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防衛予算が5兆円超えても国内還元は少ない

国際共同開発で日本の「ハンデ」を克服せよ

2017年12月18日(月)

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年末年始の特別企画として、日経ビジネスオンラインの人気連載陣や記者に、それぞれの専門分野について2018年を予測してもらいました。はたして2018年はどんな年になるのでしょうか?

(「2018年を読む」記事一覧はこちらから)

イージス装置一式を装備した海上自衛隊のこんごう型護衛艦「ちょうかい」(写真:井上 孝司)

軍事分野におけるトレンドの変化

 軍事分野では冷戦崩壊後、平和維持活動をはじめとするMOOTW(Military Operations Other Than War)、つまり「戦争以外の任務」が重視される傾向にあった。その後、2001年9月11日に米国で発生した同時多発テロ事件から後は、国際テロ組織や各種武装勢力といった、国家ではない各種の武装集団を対象とする「対テロ戦・不正規戦」を重視する傾向が続いていた。しかし、ここ数年ほどの間に、こうした流れに変化が生じてきている。

 1つのきっかけは、2014年に発生したロシアのクリミア併合と、その後に発生した欧米諸国とロシアの関係悪化。もう1つは、南シナ海の島嶼を対象とする領有権争いと中国の動向。中国が、すべての島嶼を自国の領土と主張した上に、人工島の造成や軍事施設の建設によって着々と既成事実を積み重ねているのは御存知の通りだ。

 そして、厳しい制裁措置にもかかわらず核開発や弾道ミサイル開発を続行して、「核抑止力の確立による体制維持」を目指す北朝鮮の問題については言うまでもない。

 こうした状況から、「国家の正規軍同士が武力衝突する事態」を想定する状況に、いくらかベクトルが戻りつつあるのではないか。すぐにヨーロッパやアジアで大規模な正規軍同士の衝突が起きる可能性は低いにしても、「紛争への備え」による抑止や示威を図る方向に進んでいるのは確かだ。

日本の防衛予算は「過去最高要求」となってはいるが...

  それでは、こうした状況は我が国にどういった影響をもたらしているか。冷戦崩壊後は防衛予算の削減傾向が続いていたが、第2次安倍政権が編成した2013年度(平成25年度)以降は増加に転じている(下のグラフ参照)。底となった2012年度(平成24年度)の4兆6500億円と比べると、2018年度(平成30年度)の概算要求金額は5兆219億円なので約4000億円増えている。しかし、グラフをよく見れば分かる通り、2000年代の水準に"回復"したに過ぎない。これが、もっとも見えやすい変化だ。何割、あるいは何倍といったオーダーで防衛費が増額する事態は考えられないが、小さいながらも無視はできない変化である。

防衛予算の推移
防衛省の資料を基に本誌作成。金額は歳出ベース(2018年度は概算要求)。SACO関係費、米軍再編関係経費のうち地元負担軽減分及び新たな政府専用機導入に伴う経費を除く

 また、日米安保体制だけでなく、他国との防衛交流・防衛協力の動きが進んでいるのも近年の特徴と言える。米国以外の国と合同訓練・合同演習を行う事例が増えているのは、その一例だ。

 そうした流れの延長線上に、「武器輸出三原則」に代わる「防衛装備移転三原則」の策定もある。期待されていたオーストラリア向けの潜水艦輸出は実現しなかったが、海上自衛隊の中古練習機をフィリピンに供与する話は実現した。このほか、2016年11月の半ばに日本経済新聞が「日本とイギリスによる空対空ミサイルの共同開発」について報じた。その後、12月14日の日英2+2会合の後でリリースされた声明には、「試作研究と発射試験を含む次の段階の作業を、早期に推進することへの期待を表明」という趣旨の記述が盛り込まれた。米国以外の国との間で装備品を共同開発するのは、以前には考えられなかった話である。

コメント8件コメント/レビュー

私の想像では日本の産業界は自信過剰です。
国産の装備が実戦でどれくらいのパフォーマンスを見せるのか不明である、という話はもうずいぶん昔からあっちこっちで目にしてきました。逆の例ではエグゾゼがシェフィールドを大破させた実績でフランス兵器のロングセラーになっています。
それを、オーストラリア向けの潜水艦じゃありませんが、買ってもらって当然といった態度で売れるわけがないです。むしろ、お願いですから使ってみてください、という風であるほうが自然なのではないでしょうか。
日本の産業界のみならず、政府や政治家、ひいては日本人全体が根拠のない自信を振り回しているのかもしれません。本文に使われている比喩でいえば、『いきなり「大リーグでプレイ」できる』と思っているのではないかと感じます。
民生分野になりますが、いつまでたっても飛ばないMRJも自信だけでは結局何もできないといういい例です。

筆者のお書きになった通り、防衛産業に対する意識と仕組みを根本的に変える必要があると思います。(2018/01/01 19:41)

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「防衛予算が5兆円超えても国内還元は少ない」の著者

井上 孝司

井上 孝司(いのうえ・こうじ)

テクニカルライター、軍事研究家

日本マイクロソフトを退職後、1999年にテクニカルライターとして独立。主に技術解説記事を手掛け、IT分野から鉄道・航空・軍事まで幅広くカバーしている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

私の想像では日本の産業界は自信過剰です。
国産の装備が実戦でどれくらいのパフォーマンスを見せるのか不明である、という話はもうずいぶん昔からあっちこっちで目にしてきました。逆の例ではエグゾゼがシェフィールドを大破させた実績でフランス兵器のロングセラーになっています。
それを、オーストラリア向けの潜水艦じゃありませんが、買ってもらって当然といった態度で売れるわけがないです。むしろ、お願いですから使ってみてください、という風であるほうが自然なのではないでしょうか。
日本の産業界のみならず、政府や政治家、ひいては日本人全体が根拠のない自信を振り回しているのかもしれません。本文に使われている比喩でいえば、『いきなり「大リーグでプレイ」できる』と思っているのではないかと感じます。
民生分野になりますが、いつまでたっても飛ばないMRJも自信だけでは結局何もできないといういい例です。

筆者のお書きになった通り、防衛産業に対する意識と仕組みを根本的に変える必要があると思います。(2018/01/01 19:41)

交戦経験無く、防衛のための軍備でありあえて国産化、更に輸出する必要あるのでしょうか
かつて大日本帝国は膨大な費用で軍艦、飛行機を開発し装備してきた結果、無茶な戦争に
突き進んだ。
防衛のための装備は実績のあるU.S.A製などを活用するのは悪い話ではない。
その中で、日本のハイテク技術を活用して貰い相殺できればこれに超したことないと思う。

この記事のレビュー参考になるは疑問を感じるし、長々とコメントされているのもマニアックに
感じる。(2017/12/22 00:00)

FMS輸入にイージスアショアも加わりますね。F-4の様に古くなって代替えが必要になった兵器に関しては別ですが、最近購入額が増えているのは官邸のご意向ですよ。オスプレイにしても最初1,2機買って運用評価してから部隊用を購入する流れを無視して一気買い。具体的な作戦や運用方法もまだ決めないうちから必要数もまだ分からないのに先走り。整備費用も膨大らしく既存のヘリの整備費用がオスプレイの整備費用で飛んでいくとか。お陰で陸自が頭を抱えている模様。イージスアショアにしても1基800億が1000億になり配備が終わる頃には2000億になっているでしょう。それもFMSのお陰で。なら自国開発でと言うとそんな技術も下積みもなく一から開発したら何十年と何兆円が飛んでいく事やら。元々3原則を撤廃した目的は共同開発や相互運用ですから。あと輸出は正に仰る通り。私は2015,2017とLIMAに行きましたが日本ブースは酷いもんでした。メーカは元よりご本家の防衛装備庁もパネルとビデオを流すだけ。説明員無しで現地コンパニオンが一人だけ。メーカは日本から社員を派遣していただけマシでした。国がやれと言うから渋々付き合った感満載。実績も無いし売る気もない。中国ブースなんて売る気満々でしたよ。どうしてもUS-2,C-2,P-1など売りたいなら機体は無料で供与、整備、パイロット、部隊運用のノウハウは自衛隊持ちで部隊毎派遣を政治力でゴリ押しするくらいでないと使ってもらえません。製造メーカにそこまでは無理でしょう。ついでにメンテ費用も持って上げて上げ膳据え膳で大赤字を出すのを前提にしないと見向きもしないでしょう。US-2だけは特殊ですが、小型飛行艇ならカナダにもあるしロシアはジェットだしどうしてもUS-2でないと代わりがなく欲しくて仕方ない所だけが興味を持つ位。インドはそもそも輸入ではなく格安でライセンス生産させてくれないと使わないでしょうね。つまり防衛産業では日本に金は落ちないって事です。(2017/12/18 18:25)

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