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その時、日本の寺に嫁いだフランス人妻は

「報復の連鎖を止める」仏教的視座

  • 荻須 真尚

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2015年11月19日(木)

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牡丹の寺として有名な玄向寺

 私は、長野県松本市にある浄土宗玄向寺の副住職を務めている。

 荻須家は、愛知県稲沢市の出身で、一族からはパリの街並みを描き続け、文化勲章を受賞した荻須高徳(1901-1986)を輩出している。私は幼い頃から、「荻須家にはパリで活躍した絵描きがいる」と聞かされて育ったので、フランスという国やパリに対しては、とても良い印象を持ち続けていた。

 私が京都で修行を終えて、自坊に戻ってから2年後のこと。寺の近くの大学に、フランスから女子学生が留学してきた。私の寺は、「牡丹の寺」として知られており、毎年5月には見事な花を咲かせる。このフランス人学生が牡丹を見に、私の寺へやってきた。

 「フランスからやってきた人に、おもてなしをしないと」

 かつて、画家荻須高徳がお世話になった恩返しのつもりで、精一杯の英語を使って、仏教や寺のこと、日本文化のことについて説明した。彼女はどういうわけか、私のことを気に入ってくれ、嫁にやってくることになった。フランスは「仏国」と書くが、まさに「仏(ほとけ)の国」からやってきてくれたんだと、私は舞い上がってしまった。

キリスト教から仏教に改宗

荻須真尚(おぎす・しんしょう) 浄土宗玄向寺副住職
1975年、松本市生まれ。茨城大学人文学部在学中に浄土宗・伝宗伝戒道場を満行。1998年から京都・黒谷金戒光明寺にて修練道場に入行、翌99年に満行。その後、京都大学、仏教大学等で仏教学を学ぶ。現在、浄土宗玄向寺副住職。雅楽の普及・促進を目的とした「松本富貴雅楽会」を主宰し、地元松本を中心に演奏活動を行う。

 しかし、保守的な寺の世界である。将来の住職の妻が外国人でいいのか。思い悩んだ私に父である住職は、「私たちは仏教徒だ。仏教をお開きになられたお釈迦様は、その者の行いによって、その人の将来が決まる、自業自得を説かれている。生まれや人種で決まるものではない。おまえと妻がどう行動していくかが大切だ」と言ってくれた。

 檀信徒の総代様も、「私たちは、お寺を一生懸命護っていってくれる人ならば、喜んで歓迎しよう」と応援してくれた。

 妻は、結婚を機にキリスト教から仏教に改宗。日本文化に親しもうと、茶道・華道・着物の着付けを習い、最近は仏前の花を活け、お茶席では茶を点て、機会あるごとに着物をきて、寺務に努めている。

 そんな家族をもった、田舎の僧侶である。

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