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探れ、ポルシェの“秘伝のタレ”

ポルシェのキーマンにインタビュー(その1)

2016年10月26日(水)

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ポルシェの新型セダン、パナメーラ 4S(写真:ポルシェジャパン 以下同)

 数か月前、トヨタのスポーツカー「86」のマイナーチェンジ試乗会が実施されたときのことだ。86のチーフエンジニアであり、現在はスポーツ車両統括部部長として今後BMWとの協業で登場すると噂される新型スープラなどトヨタのスポーツカー全体をみている多田哲哉氏の囲み取材がおこなわれた。その際にある新聞記者が多田氏に「個人的に好きなスポーツカーメーカーはあるか」と尋ねた。

 多田氏は間髪入れず以下のように答えた。

 「86以外のスポーツカーを買うとすればポルシェしかないです。もちろんフェラーリをはじめ、それぞれにいいと思うスポーツカーはありますが、エンジニアの目で見て、ポルシェは工業製品としては圧倒的だと思います。我々の目から見て『こんなことまでやってどうするんだ』というところまで手を入れている。その時は意図がわからないわけです。それが数年経つと『だからこうしていたのか』と気づく。それは911だけじゃなくて、ボクスターもケイマンもその思想を受け継いで作られています」

 かつて、マツダRX-7や日産フェアレディZは“プアマンズ・ポルシェ”と呼ばれた時代があった。日産GT-Rが打倒ポルシェ911を掲げて開発され、ドイツにある、1周20kmを超え、コーナーの数は170を超える世界一過酷なサーキット、ニュルブルクリンク北コースのラップタイムでポルシェに勝負を挑み続けてきたのは有名な話だ。

 日本メーカーのみならず、世界のスポーツカーメーカーにとってポルシェは昔も今もメートル原器であり続けている。

新型パナメーラを試乗

 ポルシェが飛躍したのは、スポーツSUVへの参入によるものだ。

 1990年代まで、ポルシェは「RR(リヤエンジン・リヤドライブ)」で走る「911」と、ミッドシップ(ミッドエンジン・リヤドライブ)の「ボクスター」のみを生産するスポーツカー専業メーカーだった。しかし、新たな市場を開拓するため、2002年に「カイエン」を投入する。フォルクスワーゲンとの協業で生まれたSUVだ。

外観ではフロントヘッドライトが、ルマンに参戦するレースカー919ハイブリッドを彷彿とさせるものになった。カバー内におさまるドットタイプのLEDが特徴。4Sは2.9リッターV6ツインターボで440ps/550Nmを発揮。ターボは4リッターV8ツインターボで出力は550ps/770Nmと911ターボをも上回る。この新型からトランスミッションが全モデルで8段変速のツインクラッチ式のPDKになった。

 マニアックなポルシェファンが嘆き悲しむ一方で、カイエンは世界的な大ヒット作となり、経営難がささやかれていたポルシェを一気に立て直した。その成功を受けて2009年には第二の矢となるセダン「パナメーラ」を発売する。

 そして今年、パナメーラは第2世代へとフルモデルチェンジした。これはVWグループの新世代大型FR(フロントエンジン・リヤドライブ)用プラットフォーム「MSB」を採用する第一弾モデルでもある。同グループ内ではのちにこのプラットフォームを用いた、新型の「ベントレーコンチネンタルGT」や「フライングスパー」が登場する予定だ。

 日本導入は来年の予定だが、ドイツの国際試乗会でひと足先に新型パナメーラを試すことができた。試乗会場であるミュンヘン空港に用意されたのは、4S、ターボ、そして4Sディーゼルの3モデル。残念ながらディーゼルは日本への導入予定はないというが、本国ではパナメーラやカイエンなどにもディーゼルエンジンモデルが用意されている。

リアランプは911と共通のモチーフで、クーペのようなルーフラインと相まって、より911の4ドア版というイメージが強くなった印象

コメント6件コメント/レビュー

毎週月曜日はF→フジノさんに代わって欲しい
良い記事でした(2016/10/27 10:35)

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「探れ、ポルシェの“秘伝のタレ”」の著者

藤野 太一

藤野 太一(ふじの・たいち)

フリーランスエディター/ライター

大学卒業後、自動車誌カーセンサー、カーセンサーエッジの編集デスクを経てフリーの編集者兼ライターに。日経ビジネスオンラインでは、連載開始時より2017年まで「走りながら考える」のアドバイザーを務めていた。自動車関連の分野をはじめとしビジネスマンを取材する機会も多く日経トップリーダー、日経デジタルマーケティングなどにも寄稿する。JMS(日本モータースポーツ記者会)所属

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

毎週月曜日はF→フジノさんに代わって欲しい
良い記事でした(2016/10/27 10:35)

「車両重量が2トン近くもあるパナメーラが、軽量スポーツカーより速い」。ここを読んでGTR開発者の水野さんが指摘した、車体重量のコメントを思い出しました。もしかしたら、ドエナー氏は、GTRの設計思想も参考にしたのかも知れないと感じました。ポルシェはGTRをバラバラに分解しているはずですから、4輪駆動ではないにしても、電子制御でガチガチに固める等、参考にできる要素は沢山あったと推測します。思い切ってGTRを参考にしたか聞いてみてほしかったですね。していても多分認めないでしょうけれど。(2016/10/26 20:48)

 いい記事。技術に偏ることなく、その市場性まで浮き彫りにしている。(2016/10/26 16:06)

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