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米20ドル紙幣からジャクソンが消える

背景に「奴隷」と「女性」

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2016年5月2日(月)

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 米国の第7代大統領アンドリュー・ジャクソン(民主党)は78歳でその生涯を終えたが、彼の顔はこの88年間、米国の20ドル紙幣の表面を飾ってきた。物悲しい表情と、きれいになでつけた髪が印象的だ。

 だがジャクソン元大統領の時代は間もなく終わろうとしている。米国のジャック・ルー財務長官は4月20日、20ドル紙幣に印刷する人物を差し替えると発表した。奴隷を所有していたジャクソンに代わって、奴隷として生まれ育った女性、ハリエット・タブマンを新たな顔として起用する。彼女は所有主の元から逃亡し、南北戦争を控えた時代に奴隷解放運動家として活躍した。

 この交代劇は、米国の貨幣制度において1929年以来の大改変となる特筆すべき出来事だ。ジャクソン元大統領は、かつては高校の歴史の教科書で賞賛された。だが現在、同氏に対する評価は変わってきており、今回はその顔が削除される。今年の1月、『アメリカン・インタレスト』誌のコラムニスト、ウォルター・ラッセル・ミード氏は「今日における進歩的な政策とは、米国人の生活からジャクソン主義の影響を一掃することに尽きると言ってもいい」と書いた。

奴隷所有、投機、先住民虐殺

 ここまでの道のりは長かった。米国人歴史家のハワード・ジン氏は1980年、ジャクソンを「辺境開拓者、軍人、民主主義者、人民の味方」とみなす従来の描写は、同時に「奴隷所有主、土地を扱う投機家、反体制的な兵士を死刑に処す執行人、先住民の虐殺者」でもあった同氏の不適切な部分を覆い隠すものだったと指摘した。

 ジャクソンは40年間にわたって数百人の奴隷を所有し、自らが「ハーミテージ」と名づけたテネシー州の大農園で綿花の栽培にあたらせた。今回、そのジャクソンが奴隷の身から自由を得た人物に取って代わられる。これは、過去を清算しようとする米国の性向を強く示す象徴であると言える。

 ジャクソン元大統領は米国の先住民に対して無慈悲な行いをしたことでも悪名が高い。2期にわたる任期の初年となった1829年に同大統領は、ミシシッピー川以西の土地を原住民向けに割り当てるよう議会に求めた。そして半年も経たないうちに「インディアン強制移住法」に署名した。この法律は先住民のチェロキー族、クリーク族、チョクトー族、チカソー族、セミノール族を生まれ故郷である米国南東部から追い出すことを定めたものだ。

 ジャクソンが始めたこの政策はマーティン・ヴァン・ビューレンが受け継いだ。1938年から1939年にかけての冬、寒さの中で移住を強いられたチェロキー族1万5000人のうち4分の1が、「涙の道」と呼ばれる1000マイル(約1600キロ)の道の途上で命を落とした。彼らは慣れ親しんだジョージア州、テネシー州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州の地を追われ、後にオクラホマ州となる土地に向けて徒歩で移動させられたのである。

 近年、ジャクソン元大統領の評価は失墜している。昨年の夏、フロリダ州のジャクソンビルでは馬にまたがった同氏の銅像に「黒人の命は大切だ」という落書きがペンキでなされ、先住民の仮面がかぶされた。3月にはニューオリンズにある同様の銅像をめぐり、南北戦争時代の南部連合に関する記念碑は撤去すべきだという抗議の声が持ち上がった。

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