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中国でEV市場が拡大した裏に大物政治家の失脚

2030年の新エネルギー車市場は1500万台へ

2017年9月28日(木)

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2014年に何が起こったのか

 なにが地方政府を動かしたのか。この年に激変したのは自動車産業を取り巻く政治的環境であった。

 

 新産業の発展は往々にして一部の旧来産業の痛みを伴う。新エネ車の普及により大きな打撃を受けるのが石油産業である。従来、政府との間に太いパイプをもつ石油業界は政治的発言権が強い。以前、排ガス規制を強化しようとした際に、投資負担が重くなる石油業界からの強い反発を受け、導入を先延ばししたという経緯もある。この石油業界が急速な新エネ車へのシフトに反発していた可能性は十分に考えられる。

中国石油閥のドンとして君臨していた周永康氏(写真中央)。汚職を理由に逮捕され、2014年に裁判にかけられた。白髪のまま出廷したその姿に、権力の座から引き落とされた悲哀がにじみ出ていた(写真提供:China Central Television via REUTERS TV/ロイター/アフロ)

 石油業界とつながっていたのが、中国共産党の最高指導部の一人で、国有石油大手・中国石油天然気集団の総経理も務めた周永康政治局常務委員だ。この「石油閥」の大物が当局に拘束され汚職問題で追及されていると中国国内で正式に報道されたのが2014年3月。「石油閥」の弱体化が決定的となった瞬間だった。

 

 これ以降、新エネ車の普及推進に関する重要文書が国務院より矢継ぎ早に発表された。例えば、2014年7月には『新エネルギー自動車の普及加速に関する指導意見』が発表され、新エネ車の普及に重点を置く方針が示された。2015年5月に発表された、今後10年間の製造業の発展を示した『中国製造2025』では、省エネ・新エネ車を重点分野の一つに指定し、「飛躍的発展を推進する」と明示した。同年10月には、『電気自動車用充電インフラの整備加速に関する指導的意見』も発表された。政府主導による新エネ車普及推進は急速に強まっていった。

中小メーカーは淘汰され、大手への集約が進む

 

 市場拡大の原動力である多額の補助金は永久的に出し続けることはできない。実際に、2016年比20%の減額が今年から実施されている。2019年からはさらに同40%減となり、2021年以降は廃止される計画である。補助金削減の影響により、2017年上期(1~6月)の新エネ車販売台数は前年同期比14.7%の伸びとなり、2016年の53.1%から鈍化した。

 ただし、補助金削減は負の影響ばかりではない。中国自動車工業協会によると、2016年における新エネ車生産は、一般向けの乗用車が66.7%、バスを中心とする商用車が33.3%と、化石燃料車を含む全自動車生産と比して、後者の比率が突出して高かった。これが、2017年上期には商用車比率が15.6%まで低下しており、補助金が招いた構造的歪みが是正されている。

 

 マーケットが成熟していく過程において、補助金目当てで参入した技術的に劣る中小メーカーは徐々に淘汰され、大手メーカーに集約されるであろう。一時横行した補助金詐取の防止にも資するとされる。

 

 また、補助金を使わない新エネ車の普及推進の動きもある。今後は、生産・輸入が一定規模以上の自動車メーカーに対し一定割合の新エネ車の販売を義務付ける予定だ。

コメント2件コメント/レビュー

四輪車に限った目線の記事なので、2014年以降の政争と絡めて結論付けられたようだが、内燃エンジン車からEVへの転換は、二輪・三輪(中国は農村部で三輪トラクターが盛んに用いられている)の分野では、既に2000年初の段階から転換が進められ、都市部では内燃エンジンのスクーターバイクは禁止、EVバイクの台数は中国全土で1億台を超え、年間1千万台増加している。(この為、街の角々にはキオスク並みの数のワンコイン充電自販機が設置されており、1人民元分から課金式で充電できる。)また、これに伴って、内陸部砂漠地帯では一路一帯計画の幹線鉄道に沿って、大規模な太陽光発電所が続々と建設されていることが、グーグルマップでも簡単に確認できる。この事から、ペトロチャイナ疑獄が直接EV市場の拡大に繋がったとの論調には賛同できない。大きなEV化推進の契機は、前胡錦涛政権時に温家宝総理が主導したスマート&エコシティ計画にあり、その背景には京都議定書をはじめとするCO2削減の国際的な圧力があった事は間違いないだろう。(2017/09/28 12:14)

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「中国でEV市場が拡大した裏に大物政治家の失脚」の著者

西村 友作

西村 友作(にしむら・ゆうさく)

対外経済貿易大学 副教授

1974年熊本県生まれ。2010年に中国の経済金融系重点大学である対外経済貿易大学で経済学博士号取得後、日本人としては初めて同大専任講師として正規採用される。2013年1月より現職。日本銀行北京事務所客員研究員。専門は中国経済・金融。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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四輪車に限った目線の記事なので、2014年以降の政争と絡めて結論付けられたようだが、内燃エンジン車からEVへの転換は、二輪・三輪(中国は農村部で三輪トラクターが盛んに用いられている)の分野では、既に2000年初の段階から転換が進められ、都市部では内燃エンジンのスクーターバイクは禁止、EVバイクの台数は中国全土で1億台を超え、年間1千万台増加している。(この為、街の角々にはキオスク並みの数のワンコイン充電自販機が設置されており、1人民元分から課金式で充電できる。)また、これに伴って、内陸部砂漠地帯では一路一帯計画の幹線鉄道に沿って、大規模な太陽光発電所が続々と建設されていることが、グーグルマップでも簡単に確認できる。この事から、ペトロチャイナ疑獄が直接EV市場の拡大に繋がったとの論調には賛同できない。大きなEV化推進の契機は、前胡錦涛政権時に温家宝総理が主導したスマート&エコシティ計画にあり、その背景には京都議定書をはじめとするCO2削減の国際的な圧力があった事は間違いないだろう。(2017/09/28 12:14)

中国は、原発を大増設中であり、それらが全て稼働しだすとEVへのシフトが加速される。原発の増設は今後も継続すると見られるが、この結果EV化が進行すれば燃油輸入は減り、かつ二次的には核兵器保有でも米露に肩を並べたいと言う願望を一気に達成するのではないか。習近平体制になってからの中国は、世界に覇を唱える方向にまっしぐらで、覇権争いが1世紀遅れの古い考え方である事など気にも留めない。こんな危険な国であるにも拘らず、「世界一の大市場」を武器に西欧諸国にあらゆる面で「協力」を強いている。英独はまるで尻尾を振る犬の様だが、西欧から遠く離れた地での出来事には国民も大して気にもしない。東アジアの国々は、逆に中国の存在感が大きくて力関係的に従わざるを得ない状況にある。こうして中国を俯瞰してみると、中国のEV化促進が環境のためと言うより、はたまた自動車産業での技術的な主導権を握るためでもなく、経済、軍事の世界においても米国を追い越し世界一の実力を手に入れる為の切っ掛けに過ぎないと分かる。(2017/09/28 07:33)

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