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「五輪休戦」で金正恩の窮地を救う文在寅

「南北合作劇」に虚を突かれたトランプ

2018年1月8日(月)

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金正恩委員長は新年の辞で「平昌五輪に代表団派遣の用意がある。核のボタンは常に私の机の上にある」と発言した(写真:AP/アフロ)

前回から読む)

 韓国と北朝鮮は最後の賭けに出た。北朝鮮ののど元を締めあげる米国の剛腕を、南北合作の「五輪休戦」でふりほどく作戦だ。

中国の支持も獲得

1月9日午前10時から、南北朝鮮は閣僚級の会談を開き、北朝鮮の平昌(ピョンチャン)冬季五輪参加について話し合います。

鈴置:窮地に立った金正恩(キム・ジョンウン)委員長に、親北左派の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が助け舟を出したのです。

 文在寅政権は平昌五輪・パラリンピックに重なる時期――例年、3月初めごろから約2カ月間実施予定の米韓合同演習を延期し、それをテコに北朝鮮を対話に引き出す構想を温めていました(「平昌五輪『選手団派遣は未定』と言い出した米国」参照)。

 平昌五輪・パラリンピックの期間中、米韓軍事演習も実施されず、北朝鮮の妨害活動も核・ミサイル実験も行われない――つまり「五輪休戦」を韓国の手で実現することで外交の主導権を握る、との目論見です。

 中国の支持も得られると読んでいました。かねてから中国は米韓合同軍事演習の中断と、北朝鮮の核・ミサイル実験の中断を取引し、これをきっかけに米朝が対話に入る「双中断」を主張していました。

 「五輪休戦」は五輪を名分にして、結果的に「双中断」を実現することになります(「『約束を守れ』と韓国の胸倉をつかんだ中国」参照)。そのため中国は、今回の南北会談が決まると直ちに「事実上の双中断である」と歓迎しました。

 文在寅政権は政権維持のためにも「五輪休戦」を実現する必要に迫られていました。韓国民の間には、自分たちの運命を決する北朝鮮の核問題を米中と北朝鮮が仕切り、韓国は疎外されているとの不満が高まっていたからです。

●文在寅政権の「反米・親北・従中」
2017年4月13日 文在寅氏、大統領選挙の討論会で「(米国が先制攻撃を準備する場合)北朝鮮にホットラインを通じて直ちに連絡し、挑発を中断するよう要請する」と発言
5月10日以降 「手続きが不透明」としてTHAADの追加配備を認めず
8月15日 文在寅大統領、「朝鮮半島での軍事行動は大韓民国の同意なくして誰もできない」と米国の先制攻撃に反対
9月21日 「時期は未定」としつつ、800万ドルの対北人道支援を発表
9月27日 国連総会第1委員会で、北朝鮮の非核化を念頭にした「核兵器廃絶決議案」に棄権
9月28日 文在寅大統領、「戦時作戦統制権を早期に米国から韓国に移す」と国軍の日の記念式典で演説
10月31日 「中韓合意」を発表。THAADの追加配備などを否定する「3NO」とTHAADに関する協議の実施を受け入れ
11月29日 文在寅大統領、北朝鮮のICBM発射直後に「米国が先制攻撃を念頭に置く状況にならぬよう防がねばならない」と発言、米国を牽制
12月14日 中韓首脳会談で「朝鮮半島の戦争は絶対に容認しない」などの「4大原則」に合意し、米国を牽制
12月19日 文在寅大統領、NBCに「平昌五輪期間中は合同演習を延期するよう米側に提案」
2018年1月2日 北朝鮮に五輪と南北関係改善を協議する高官級会談を提案
1月9日 南北高官級会談を実施へ

美女応援団で再び籠絡

 「五輪休戦」にかける政権の意図をはっきりと語っていた人がいます。大統領の本音を体現することから「影の外交部長官」と呼ばれる、文正仁(ムン・ジョンイン)統一外交安保特別補佐官です。

 2017年12月27日、国民日報のナム・ドヨン政治部長に、以下のように述べました。国民日報は大手キリスト教会の指導者が創設した保守系の中堅紙です。

  • 平昌を平和五輪にすることには2つの意味がある。1つは軍事的な衝突が起きないとの狭義の意味。もう1つは南北関係が改善し、北朝鮮と米国の対話も始まることで朝鮮半島に平和の機運が生まれるとの広義の意味だ。文在寅大統領は後者を望んでいると思う。

南北関係が改善したからと言って、米朝対話が始まるものでしょうか。

鈴置:文在寅政権は「南北関係が改善すれば、韓国民の間に米国主導の『第2次朝鮮戦争』への反対機運が高まる。すると米国も『非核化』要求を降ろして北と対話せざる得なくなる」と計算しているのです。

 平昌五輪・パラリンピックに南北が合同チームを作って参加したり、北朝鮮が「美女応援団」を送ってきたら、韓国の空気はかなり変わると思います。

 美人ぞろいのうえ、きさくで人間らしさを感じさせる「美女応援団」。2002年の釜山アジア競技大会で初登場し、韓国人の北朝鮮観を大きく変えました。

コメント70件コメント/レビュー

このごろの鈴置さんの挑戦半島レポートは、アナウンサーの質問に解説員がたんたんと回答する某局のニュース解説のように思えます。鈴置さはこのシリーズに疲れてしまったのでしょうか。
もっとも、平昌五輪に見る文在虎の親北路線についてもはやあれやこれや多面的な分析もないでしょうし、いわゆる従軍慰安婦問題の国家間合意についての韓国政府の声明には突き放すしかないわけですので、鈴置さんの独自の情報整理を必要としない。米国がどう出るかなどの予測を鈴置さんに求めるのも酷ということです。半島を巡る状況はシリーズ開始以来最も緊迫してので、鈴置さんも我々読者も事態を見守るしかないということでしょうか。。。(2018/01/15 12:56)

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「「五輪休戦」で金正恩の窮地を救う文在寅」の著者

鈴置 高史

鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

日本経済新聞社編集委員

1977年、日本経済新聞社に入社。ソウル特派員(87~92年)、香港特派員(99~2003年と06~08年)などを経て、04年から05年まで経済解説部長。02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

このごろの鈴置さんの挑戦半島レポートは、アナウンサーの質問に解説員がたんたんと回答する某局のニュース解説のように思えます。鈴置さはこのシリーズに疲れてしまったのでしょうか。
もっとも、平昌五輪に見る文在虎の親北路線についてもはやあれやこれや多面的な分析もないでしょうし、いわゆる従軍慰安婦問題の国家間合意についての韓国政府の声明には突き放すしかないわけですので、鈴置さんの独自の情報整理を必要としない。米国がどう出るかなどの予測を鈴置さんに求めるのも酷ということです。半島を巡る状況はシリーズ開始以来最も緊迫してので、鈴置さんも我々読者も事態を見守るしかないということでしょうか。。。(2018/01/15 12:56)

> 五輪と政治は切り離すべき。

本気で言っているのか?
政治と切り離された五輪なんて、過去にも一度もないのではないかと思うが。
なんせ、スポンサーは国だからね。

何で各国が五輪招致に必死になるのか、考えたこともないお花畑思想ですね。(2018/01/15 10:01)

>>米、核攻撃の基準緩和=新型巡航ミサイル開発も-中長期戦略草案・米メディア報道
 本記事は、「米国や同盟国の領土、インフラ等に攻撃を受けた場合、それが非核攻撃であったとしても、米国は核攻撃のオプションを選択できるようすることを検討している」という内容です。
 以前から鈴置氏が言っているように、「米国は北朝鮮を攻撃する場合に核を使うことを選択に入れた」ということです。(2018/01/14 14:47)

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