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山口大学は知財教育の伝道師となれるか?

一般学生に知的財産教育を実践中

  • 丸山 正明=技術ジャーナリスト

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2016年3月24日(木)

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 日本企業は「技術で勝って、事業で負ける」といわれて久しい。国際市場で苦戦している日本企業は、知的財産戦略として“オープン&クローズ戦略”という高度な戦略を採り入れて対応しているケースが多い。その知的財産戦略を担う人材が、企業の事業戦略を練る高度な専門家に留まっている点が、日本の大きな課題といえる。

 日本の産業競争力強化を図る知的財産推進計画の策定を担っている内閣官房知的財産戦略推進事務局は最近、「知財教育タスクフォース」を設置し、2016年2月から2回会合を開いた。その議論の中心は、「教育現場での知的財産の取り組みと課題」であり、ここでの議論を踏まえて毎年更新している「知的財産推進計画」の2016年版に、教育現場での知財教育の取り組みを盛り込みたいと考えているもようだ。

 2015年に米国がTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の中身を交渉する際に、日本に対して知的財産分野での譲歩を強く求め、難航したことはまだ記憶に新しい。米国政府と企業は、知的財産活用の有効性を知り尽くしていると考えられている。その対抗策として、日本でも知的財産の活用とその戦略を練る専門家人材を拡充する態勢が整い始めている。しかし、企業や官公庁、NPO(非営利法人)などで仕事をする一般の社員や公務員が知的財産を意識して、日常の仕事を進めるという実態はまだ少ないのが現状だ。

山口大知的財産センター長の佐田洋一郎教授

 その原因の1つは、「日本の高校(主に普通科)と大学で知的財産教育の基礎を教えていないことにある」と、知的財産の専門家である山口大学知的財産センター長の佐田洋一郎教授は指摘する。佐田センター長は、知財教育タスクフォースのメンバーの1人である。

 日本の大学・大学院の理工系学部・専攻などで学んだ学生は、企業や公的研究所などに就職すると、特許や実用新案などの基礎を社会人として社内研修で初めて学び、1~2年間で特許出願などの業務に対応する。また、最近は、非技術系の社員や公務員でも、日常業務の中で、商標権や意匠権などに関係する仕事が増えたために、やはり内部研修で対応している。

 最近は知的財産戦略の重要性を意識し、東京理科大学大学院、大阪工業大学大学院、日本大学大学院の3大学院では、知的財産についての専門職大学院として教育態勢を整えている。2005年4月に、東京理科大大学院と大阪工業大大学院は開校した。この大学院の修了者は弁理士試験の科目の一部が免除される仕組みになっている。

 また、青山学院大学大学院などの他の5大学院でも知的財産教育を行うなど、知的財産の専門職を育成する仕組みは整いつつある。こうした大学院の修了生が、特許庁の専門職や各企業などで知的財産戦略を担う人材として活躍し始めている。

 このように大学院では、知的財産の専門職を養成する教育が拡充されているのに対して、大学生時代に知的財産の教育を受ける機会は、日本ではほとんどないのが現状だ。こうした実態を打破しようと、山口大は、3年前の2013年度から全学部の1年生約2000人に知財教育を必修科目とした。現在のところ、全学部学生にカリキュラムとして知財教育を教えているのは、山口大だけである。

 日本の各大学・大学院では、何らかの講義の一部として、特許庁などの知的財産の専門家を招いて、特別講義を実施していれば、いい方である。その理由の1つが、日本では知的財産教育の一般向けのカリキュラムや教材がほとんど確立されていないからである。

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