• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

市民からの問いこそが憲法の本質

“市井の憲法学者”西成法律事務所・遠藤比呂通弁護士

2016年4月28日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 昨年の安保法制閣議決定以来、多くの憲法学者たちが市民に向かって語り始めている。彼らはいまは何を考え、どう行動しようとしているのか。そこで2回に渡り、憲法学者の姿を伝えたい。第1回は大阪に住む市井の憲法学者である。

 JR関西本線今宮の駅のすぐ近く、エレベーターのない雑居ビルの3階に「西成法律事務所」がある。ここから5分も歩けば、通称「釜ヶ崎」と呼ばれる労働者の街である。事務所には玄関がなく、扉を開けて脱いだ靴を持って中に上がらなければならない。窓が壁一面にあって、失礼ながら建物の佇まいからは想像出来ないほど事務所内は明るく開放的だ。

遠藤比呂通(えんどう・ひろみち)
1960年山梨県生まれ、東北大学助教授(現在の准教授)を経て弁護士に転身。1998年に大阪市西成区に事務所を開設する。10数件の憲法訴訟に関わり、論文も執筆。弁護士であり市井の憲法学者でもある。日本公法学会所属。

 遠藤比呂通がこの街に事務所を開いて18年になる。労働者の法律相談にのるなど弁護士業をしつつ、憲法についての論文を執筆する市井の憲法学者でもある。

 36歳まで東北大学法学部で、憲法学の助教授(現在の准教授)をしていた。主に研究していたのは憲法訴訟論だ。東京大学法学部を卒業して、成績優秀者のみに与えられる「助手制度」を利用して大学院をスキップして、いきなり東大法学部の助手になった。いまだ日本憲法学の巨人にもたとえられる故・芦部信喜東大名誉教授に公私ともに可愛がられ、共著を計画していたこともある。助手時代の指導教官は「護憲派の泰斗」とも評される樋口陽一東京大学・東北大学名誉教授だ。

 アカデミズムのど真ん中で将来を嘱望されていた新進気鋭の憲法学者が、なぜいま釜ヶ崎で弁護士をしているのか。「遠藤憲法学」はそこから始まる。

「召命」を受けて、大学に辞表を提出

 遠藤自身は「自分の来歴からまっすぐここに来るというわけではないんです。自分でもうまく説明できない」と苦笑いする。

 大学を辞める直接のきっかけは、助教授時代にケンブリッジ大学に国費留学したときに、クリスチャンとしての「召命」(神によって召されること)を受けたことだ。子どものころはキリスト教系の幼稚園に通い、東北大学でも学生たちと神学書の輪読会を開いていたほどキリスト教に関心があった。「召命」を受けて、牧師か宣教師になろうと思い、そのまま大学に辞表を提出した。

 ここがまず突飛な行動なのだが、遠藤は「これはもう、信仰の問題というしかない」という。研究者としての生活よりも、信仰心を優先させた、ということなのだろうか。とはいっても、「宣教師」とは我々がすぐ想像するフランシスコ・ザビエルのようなものではない、と遠藤は説明する。

 「イギリスだとお医者さんが仕事をいったん休んで、宣教師になって世界の僻地医療に向かうことが普通にあるんです。布教活動というより、人道的なボランティア活動なんですね。私もそれができないかと考えました」

 だが辞表は受理されなかった。当時の法学部長から大学院生の論文指導を続けること、後任の憲法の教員を見つけてくること、などを条件にされた。いずれ時間が経てば宣教師への熱も冷めるだろう、という学部長の目論見が当たり、辞める決意が薄れていく。

コメント14件コメント/レビュー

集団自衛権で沖縄に駐留している米軍人が3人で少女を暴行したら、集団自衛権は不要なんですね。すると、警官が3人で少女を暴行したら警察は不要になるし、東大生が3人で少女を暴行したら東大が不要になります。観光客がしたらもう観光客は不要だぞってね。ただの日本人としか表現できない3人なら、日本に男は不要ですと。キリスト教の牧師がしたらキリスト教は日本じゃ不要になって目出度いや。単純で分かりやすいです。(2016/07/12 23:08)

「今だから知りたい 憲法の現場から」のバックナンバー

一覧

「市民からの問いこそが憲法の本質」の著者

神田 憲行

神田 憲行(かんだ・のりゆき)

ノンフィクション・ライター

1963年、大阪市生まれ。関西大学法学部卒業。大学卒業後、ジャーナリストの故・黒田清氏の事務所に所属。独立後、ノンフィクション・ライターとして現在に至る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

集団自衛権で沖縄に駐留している米軍人が3人で少女を暴行したら、集団自衛権は不要なんですね。すると、警官が3人で少女を暴行したら警察は不要になるし、東大生が3人で少女を暴行したら東大が不要になります。観光客がしたらもう観光客は不要だぞってね。ただの日本人としか表現できない3人なら、日本に男は不要ですと。キリスト教の牧師がしたらキリスト教は日本じゃ不要になって目出度いや。単純で分かりやすいです。(2016/07/12 23:08)

人権を理想を大切にされる姿勢、素晴らしいと思います。

在特会はかなり特異的な集団ですけれど
利権がらみで止まらないのかもしれませんが
過激さは日本の恥です
日本のおかしな体制を世に知らしめた一端ではありましたが。

さて、いま必要なのは有事が起きる前の万全の備え。
白鳥氏と時の首相が彗眼をもって戦争放棄を織り込んだ、日本憲法を
戦争賛成ともとれるほど変更することは無いでしょうし
日本国民はそれを望んではいないと思います。

しかし、時代は変わりました。
明らかな戦争ではない、静かな侵略は、戦争とも呼べるものです。

それを防ぐ抑止力足る自衛隊、(防衛の)軍事を整えるためには開発が必要です。
有事や災害で活躍しやすい基盤を整えることも必要でしょう。
海上保安と協力して、密漁や不法侵入で日々不安と恐怖にさらされている
日本海側の住民や漁師さんを守る方法も、急ぎ用意しなくてはなりません。


また、戦争のためではなく、日本と同じく他国の平和的抑止力向上のために
武器の輸出販売も、同盟力を高めるための手段としても考えてもよいのかもしれません。
(おそらく経済的敗北を避けたい自民党が原発と同じく進めたいこと。
 隠れた?法改正の狙いではないかなと)
もちろん。平和思想、平和な日本の実績を広める事がセットにならなくてはなりません。

こんな軍事関係の憲法改正は、改正の中ではひとつの視点でしかありませんが。

狭い視野には囚われず日本国憲法全体の中で、より良く変更すべきところは無いかを見直す
滅多にないタイミングが訪れました。

変えないことのメリットはすでに今までに多く語られました。

憲法を良く知る専門家の方からは
『いまより良くなるための改正』
をご提案頂きたいです。

もちろん極論から普通のメリット、デメリットの考察を足して
なるべく分かりやすく、かつ正確にと期待しております。
何卒よろしくお願い致します。(2016/07/12 00:18)

さてさて、第1話を読み奇形左翼の応援弁護士という印象からどのように話を広げてどのようなどんでん返しがあるのか楽しみです。
憲法解釈においての東大解釈、京大解釈にも切り込んでいただけると幸いです(2016/07/11 14:32)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

面白い取り組みをしている会社と評判になれば、入社希望者が増える。その結果、技能伝承もできるはずだ。

山崎 悦次 山崎金属工業社長