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透明ディスプレー、テレビやクルマを激変させる

看板や建物の窓、家電にも…普及すれば世界が変わる?

2017年9月5日(火)

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ガラスのように背景が見える「透明ディスプレー」の実用化が見えてきた。屋外の広告看板だけでなく、自動車のガラスや建物の窓も一変する。テレビやスマートフォンの「次」を模索するメーカーが、競争を加速させている。

(日経ビジネス2017年7月3日号より転載)

 目の前にあるのは、手のひらサイズの透明な“ガラス”。だがスイッチが入った瞬間、カラーで画像が表示された。しかも画像が表示された部分以外は、ガラスの向こうに置かれたものが見えたままだ。

 上の写真はジャパンディスプレイ(JDI)が開発した「透明ディスプレー」。映像を表示しない時の光の透過率は80%で「従来の1.5倍以上」(同社)と高いのが特徴だ。視認性を保つために高い透過率を求められる、自動車のフロントガラスと同程度の透明度を誇る。

 JDIは今年5月下旬に米国で開かれたディスプレー技術の学会「SID」で、この透明ディスプレーを「窓」に見立てたデモを披露した。ディスプレーの向こうに置いた模型を見せたままで、窓の一部に葉っぱや雪を降らせた。従来のディスプレーでは不可能な、「リアルな景色」と「バーチャルな映像」の融合を表現したのだ。

 ディスプレーが透明になると、映像を巡る従来の常識は一変する。例えば、居間に置かれたテレビ。使わないときには透明になり圧迫感が減る。壁際に置くという常識が崩れるかもしれない。

 自動車のフロントガラスにディスプレーを埋め込みカーナビの地図や速度計を表示すれば、交通事故が減らせるだろう。周囲の景色と重ね合わせて情報を確認できるため、ドライバーの視線移動が減るからだ。こうした未来を見据え、JDIに加えてシャープやパナソニックなど、パネルメーカーの開発競争が熱を帯びてきた。

 テレビやスマートフォンなどに使われる一般的な液晶ディスプレーは、電源がオフの時には「真っ黒」だ。一方で透明ディスプレーは、オフの時には背景がクリアに見える。その違いは、使っている部材の配置にある。

 一般的な液晶ディスプレーは、複数の部材を「ミルフィーユ」のように重ねてできている。光源となる「バックライト」や、赤緑青の光の3原色を微細な画素ごとに配置した「カラーフィルター」、光の方向を調整する「偏光板」などを重ね、間に液晶を挟み込む。それらを薄いガラス基板で覆うのが基本的な構造だ。

 スイッチを入れて特定の場所に電圧をかけると、間に配置されている液晶の「向き」が変わる。液晶の向きなどによって、通す光の量や色を制御することで、映像を表示する仕組みだ。

 液晶やガラス基板は透明だが、バックライトは光を通さない。このため、映像を表示していない時のテレビ画面は黒く見える。

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「透明ディスプレー、テレビやクルマを激変させる」の著者

庄司 容子

庄司 容子(しょうじ・ようこ)

日経ビジネス記者

日本経済新聞社に入社し、社会部、横浜支局を経て企業報道部へ。化学、医療、精密業界、環境などを担当。2017年4月から日経ビジネス記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師