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利上げをにらむ米FRBが抱える根本的な問題点

民間銀行が影響力を持ついびつな制度

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2016年5月26日(木)

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 米国で今、連邦準備理事会(FRB)の改革をめぐり計画やら議論やらが噴出している。過去100年で最悪の金融危機が残した余波は大きく、これは恐らく当然のことと言える。

FRBのジャネット・イエレン議長(写真:AP/アフロ)

 一部の共和党議員は、中央銀行が下す金融政策の決定を、議会の一機関である米会計検査院(GAO)が監査すべきだと主張している。一方、金融政策を自動的に決定する定型の仕組みを編み出し、FRBがこれに介入するたびに、その議長に議会で証言するよう求めるべきだとする声もある。

 中にはもっと極端な批判もある。FRBがドル「切り下げ」を目論んでいるという陰謀説だ。こうした極論を唱える人々は中央銀行そのものの廃止すら提唱している。

 これらの計画のどれが現実のものとなっても、悲惨な結果を招くだろう――中央銀行の独立性が損なわれるか、金融政策が成り行き任せになるか、行き着く先はこのどちらかだ。

地区連銀制がもたらす弊害

 幸いなことに、大統領候補の最右翼である2人には「FRBを終わらせる」意向はない。ドナルド・トランプ氏はジャネット・イエレンFRB議長の任期が終われば、後任に共和党員を指名する考えを示した。この考えは賢明とは言えまいが、革命的と言うほどのものではない。またヒラリー・クリントン氏は、FRBにおいて強大な権力を持つ地区連銀12行の理事を選出するルールを変更する考えを抱いている。

 クリントン氏の考えは正しい。FRBは破綻こそしていないが、時代錯誤の状態にある。地区連銀制度は規制当局に対する影響力を商業銀行に与えている。加えて、公的資金を民間の株主に分配している。次期大統領と議会はこの点に関して、協力して、徹底的な見直しをすべきである。

規制される側が規制をする矛盾

 FRBは1913年に設立された。この時、カーター・グラス氏が大きな役割を果たした。同氏は投資銀行とリテール銀行の兼業を禁止したことで名高いグラス・スティーガル法の立役者として知られる。同氏の骨折りで米国は、単一の金融当局を戴くのではなく、12の地区連銀からなるネットワークを、ワシントンD.C.に置かれた理事会が統括する連邦準備制度を採用することになった。

 グラス氏がこの仕組みを採用した目的は、ワシントンの官僚に過大な経済的権限を持たせないことにあった。たとえて言えば、地区連銀は「州」、理事会は「連邦議会」のようなものだ。連邦政府による介入を望まない一般の銀行の経営陣を納得させるため、次の形を取る。一般の銀行は各地区連銀に出資するとともに、理事の3分の2を選出する。理事は各地区連銀の総裁を選出する。

 選出された各地区連銀の総裁は持ち回りで連邦公開市場委員会(FOMC)の委員を務め、議決権を行使する。FOMCは米国全体の政策金利を決定する機関である。地区連銀総裁に与えられている椅子は5つだ(合計は12)。このような優遇策が必要だった理由の1つは、連邦準備制度に加盟するかどうかは1980年まで一般銀行の意思に任されていたことにある。

 今もなお優遇策が取られている。連邦準備制度は一般の銀行に魅力的な報償を提供しているのだ。一般の銀行は地区連銀への義務的出資に対して、リスクフリーで年間6%の配当を受け取っている。この額は、政府が10年物国債に対して支払っている金利の3倍以上に当たる。

 先般、最大手70行に対する配当は引き下げられたものの、連邦準備制度に加盟し地区連銀の株式の一部を保有している約1900の中小銀行は、引き続き高い配当の恩恵に与っている。さらに、1942年以前に発行された株式を保有している銀行が受け取る配当金には、税金がかからない。

 地区連銀の最も重要な業務は管轄地域で営業する一般銀行を監督することだ。このため、グラス氏が設立した制度は、一般銀行の経営陣が自らを取り締まる形態に近く危険だ――もっとも、回転ドアでつながっているようなウォール街と連邦政府の関係よりはましではあるが。地区連銀の理事を務める銀行の経営者は、規制に直接的な責任を負っていないし、今では地区連銀総裁の選任にも関わっていない。だが、地区連銀総裁を選出する外部理事を任命するのは彼らだ。また、地区連銀総裁の解任する投票に参加することができる。

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