警報の下でも多くの人間が死んでいる
こんな、つまらないことに金や暇を費やすより、ミサイルを打たせない、ミサイルを打ち落とすことに金を使うべきだろう
単なる現政府の自己満足にすぎない
安倍政権が誕生して、もう4年余り、その間、何をしてきたのか、その答えがJアラートということなのか
東京にミサイルが着弾しても、自分はシェルターに早々と隠れて、都民は置いてきぼり
東京にミサイルが向かってきたら、シェルターは開放するのか?
そんなことはしないだろう
自分たちの安全は確保されているので、国民のことなどまともに考える気はないのだろう(2017/09/04 21:31)

このシステムに難癖付けてる連中は自民党政権だからケチ付けてるのであって、これが民進党政権だったら『こんな有益なシステムにケチ付けるやつは非国民だ』くらいのことは平気で言うからな。間違いなく。(2017/09/04 17:31)

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