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ドイツのドラッカー、インダストリー4.0を語る

経営思想家、ハーマン・サイモン氏に聞く

2015年11月16日(月)

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 インダストリー4.0とは、モノとモノをインターネットでつなぐ「IoT」の技術を工場にも取り入れることで、モノ作りに革新を起こすとされる概念だ。発祥の地はドイツ。11月16日号の特集「身近にあった! インダストリー4.0」では、インダストリー4.0を実践する日独企業の最新事例を取り上げた。興味深いのは、それらの企業が必ずしも大企業ではないこと。とりわけ日本企業の多くは、インダストリー4.0がドイツで提唱されるずっと前から、自らの知恵でインダストリー4.0ともいえる仕組みを生み出していた。

 日経ビジネスオンラインでは、本誌には掲載しきれなかった識者インタビューや企業の実例を掲載していく(詳細は本誌11月16日号をご覧ください)。

 ドイツではインダストリー4.0の担い手が大企業から中堅企業に広がっている――。そんな話を聞いた時、ある有名な本のタイトルを思い出した。『Hidden Champions(グローバルビジネスの隠れたチャンピオン企業)』。特定分野で高い世界シェアを握るドイツ企業を研究・分析して、世界各国でベストセラーになった本だ。

 著者のハーマン・サイモン氏は、ドイツ語圏ではピーター・ドラッカー氏に次ぐ経営思想家とされ、日本の経営者にもファンは少なくない。中堅・中小企業研究の第一人者で、現在はコンサルティング会社も経営している。サイモン氏に、インダストリー4.0が隠れたチャンピオン企業にどんな影響を与えるかについて聞いた。

(聞き手は佐藤浩実)

もともとドイツの政策である「インダストリー4.0」は、この1年の間に、日本の製造業関係者の間でとても有名になりました。「第4次産業革命」とも呼ぶ人もいます。ただ、キャッチーな言葉が先行して広まったため、話し手によってその対象とする範囲は異なるように感じます。本題に入る前に、サイモン氏が考えるインダストリー4.0とは何かを聞かせてください。

ハーマン・サイモン氏(以下、サイモン):ドイツでは2年前ぐらいから、かなりのバズワード(流行語)になっています。この言葉は、多くの異なる側面を持ち合わせています。よく出てくる単語には、ファクトリーオートメーション(工場自動化)やロボット、IoT(Internet of Things、モノとモノがネットに繋がっている状態)などがあります。

 私個人としては、インダストリー4.0の効果が最も現れるのは工場の中ではない、と考えています。なぜかというと、多くの工場は既に高度に自動化されて、効率化されているから。それよりも、仕入先(サプライヤー)と製造者(マニュファクチャラー)の接点、あるいは、製造者と顧客(カスタマー)の接点で大きな効果が生まれると考えています。

 市場からの警告をより早く得られるし、顧客ともっとコミュニケーションを取りやすくなります。この情報が、企業をまたいで、よりスムーズに流れていくことの意義は大きい。

 それから、インダストリー4.0そのものは、革命ではなく進化です。2016年にかけて起きる大きな1つの変化ではなく、長年にわたる継続的なプロセスだと捉えています。

サイモン氏は、世界で高シェアを持つ「隠れたチャンピオン企業」を長年研究しています。隠れたチャンピオン企業の多さがドイツの強みの一つといわれていますが、インダストリー4.0はこうした企業に、どのような影響を与えているのでしょうか。

サイモン:隠れたチャンピオン企業の80%は製造業に属していて、特定の製品・分野にフォーカスしたB to B(企業と企業間の取引)の企業が大半を占めています。インダストリー4.0は大いに関係がありますし、彼らはこの挑戦に対してとても良いポジションにいると、私は考えています。一般には(シーメンスやボッシュなど)大企業の話題が豊富ですが、インダストリー4.0は大企業に限った話ではありません。

 というのも、私はインダストリー4.0を「プロセス全体への理解を通じて、顧客により高い価値を提供すること」だと解釈しているからです。

 先ほど少し触れましたが、企業がインダストリー4.0によって顧客の要望をより良く理解できるようになれば、製品やサービスをもっと柔軟に提供できるようになります。例えば、予防保全によって製品が壊れるのを防ぐことができます。人的なエラーやミスを起こしにくくなるので、品質を担保できるようにもなります。これらは製品やサービスの価値の向上に貢献します。

 つまり、世間で語られている「デジタル化」はそれを達成するための道具にすぎず、目的でもなければ、心でもありません。

 隠れたチャンピオン企業はすでに特定分野ではグローバル市場のリーダーで、たくさんの海外法人を持っています。従来も「顧客との近さ」を強みにしてきたので、新しい道具を手に入れることで、その関係を強めることができるはずです。

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「ドイツのドラッカー、インダストリー4.0を語る」の著者

佐藤 浩実

佐藤 浩実(さとう・ひろみ)

日経ビジネス記者

日本経済新聞社で電機、機械、自動車を6年間取材。13年4月に日経ビジネスへ。引き続き製造業を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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