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「挑戦を諦めない」DeNA南場会長の反省と覚悟

キュレーション事業、事実上の撤退から亡き夫への思いまで

2017年10月11日(水)

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南場:また、マニュアルを考える過程でも、大きく信用を失ってしまったDeNAがやるとなった時に、現実的な方策はあるのだろうかと行き詰まりました。例えば、写真の使用の許諾一つについても、私たちはその方が実際に写真を撮っている姿を見ているわけではありません。許諾をくださる方々が本当に権利者なのかどうかを見極めるのは、なかなか難しいんですね。記事内容の正確性の確認も同様です。

 MERYでよくあるような、例えばあるファッションが「台湾でも大人気」といった表現があった場合、本当に台湾で大人気なのかの確認や、そもそも大人気の定義も含めて、なかなか難しい。既存のメディア業界の落とし所というのは、会社や媒体の一定の信用が前提となっています。であれば、校閲やライターさんの教育も含めたコンテンツの編集面は、力をお貸しくださると言ってくれた小学館さんに担保していただくのが現実的だという結論に至りました。

 今回の件では、ほかの事業のパートナーさんにも非常にご心配をおかけしてしまいました。自力での再挑戦に対して、大変なご懸念が皆さんからあったのは確かで、総合的に判断した結果です。

ブランドを残し、新会社に出資をする理由

なぜ、MERYブランドを残すのでしょうか。

南場:私たちが一番ご迷惑をおかけしたのは、被害を受けた権利者の方々です。次にご迷惑をおかけしたのは、今まで楽しく使ってくださっていた利用者の方々です。毎日届くクレームに目を通しましたが、特にMERYに関しては、「なんで勝手にやめたのか」「早く復活させてくれ」というご意見が多数、寄せられておりました。

 ですから、MERYが世の中に届けていた「デライト(喜び)」は本物だったんだと。復活を待ち望んでくれている利用者さんたちに、もっともっと素晴らしいMERYを届けることは諦めたくはない。それで、最終的に自力は難しいと判断し、小学館さんの主導という形で、新しいMERYを作っていただく、という結論に至った次第です。

 記事は全て新しいものを新会社で用意する予定ですが、MERYが目指していた「女の子の毎日をかわいくする」という世界観や考え方、ブランドは継続するつもりです。

なぜ、新会社に出資をするのでしょうか。小学館にブランドも含めて譲渡する、という考え方はなかったのでしょうか。

南場:そこは先方のお考えもありますし、ジョイント・ベンチャーでやるんだという協力姿勢を大事にしたかった、ということです。大きい穴を掘ってしまったのであれば汗をかけ、という先ほどの私の思いもあります。

 我々は、大きな間違いを犯してしまいましたが、デジタルマーケティングなど当社が貢献できることがゼロかというと、そうではない。火中の栗を拾い、発展させようとおっしゃってくださる小学館さんに可能な限り、求められるご協力をさせていただきたいという思いです。本当に今回、素晴らしく高い気持ちを持って対応してくださるので。

DeNAとしてはキュレーション事業から撤退するということでしょうか。また、MERY以外の9サイトはどうするのでしょうか。

南場:新会社への協力はありますが、DeNAとしては事実上撤退、というご理解でよいかと思います。ほかのサイトについても、DeNAが単独で再開させることはありません。基本的に小学館さん主導の新会社での意思決定になりますが、まずは新MERYを、ということです。また、一連の問題の契機となったWELQについては、新会社でも当社でも再開することはありません。

社員と南場会長が負った「傷」

この1年、DeNAはキュレーション事業を失っただけではなく、あらゆる意味で傷つきました。

南場:そうですね。社員も、いろいろな傷つき方をしたのだと思います。キュレーション事業をやっていたメンバーは一生懸命頑張っていたのですが、それが世の中にご迷惑を掛けていたんだという、自分たちの知識の無さによって、すごく傷つきました。

 逆に高い倫理観で事業をしていた、例えば遺伝子検査サービスなどを手がけるヘルスケア事業のメンバーも、彼らに責任はありませんが、この事態で大事な案件が飛んでしまったりして、傷つきました。中には、「なんで止めることができなかったんだろう」と悔いた者も多いです。先ほどの全社員の会議では、私の言葉を聞いて、感情的になり、その場で泣き出した者もいました。

南場さん自身も傷ついた。

南場:複雑な気持ちです。こういう状況になるまで、いろいろと社会的におしかりを受けたこともありましたけれども、DeNAという組織の根っこにある生真面目さとか、一生懸命さについては自信があったんですね。でも、その本当の姿を、なかなか正しく世間に伝えきれてない、早くそのギャップを埋めなきゃという気持ちが、私の中にはずっとありました。

 しかし今回、ギャップを埋めるどころか、どうなんだという事態を引き起こしてしまい、組織に対する自分の考え自体を改めなければいけないのかなとか、そもそもギャップなんてなかったんじゃないかとか、思い悩みました。

 あと、世の中にデライトを届けるためにこの会社を作り、社員の人生を彩り豊かにしたいと思ってやってきたはずなのに、社外の多くの方をご立腹させ、傷つけてしまい、社員も傷ついてしまった。それを見て、自分は何をしてきたのかなと、そういう気持ちにもなりました。

 プライベートのこともありましたし、いろいろな意味で、私自身もすごく複雑な傷つき方をしました。けれども、当然、私は最も傷つかなければいけない人間ですので、そのことはあまり言葉にするに値しないと思います。

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「「挑戦を諦めない」DeNA南場会長の反省と覚悟」の著者

井上理

井上理(いのうえ・おさむ)

日経ビジネス記者

1999年慶応義塾大学総合政策学部卒業、日経BPに入社。以来、ネット革命などIT業界やゲーム業界の動向を中心に取材。日本経済新聞への出向を経て2014年4月より日経ビジネスの電機・ITグループ

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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