• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

自衛隊員がテロリストと対峙した時に備えよ

安保関連法が成立して日本が抱える新たな課題

  • 川上 高司

バックナンバー

2015年9月25日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 安全保障法案は9月19日に参議院で強行採決が行われ成立した。安倍内閣が昨年7月に集団的自衛権の行使容認を閣議決定してから、ガイドライン改定を経て安全保障法案が可決される一連の流れは「安保改革」として捉えることができよう。

 その「安保改革」は二つのことを日本にもたらした。一つ目は、戦後日本の安全保障政策の大転換である。日本は「普通の国」となり、自衛隊が普通の軍隊として見なされることとなった。

米国との対等な同盟に近づく

 日本は米国と共に「アジア太平洋およびこれを超えた地域が安定し平和で繁栄したもの」 になることを目的とし、平時から有事までシームレス(切れ目なく)に自衛隊が米軍を支援できるようになった。

 これまでのガイドラインは自衛隊が活動できる地理的範囲を「日本周辺」に限っていたが、今後は地理的制約を撤廃し地球規模で活動できるようになる。共同対処や国際貢献を可能にする協力体制を日米で構築するものとなった。加えて、米軍は自衛隊による支援を見込んで、世界規模で軍事作戦を立案できることになる。つまり、自衛隊は米軍の作戦に組み込まれて一体化が進む。

 さらに、米軍の他、オーストラリア軍など他国の軍隊への後方支援にも活動範囲が広がる。また、PKO(国連平和維持活動)などでも自衛隊の武器使用基準が緩和され、米軍が中心となる有志連合による人道復興支援や治安維持活動への参加が容易となる。

 これらの結果、日本の抑止力は高まるが米国が敵と想定する過激派組織IS(イスラム国)などから日本も標的とされることとなる。その一方で、軍事的な役割をきちっと果たすことになれば、日本は米国と対等となり米国にはっきりと要望を言えるようになる。

 このことは、安倍晋三首相の祖父・岸信介元首相が理想とした「対等な同盟」へと一歩近づくことを意味する。「対等な同盟」とは、日本と米国がそれぞれの国益が合致する部分で共通の戦略目標をたて、共同防衛を果たす同盟関係のことである。

安倍政権の手続きの進め方に不満

 「安保改革」の二つ目の影響は日本社会に生じる「びずみ」である。今回の安全保障法案は法案の内容ではなく、その手続き上の問題から反対勢力を生んだ。9月22日の世論調査(FNN)では、安全保障法案成立を「評価しない」56.7%、「評価する」38.3%で評価しないが圧倒的に多かった。その一方で、安全保障法の必要性に関する問いでは「必要」が69.4%、「必要ではない」が24.5%であった。このことは、日本の安全保障上の危機を大半の国民が理解しているが、安倍政権が安全保障法案を進めるやり方が不適切であったと評価していることになる。

 安全保障法案は日本の安全保障上不可欠のものであるにもかかわらず、なぜ、このようなことが起こったのかは分析の対象となる。政府与党の国会対策は、一貫して日本を「普通の国」にすることであった。そのために、安全保障法案に関わる姿勢は以下の制約がかかるものとなった。

  • 手間暇や時間のかかる憲法改正は回避する
  • 国会で揚げ足をとられるような質疑を行わない
  • 中国を脅威だとは名指ししない

 結果として、以下の二つが理由としてあげられよう。一つは、与党側の答弁は首尾一貫していたが、きわめてわかりにくいものとなったこと。もう一つは、与党内で自民党と公明党が法案の妥協案を探るなかで法案自体が非常に曖昧なものとなってしまったことだ。

コメント0

「ニュースを斬る」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

意外なことに、伝統的な観光地が 訪日客の誘致に失敗するケースも 少なからず存在する。

高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員