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東芝はなぜ、巨額減損の隠蔽に成功したのか

「のれん」や「減損」…難しい会計用語を解き明かす

2015年11月19日(木)

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 減損、のれん、見積もり…。東芝の不正会計問題では、一般的には馴染みにくい会計用語が飛び交う。一体、減損とは何か?のれんを圧縮するってどういう意味か?難しい会計用語を解き明かしながら、東芝問題をもう一度検証する。

 東芝の屋台骨を激しく揺さぶる米原子力子会社、ウエスチングハウス(WH)の減損問題。WH単体で2012年度に約9億3000万ドル(約762億円、当時の為替レートで換算=以下同)、2013年度に約3億9000万ドル(約394億円)もの減損を計上しながら、東芝はそれを連結に反映していなかった。

子会社の巨額減損を隠蔽していた東芝。室町正志社長を含めた経営陣の姿勢が問われている(写真:陶山 勉)

 減損額は合計すると13億2000万ドル(約1156億円、現在の為替レートで計算すると約1600億円)と巨額であり、この2年間はWH単体で赤字にも陥っていた。こうした事実を本誌(日経ビジネス)が指摘するまで東芝は開示してこなかった。本来であれば、子会社の損失が連結純資産の3%以上あった場合、上場会社は投資家に対して適時に開示しなければならない。このルールに抵触していたことを東証に指摘された東芝は、11月17日にWHの減損について「補足説明」を公表した。

「減損」とは何か、何をするのか

 東芝はなぜ事実を隠そうとしていたのか。そして、巨額の減損を子会社に封じ込め、連結には見えないようにするという“離れ業”はなぜ可能になったのか。改めてその仕組みと経緯を掘り下げてみよう。

 まず、減損とは何か。その名の通り、企業が保有する資産の価値を減らすことであり、それによって生じる損失のことを示す。企業の会計において、事業が不振に陥り、将来に渡ってキャッシュフロー(CF)が十分に稼げないと想定せざるを得なくなった時に減損を行うことになる。

 減損の対象となるのは、主に2つある。工場や機械などの「固定資産」と「のれん」である。東芝で問題となったのは、のれんだ。

 のれんとは、企業買収時などに被買収企業の稼ぐ力を評価し、純資産に上乗せして買収額を決めるプレミアム部分である。創業まもないベンチャー企業が大企業に買収される際、まだ売り上げなどはほとんどない状態にもかかわらず買収額が巨額になることがある。これはそのベンチャー企業の持つ技術力やブランド、あるいは顧客基盤など決算書には計上されない企業の力量を認めているからである。店の軒先に飾ってある暖簾(のれん)は単なる布切れに過ぎないが、その暖簾が掲げられている価値を認めて金額として算出したのがのれん代だ。

 東芝でいえば、東日本大震災後に世界で原子力発電所の新設がほとんどなくなったような市場環境の激変があると、WHの将来の収益力は落ちると評価するのが自然だ。その際、WHが将来数十年の間に稼ぎ出すCFが現在、いくらの価値になるかを算出する。

 この価値が、前期末までの簿価(会計帳簿に記載された資産の評価額)よりかなり低い場合、その差額を減損するのである。東芝の場合、その価値が簿価を下回ると即座に減損しているという。

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「東芝はなぜ、巨額減損の隠蔽に成功したのか」の著者

田村 賢司

田村 賢司(たむら・けんじ)

日経ビジネス主任編集委員

日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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