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加熱なしで殺菌? ロングライフ食品の秘密

従来の長期保存可能食品と一線画す技術とは

2016年9月26日(月)

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スーパーやコンビニエンスストアで増えてきた、賞味期限の長い食品。こうした「ロングライフ食品」を支えるのが、殺菌と包装の技術だ。缶詰やレトルトのように高温で加熱殺菌せずに、おいしさを追求している。

●ロングライフ食品の例
(写真=スタジオキャスパー)

 夕食の献立で、あと1品増やしたい──。そんな時に役立つのが、スーパーやコンビニエンスストアの総菜だ。 商品を手に取って賞味期限を確認すると、数週間や1カ月も先で驚いたことはないだろうか。ポテトサラダや煮物など、従来は製造当日といった短期間に設定されていた賞味期限は、今や製造から40日などと長くなっている。

 「そんなにもつのは、色々な保存料が入っているからではないか」と思うかもしれないが、多くの商品は、保存料は一切使われていない。また、冷凍保存により菌の繁殖を抑える冷凍食品や、高温殺菌を施す缶詰やレトルト食品などと比べると、食感に優れるとされる。従来の長期保存可能食品とは一線を画すこうした「ロングライフ食品」が、市場で急速に浸透しつつある。

 食品の賞味期限を左右するのは、食品に付着している細菌と、包装を通して食品に触れる酸素や光、そして温度だ。このうち、各社が力を入れており、進歩が目立つのは、「殺菌技術と、できるだけ酸素に触れさせずに密封する技術」(大手食品メーカーに技術指導などを行う増田食品開発コンサルティングの増田敏郎代表)だ。

1000気圧の殺菌で生の食感

 従来は1週間ほどだった海産物の総菜の賞味期間を、45日まで延長した殺菌技術がある。開発したのは、日本ハムの子会社マリンフーズ(東京都品川区)だ。水産物の加工食品を製造・販売する同社は6月、ホタテやカキなどのオイル漬けを発売した。

 新商品の特徴は、食品をポリエチレンなどのパックで包装後、1000気圧以上の圧力をかけて行う殺菌法にある。1000気圧は、水深1万mにかかる圧力と同じだ。

 加工食品の殺菌法としては加熱が一般的だが、欠点がある。生の食感が失われてしまうのだ。だが、超高圧製法を使えば、原料の細胞組織を破壊せずに、食感を維持しつつ付着した菌を死滅させやすくなる。

 この商品は殺菌する際、パック包装された状態で超高圧加工機の中に入れる。そこに高圧ポンプで水を注入し、パック全体にかかる圧力を上げていく。加熱殺菌は通常、熱い蒸気や熱水の中にパックをくぐらせて殺菌するが、パック内で温度ムラが発生しやすい。一方、超高圧製法はムラなく均等に圧がかかるというメリットもある。

 これまでも、ジャムやゼリーなど超高圧製法で殺菌する食品はあった。だが、海産物に多い菌を殺菌する場合、圧力をかける時間、温度などの条件を素材に応じて細かく設定する必要があるため、殺菌法の確立には手間がかかる。

 オイル漬けのそのほかの製造工程は、従来品とほぼ変わらない。まず、原料の水産物を解凍し、異物の混入や鮮度を確認する。表面を殺菌してからカットし、味付けをしてからパックに詰めて密封する。それから上記の殺菌処理をして、凍結させて梱包するという手順だ。

 マリンフーズは7月に、同じく超高圧殺菌を採用した、ホッキガイなどをマヨネーズであえた総菜を発売する。

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「加熱なしで殺菌? ロングライフ食品の秘密」の著者

河野 紀子

河野 紀子(こうの・のりこ)

日経ビジネス記者

日経メディカル、日経ドラッグインフォメーション編集を経て、2014年5月から日経ビジネス記者。流通業界(ドラッグストア、食品、外食など)を中心に取材を行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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