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細胞の組織を破壊しない「冷凍革新」

食品・医療・航空安全まで分野が広がる

2016年5月9日(月)

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食品の保存などに使われてきた冷凍技術が革新を遂げようとしている。細胞の組織を破壊せずに冷凍できる物質の商品化や新型冷凍装置の開発が本格化。用途も食品に限らず、臓器移植や航空機の安全確保など幅広い分野に広がってきた。

 「パサパサしている」「鮮度が悪い」「栄養素が抜けている」──。冷凍米飯や冷凍肉、冷凍野菜といった言葉を聞いて、こんなイメージを思い浮かべる人も多いだろう。ところが今、そんな冷凍のマイナスイメージを吹き飛ばすような技術革新が次々と起きている。

 食品を冷凍すると品質や鮮度を損なうのは、「冷凍障害」と呼ばれる現象が起きるためだ。食品内部の水分が凍って氷の結晶となり、時間とともに成長する凍結濃縮により食品の細胞組織を破壊する。冷凍庫の開け閉めで頻繁に温度が変化する場合は溶けた水分が他の結晶と合体して巨大化、組織破壊や品質劣化をさらに進める要因となる。

 食品業界の関係者が長年頭を悩ませてきた、この冷凍障害。これを解決できるとして今、注目されているのが、「不凍物質」と呼ばれるたんぱく質や糖だ。

氷結晶の成長を抑えることで冷凍障害を防ぐ
●不凍物質が働く仕組み
通常の冷凍の場合、冷凍する対象の内部にある水分が固まることによってできる氷の結晶が時間とともに成長し、細胞組織の破壊や品質の劣化が発生。 「不凍たんぱく質」や「不凍多糖」などの不凍物質を加えることにより、氷結晶の成長を抑えることで品質を維持できる。

 不凍物質は、氷の結晶に結合することで成長を抑制する働きを持つ。これを食品に添加すれば、組織を壊すことなく品質や鮮度を維持できる。例えば、麺や米飯を加工する時に不凍物質を添加すれば、冷凍してもモチモチした食感を維持することが可能だ。

 これまでも不凍物質は、寒冷地で生きる魚や昆虫といった生物の血液や体液に含まれていることで知られていた。ただ、魚や昆虫から抽出する不凍たんぱく質は、採取コストが高く量産が難しかったり、臭みなどがあって食品に使いにくかったりと難点も多かった。

身近な野菜で大量生産

 使いやすく、大量生産が可能な製品化への道筋を開いたのが、カネカと、長年不凍物質を研究してきた関西大学・化学生命工学部の河原秀久教授だ。

不凍物質は世界規模で研究・製品化が進められてきた
●主な研究成果とビジネス展開

 カネカと河原教授が、植物や微生物由来の不凍たんぱく質に関する共同研究を始めたのは2008年のことだ。カイワレダイコンなど、栽培が容易で身近な野菜にも不凍たんぱく質が含まれていることを発見し、2009年にエキスの製造に成功した。2012年には大手製麺メーカーの冷凍麺に採用されたのを機に、粉末にしたエキスの本格販売を始めた。

 さらに2014年には、エノキタケ由来の不凍多糖の量産化に世界で初めて成功。現在は用途別に、不凍たんぱく質と不凍多糖を合わせて7品目の製品をそろえ、食品大手などの約100商品に導入されている。

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「細胞の組織を破壊しない「冷凍革新」」の著者

河野 祥平

河野 祥平(こうの・しょうへい)

日経ビジネス編集記者

2006年日本経済新聞社入社。社会部、消費産業部などで警視庁、ネット業界などを担当。直近では企業報道部でビール・清涼飲料業界を取材。2015年4月から日経ビジネス。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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