Jアラートで我々は何を警戒すべきなのか

弾道ミサイルを探知して国民に知らせるシステムを理解する

北朝鮮のミサイル発射を受け、日本政府はJアラートで北海道など12道県に警報を出した。日本国内に直接の被害はなかったものの、警報の在り方をめぐって様々な意見が出た(写真:AP/アフロ)

 8月29日の早朝、北朝鮮が太平洋上に向けて弾道ミサイル「火星12」を発射した。このとき、東日本各地で「Jアラート(全国瞬時警報システム)」が作動して警報を発した。対象は北海道を含め、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、長野の12道県。着弾したのが北海道の襟裳(えりも)岬から東へ約1180km離れた位置であったため、「警報が出る範囲が広すぎる」という批判が上がった。また、「(着弾する)数分前に警報を出されても意味がない」といった指摘もある。

 こうした批判が出るのは、弾道ミサイルを探知して国民に警報するシステムへの理解が不足しているためではないか。そこで本稿では、弾道ミサイル発射に対する警戒・追尾の仕組みと合わせて解説したい。

Jアラートとは

 弾道ミサイル情報、津波警報、緊急地震速報など、対処に時間的余裕のない事態に関する情報を国(内閣官房・気象庁から消防庁を経由)から送信し、市町村防災行政無線(同報系)等を自動起動することにより、国から住民まで緊急情報を瞬時に伝達するシステム

弾道ミサイルの飛び方

 弾道ミサイルに対する警戒・追尾について理解するためには、弾道ミサイルの飛翔について知る必要がある。野球の外野手を例に考えると分かりやすい。

 外野に打球が飛んで、それを見た走者が本塁に向けて走っているとする。すると外野手は、ボールをとって本塁にいる捕手のところに投げる。このとき、自分がいる位置から捕手の位置までの距離と方向を見定めて、ボールを投げる向き、投げ上げる角度、投げる力を加減している。

 弾道ミサイルの発射も、これと同じである。発射地点と目標地点を決めれば、両者を結ぶ弾道飛行のコースは物理法則によって確定する。それにより、ミサイルを発射する方位、ミサイルを発射する際の角度、ミサイルが到達すべき速度という三大諸元が決まるので、それを発射の際に設定する。

 実際の発射では、発射台からミサイルを撃ち出すときには真上に向けている。離昇した後で少しずつ向きを変えて、発射の際に設定した方位・角度に向かうようになっている。そして、発射の際に設定した速度に達したところでエンジンの燃焼を停止させるか、先端部に搭載した再突入体を放出すると、その後は慣性によって目標地点まで飛翔する。

 米軍の「トマホーク」のような巡航ミサイルであれば、飛行中に針路・高度・速度を変えられるのだが、弾道ミサイルは慣性飛行に移るまでの段階ですべてが決まってしまう点に特徴がある。

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著者プロフィール

井上 孝司

井上 孝司

テクニカルライター、軍事研究家

日本マイクロソフトを退職後、1999年にテクニカルライターとして独立。主に技術解説記事を手掛け、IT分野から鉄道・航空・軍事まで幅広くカバーしている。

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いただいたコメントコメント7件

こうしたことは知って、うまく情報を使って被害を少なくすることにはもちろん大賛成。

私が最も気になるのは、情報を受けて、建物に入ったり、伏せたりしたら、(完全に)安全というようなイメージを与えかねないことです。そんな風に思うのは私だけでしょうか。

水爆でなくプルトニウム爆弾でも、爆心地から数キロ範囲は、瞬間に溶けて死ぬことになるでしょうか。何をしても無駄です。一旦、爆撃を受ければ、そうした可能性もあるということを忘れさせるイメージを与えることが心配です。迎撃ミサイルでも完全には撃ち落とせないだろうから、一旦戦争(開始)状態になるとはそういうことだ、という認識を間違った情報で誤らせる恐れを強く感じます。

もっと言えば、いくら、政府(国、総理大臣)が、国民を守る、といってもそれは無理だ、ということを忘れさせかねない。それが、我々の判断をどれだけ誤らせかねないことか。
最大限に守る、というのは、ひど場合には、言葉の遊びです。

伏せようが何をしようが、竹やりでB29と戦う、といっていたころ以下の衛りかもしれないと思います。それを忘れさせる可能性のある警報(の発令、使い方)は、時に犯罪的だと思います。(2017/09/05 05:32)

単なる空襲警報に過ぎない
先の大戦でも、空襲警報の下でも多くの人間が死んでいる
こんな、つまらないことに金や暇を費やすより、ミサイルを打たせない、ミサイルを打ち落とすことに金を使うべきだろう
単なる現政府の自己満足にすぎない
安倍政権が誕生して、もう4年余り、その間、何をしてきたのか、その答えがJアラートということなのか
東京にミサイルが着弾しても、自分はシェルターに早々と隠れて、都民は置いてきぼり
東京にミサイルが向かってきたら、シェルターは開放するのか?
そんなことはしないだろう
自分たちの安全は確保されているので、国民のことなどまともに考える気はないのだろう(2017/09/04 21:31)

このシステムに難癖付けてる連中は自民党政権だからケチ付けてるのであって、これが民進党政権だったら『こんな有益なシステムにケチ付けるやつは非国民だ』くらいのことは平気で言うからな。間違いなく。(2017/09/04 17:31)

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