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サムスンが足をすくわれたスマホ業界の「歪み」

市場が成熟する中で過度なスペック競争が事故を招く

2016年10月13日(木)

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韓国サムスン電子は新型スマートフォン「ギャラクシーノート7」の販売中止に追い込まれた。搭載するカメラで瞳の虹彩を識別してロックを解除できるなど、最新機能を備えたフラッグシップモデルだった(写真:AP/アフロ)

 韓国サムスン電子は10月11日、新型スマートフォン「ギャラクシーノート7」(以下、ノート7)の販売を全世界で中止すると発表した。発売直後から発火事故を繰り返すなどトラブルが続き、生産も中止することを決めた。スマホメーカーとして世界首位の座を維持してきたサムスンであるが、一連のトラブルによるブランドイメージの低下は必至だ。

 スマホ業界では近年、米アップルが毎年秋に新型iPhoneを発売するのが恒例となっている。最大の商戦となるホリデーシーズンを前に、ライバル各社はiPhoneの発売前後にフラッグシップモデルを投入する。最大手のサムスンも新型iPhoneを意識して、8月19日に米国や韓国などでノート7を発売していた(日本では未発売)。

 ノート7はサムスン肝煎りのフラッグシップモデルだった。画面はスマホとしては最大級の5.7インチで、有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルを使っているため両側面はカーブしている。付属するスタイラスペンを使えば、紙のノートのように文字やイラストを手書きできる。また、搭載するカメラで瞳の虹彩を識別してロックを解除できるようにするなど、iPhoneにも搭載されていない最新機能をふんだんに盛り込んだ。

 サムスンがアップルを意識しているのはナンバリングからもよく分かる。ギャラクシーノートのシリーズは前モデルが「5」だったのに、今回の新型ノートは一つ飛ばして「7」とした。新型iPhoneが「7」となることが事前に分かっていたので、それを意識したのは間違いないだろう。

大規模リコールを実施しても問題は収束せず

 その意気込みが空回りしてしまった。発売直後の8月下旬には、充電中に発火したという報告が相次いだ。ネットなどでは、「爆発した」とする動画も流れた。サムスンは9月2日に出荷済みのほぼ全量に当たる250万台を回収・交換する手続きを取った。

 だが、騒動は収まらなかった。9月8日には米連邦航空局が飛行機内での使用と充電を禁止した。この頃から、サムスンはベトナム工場などでの生産台数を減らしていたが、更なる悪夢が襲った。10月に入ると、交換後の端末でも欠陥が見つかった(一部に発火したとの報道もある)。

 その後の対応でもサムスンの迷走は続いた。交換後の端末で再度トラブルに見込まれたため、10月10日までにノート7の販売を「中断」する方針を固めた。この時点では販売再開を目指していたようだが、翌11日になると販売と生産を打ち切ることを決定した。

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「サムスンが足をすくわれたスマホ業界の「歪み」」の著者

齊藤 美保

齊藤 美保(さいとう・みほ)

日経ビジネス記者

2011年中央大学法学部卒業。同年、日本経済新聞社に入社。産業部にて電機、IT、自動車業界を担当した後に、2014年3月から日経ビジネス編集部に出向。精密業界を中心に製造業全般を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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