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難民受け入れをめぐって東西に分裂するEU

  • 渡邊 啓貴

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2015年9月4日(金)

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 欧州は、中東・アフリカから押し寄せる難民の波に苦悩している。8月下旬にはオーストリアで、難民と見られる71人の死体を積んだトラックが発見された。8月末にも、摘発されたワゴン車に20人ばかりの難民が乗っていた。

 大胆さで話題を呼んだのは命を懸けたドーバー海峡の横断だ。フランス北西部カレー市から、ユーロトンネルを通って英国に密入国する難民が後を絶たない。7月末にはわずか2日間で、海峡横断による密入国が2000件も試みられた。その方法はトラックの幌の上や車両の屋根に飛び乗ったりする危険な行為だ。6月からの2か月半で少なくとも9人の死者が確認されている 

 EU(欧州連合)は9月14日に緊急内相会議を開催する。事態の打開が難しい中、EUが抱える苦悩は深い。

 こうした難民の悲劇を終わらせるために、英仏両国の内相が8月半ばに協議して、トンネルの仏側入口付近に塀の構築、警察官の増員と監視カメラの増設などで合意した

 他方で、東南欧諸国に達する移民も大きな課題となっている。ギリシャのコス島やマケドニア南部の街では、大量に押し寄せた難民たちと現地住民との摩擦が生じている。現地住民が難民に食糧を提供したところ、その周辺に難民が居着いてしまう事例が続発している。治安当局との衝突にまで発展した事例もある。治安当局は催涙ガス弾まで投じて対応した。

拡大、多様化する難民流入

 2011年頃からリビアなど地中海南岸からイタリア・ギリシャなど南欧諸国への密航者が問題になり始めた。欧州でシェンゲン協定(域内移動の自由を保障する協定)に加盟している国の間では、ある加盟国で入国を許可された第三国人は、他の加盟国への入国が自動的に許される仕組みになっている。イタリアから入国した中東・アフリカ諸国の難民がフランスへ大量に流れたことから、フランスは2011年春、イタリア国境からの移民の流入を一時的に停止した。シェンゲン協定廃棄論は極右だけでなく、フランスやスイスで特に強い声となりつつある。

 この春には、アフリカから地中海を渡りギリシャ・イタリアに流入する難民をすし詰めにした船舶が転覆する事故が相次いで、世界が注視するところとなった。4月下旬にリビア沖で起きた転覆事故では900人もの死者が出たといわれる。

 その頃からようやく密航船の取り締まりに本気になったEUは、4月の内相・外相閣僚理事会で10項目の行動計画を採択。救助活動や国境警備の強化や、密航船の捕獲・破壊を決めた。そして難民を各国に割り当てる措置を検討するようになった。しかし6月には、EUが提案する割当数を中欧諸国が受け入れない旨を公言。

 6月末のEU首脳会議は4万人の難民を受け入れること決めたが、割当数についてはいまだに合意はない。各国の自発的な措置に任されている。

 事態が一層深刻化していることは、難民の移動経路が多様化しつつあることに明らかである。難民が密入国する国は依然としてギリシャ・イタリアが最も多い。ギリシャは今年7月までに12万人、イタリアは9万人で昨年のペースを大きく上回っている。

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