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バイカル湖の絶景にロシア人も総立ち

2016年1月9日(土)

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まずまず清潔なトイレで1日が始まる

 207列車での旅も3日目の朝を迎えた。この日は、シベリア鉄道の車窓でも最大の見どころであるバイカル湖畔の通過、そしてイルクーツク到着である。

今日もシベリアに朝がやってきた。ウラン・ウデ到着の30分ほど前に通過した小さな村

 朝といえば、歯磨きと洗顔はどうしていたのかというと、列車にはシャワーもなければ洗面所もない。顔を洗うのは、持参のウェットティッシュでなんとか代用できるが、歯磨きはそうはいかない。手元にあるロシア鉄道ロゴ入りの立派なカップにペットボトルの水を入れて、トイレで歯を磨いていたのである。

 トイレは、車掌さんがこまめに掃除をしているので十分に清潔だ。34年前に乗ったときは、便座がひどく汚くて、男でも“大”をするときは便器の上にまたがるしかなかったが、今回はきれいな便座付き。「便座の上に土足で上がらないこと」という注意書き(たぶん)もあった。

働き者の車掌さんがきれいに掃除をしてくれるので、古い車両も清潔に保たれている

 かつてのシベリア鉄道のトイレットペーパーというと、「ごわごわ」といった表現を超越して、メモ帳になるほど分厚くて丈夫なため、旅行者同士の住所交換にも重宝するものだった。そして、なぜかピンク色! 現在は、それも日本のトイレットペーパーと同じレベルのものが用意されていた。

 手洗い用の水は、昔の日本によくあったような器械から出てくる方式。タンクに貯めてある水が、下にぶら下がっている金属棒を押し込むことで、重力で出てくるという仕組みだ。

 最後には、ペットボトルの水がもったいなくなって、この手洗い水も利用させていただいた。汚いと言われそうだが、その程度には清潔に感じられたということである。

長時間停車の駅では車掌さんが乗降口に立って、不審者が入り込まないようにチェックしている

 だが、朝はトイレも混雑していることがある。そんなときはどうするかというと、車両と車両の連結部に立って、連結幌の隙間から地面に向かってペッと水を吐く。それほど危険ではないと思うが、よい子は真似しないように。

 この連結部では、長時間停車での喫煙タイムが待ちきれない人が、よくタバコを吸っていた。本当ならば、ここで吸うのもいけないのだろうが、そのあたりは黙認のようだった。

こってりとしたロシア風おかゆで迎える朝

 この日の朝食は、車内販売のカーシャというおかゆ。おかゆといっても、日本のあっさりとしたそれとは違って、牛乳、バター、砂糖が加わって、かなりこってりとした味である。

 聞くところによると、ロシアを含む東欧の各地では、さまざまな味のカーシャがあるそうで、素材にする穀物も、米だけでなく大麦や燕麦、そばの実などを使ったものがあるそうだ。

これがシベリア鉄道の食堂車でつくられたカーシャ。脂肪分たっぷり

 ちょっと癖があるが、寒い国にはこのくらいのカロリーが必要なのだろう。ただ、妻は口に合わなかったようで、一口食べた残りを私に押しつけて、自分は日本から持参したカップのトムヤムクンヌードルを食べていた。

食堂車でボルシチの代わりに出されたのがこのサリャンカ。ボルシチはビーツのスープだが、サリャンカはトマトがベースなのだとか。香辛料が利いてうまかった

 食後にウェットタオルで体を拭いていると、珍しく同室の「若者」が興味深そうに私を見ている。

 かねてから「あの子にこれで体を拭いてもらいたい」といっていた妻が、その様子を目ざとく見つけて1枚プレゼントした。アルコールと香料がやや強い、ギャツビーのデオドラント・ボディペーパーという製品である。

 彼はそれを受け取り、その匂いをかぐと顔をくしゃっとしかめた。そして、「くちゃい!」というような声を確かに出したのだ。

 残念ながら体を拭いてはもらえなかったが、苦笑いをした彼の顔がずいぶんかわいく見えた瞬間である。

ウラン・ウデの手前で見た機関区。背後には広々とした草原が広がっていて、ここがモンゴル系の人びとの文化圏であることがうかがえる

コメント1件コメント/レビュー

70歳目前の私にもできる旅だろうか。中国内陸やシベリヤと聞くと行きたい!と思わず反応するものがあるのだが。(2016/01/12 01:08)

「30年の時を超える 大人のシベリア鉄道横断記」のバックナンバー

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「バイカル湖の絶景にロシア人も総立ち」の著者

二村 高史

二村 高史(ふたむら・たかし)

フリーランスライター

1956年東京生まれ。東京大学文学部卒。小学生時代から都電、国鉄、私鉄の乗り歩きに目覚め、その後も各地の鉄道を乗り歩く。現在はフリーランスの物書き。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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70歳目前の私にもできる旅だろうか。中国内陸やシベリヤと聞くと行きたい!と思わず反応するものがあるのだが。(2016/01/12 01:08)

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三品 和広 神戸大学教授