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どうやって「一生のテーマ」を選べばいいのか?

最相葉月×池上彰 特別対談(1)

2016年3月17日(木)

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 ノンフィクションライター最相葉月さんの新刊『東工大講義 生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか』(ポプラ社)は、これまでさまざまな研究者に取材を重ねてきた最相さんが、東京工業大学の学生たちに、「科学者は一生涯を賭けて研究するテーマをどうやって選んできたのか?」を講義したものをまとめた本です。
 最相さんに東工大での集中講義をお願いしたのは、この3月まで東京工業大学教授を務めてきた私(池上)です。東工大の学生たちの多くは研究者になります。彼ら彼女らにとって、何を自分の研究テーマと定めるかはまさに人生の一大事。最相さんに「科学者は生涯を賭けるテーマをどうやって選んでいるのか?」という話を聞いた「東工大生の反応」についてうかがいます。

池上:東京工業大学の講義を『生涯を賭けるテーマをいかに選ぶか』というお題にしたのはなぜですか?

最相:最初は直感的なものでした。私はライターですから専門家ではありません。その都度テーマを決めて取材をして本を書く。それがこの仕事の基本です。一方、科学者の方たちは、毎回テーマが変わる私のようなライターと異なり、自分の中心となる研究テーマを持っていらっしゃいます。まさに「一生を捧げるテーマ」です。じゃあ、そのテーマにはどうやって出会ったんだろうとお聞きすると、人それぞれ違うわけです。最初から自分の中でテーマが決まっていた人もいらっしゃるし、研究者生活を続けるうちにじわじわと「一生を捧げるテーマ」に近づいた人もいらっしゃるし、まったく別のことをやっていたらあるとき突然「一生を捧げるテーマ」に出会っちゃったという人もいらっしゃいました。

池上:テーマに出合う前のプロセスはいろいろあると。

時には、捨てなければいけないことも

最相葉月(さいしょう・はづき)/1963年生まれ。兵庫県神戸市出身。関西学院大学法学部卒。著書に『絶対音感』(小学館ノンフィクション大賞)、『青いバラ』『星新一 一〇〇一話をつくった人』(講談社ノンフィクション賞、大佛次郎賞、日本推理作家協会賞、日本SF大賞、星雲賞)、『東京大学応援部物語』『ビヨンド・エジソン 12人の博士が見つめる未来』『セラピスト』『れるられる』『ナグネ 中国朝鮮族の友と日本』『辛口サイショーの人生案内』など。児童書に『調べてみよう、書いてみよう』。 (写真:大槻純一、以下同)

最相:その点に関しては、さまざまなきっかけでテーマに出合うノンフィクションライターの仕事に近いところも案外ある。もちろん科学者の生き方は一度研究テーマを「これだ」と決めると一生そのテーマを貫くのが基本ですから、テーマが決まってからの生き方はむしろ逆なのですが。では「一生を捧げるテーマ」をどうやって科学者の方たちは選んだのか興味があったんです。

池上:東工大の学生たちがとても聞きたい話ですね。まさに「生涯の研究テーマを何にすればいいのか?」と悩んでいる人たちがたくさんいるはずです。

最相:私もそう思いました。「生涯を賭けるテーマ」を著名な科学者の方々はどう選んだのか? そこで、実際にこれまで私が取材した科学者や研究者の事例を紹介したり、実際に授業にお呼びしてインタビューしながら学生と一緒に聞くことにしました。
 このテーマを講義に選んだ背景には、研究者の生きづらさを、さまざまな取材を通じて知っていたこともありました。多くの研究者は生涯を賭けて1つのテーマを追いますが、時としてそのテーマを諦めないといけないことがあります。たとえば、自分の師に当たる人との関係が変わることで、それまで没頭していたテーマを追い続けられなくなったり。

池上:恩師とぶつかって、研究できなくなるケース、けっこうありそうです。

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「どうやって「一生のテーマ」を選べばいいのか?」の著者

池上 彰

池上 彰(いけがみ・あきら)

ジャーナリスト

1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。報道局主幹を経て、2005年3月よりフリージャーナリストとして活躍中。2012年4月から東京工業大学で東工大生に「教養」を教えている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官