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建設機械を自動運転、ダムも建物も無人で造る

人手不足を背景に、労働集約型の産業を一変

2016年8月2日(火)

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ほかの産業に比べて労働生産性が低いと言われてきた建設業界。無人化建機に運搬ロボット。人手不足を背景に、これらの開発が進み始めた。自動運転で、労働集約型の産業が変わろうとしている。

無人化システムが次々に登場
(写真=Getty Images)

 福岡県の山奥にある巨大なダムの建設現場で、複数の建設機械がひっきりなしに動いていた。ブルドーザーでコンクリートを運搬し、地面に敷設してならし、振動ローラーと呼ぶ機械で固めていく。その手順は、一般的なダムの建設現場と変わらない。

 一つだけ違うのは、これらの建設機械の運転席に、誰も乗っていないことだ。技術者がタブレット(多機能携帯端末)で指示を出し、あらかじめ組まれたプログラムによって、機械が自動で動く。これは、大手ゼネコン(総合建設会社)の鹿島が開発した次世代建設生産システムの一部だ。ブルドーザーはコマツが開発で協力した。

 ゼネコンによる無人運転時術の開発が活発になってきた。背景にあるのは、技術者や作業員の深刻な人手不足だ。

「匠の技」を学ばせる

 東日本大震災からの復興や東京都心部の再開発工事の増加によって、建設業は未曽有の人手不足に陥っている。厚生労働省によれば、コンクリートなどで構造を造る工事の作業員の有効求人倍率は2015年10月時点で7.79倍。全職種中最も高い。2013年ごろからずっと高止まりしたままだ。

 一方で、建設業の労働生産性は一向に改善していない。総務省などのデータでは、製造業は1994年からの20年間で生産性が2倍に高まったが、建設業はむしろ下がっている。

建設業の生産性は低いまま
●労働生産性(1時間当たり)の推移
出所:内閣府、総務省、厚生労働省

 無人化システムを開発した鹿島技術研究所の三浦悟・プリンシパル・リサーチャーは「『一品生産の労働集約型だから』というのはもう通用しない。変わらなければいけない」と危機感を抱く。

 鹿島が開発した無人化機械は、GPS(全地球測位システム)とレーザースキャナーで位置と周辺環境を把握し、内蔵制御コンピューターが計算して設計通りにコンクリートを固めていく。

 ただし、効率性という課題があった。例えば、ある部分をローラーで固めたとすると、まだ固めていない部分との間に段差ができる。段差をすぐに乗り越えようとすると重機が傾いてうまく移動できず、時間がかかる。熟練のオペレーター(重機の運転者)は、その段差をうまく乗り越えるように走行路とハンドルの切り方を工夫する。この運転技術によって、効率的にコンクリートを固められるわけだ。

 「自動で動く機械を作ることに比べて、“うまいこと動かす”のは、次元が違う難しさだった」(鹿島の三浦氏)

 鹿島はこうした「匠の技」を取り入れるため、熟練のオペレーターがどのように重機を操作したかをデータとして蓄積し、アルゴリズム(計算手法)に組み込んだ。つまり、コンピューターに匠の技を学ばせたわけだ。初導入した福岡県の五ケ山ダムの建設現場では効率的に精度よくコンクリートを固めることができた。

 五ケ山ダムで使った無人の重機は2台。これまでは重機の数だけ人数が必要だったが、このシステムを拡張していけば、建設現場に投入するオペレーターの数が少なくて済む。複雑で人が行った方が早い部分だけ従来の重機を使えばいい。鹿島は2016年には、大分川ダム(大分市)で、ブルドーザーなどに加え、土砂を運搬するダンプカーとショベルカーも無人化する予定だ。

コメント2件コメント/レビュー

どうやら人が乗って動かす、建設用ロボットの時代は来ない様ですね。(2016/08/02 12:27)

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「建設機械を自動運転、ダムも建物も無人で造る」の著者

島津 翔

島津 翔(しまづ・しょう)

日経ビジネス記者

2008年東京大学大学院工学系研究科修了、日経BP社に入社。建設系専門誌である日経コンストラクション、日経アーキテクチュアを経て、2014年12月から日経ビジネス記者。担当分野は自動車、自動車部品。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

どうやら人が乗って動かす、建設用ロボットの時代は来ない様ですね。(2016/08/02 12:27)

前にテレビでオーストラリアの鉱山でタイヤの直径が3mもある無人の大型ダンプカーが鉱物を自動運転で運んでいるのが紹介された。数日前にはダンプ以外の超大型重機が石炭採掘現場で動き回っているのも紹介された。無人でなくても重機を大型化するだけでも生産性を高める事は出来る。鉱山以外では森林の伐採をする重機の紹介があったが、直径20cm以上の木が瞬時に切り取られ、あっという間に数本の木を切っていた。「切る」というよりも「刈る」に近い感覚だった。これらの重機は人が操作していたが、生産性は従来の方法の数倍に上がっていると思う。狭い日本では超大型重機が働く場所は限定的であるため、効率を上げるには大型化より自動運転の方が向いていると思う。今後の開発に期待したい。(2016/08/02 09:35)

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