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FIFA元副会長も唱えた「韓国の核武装」

否定する朴槿恵、ほくそ笑む中国

2016年2月5日(金)

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 韓国で噴出する核武装論。それを黙って見つめる国がある。中国だ。

ベルギーほど重要でない韓国

前回は、核武装を唱える韓国保守の大物が「米国の核を日韓は共有すべきだ」と訴えた――という話で終わりました。

鈴置:親米保守の指導者の1人、趙甲済(チョ・カプチェ)氏が1月31日に「米国の核の傘は絵に描いた餅」(韓国語)で訴えました。

 「北の核廃棄」が難しいという現実の前で、いかにしたら韓国が核を持てるか考え抜いた末の意見でしょう。以下が前文です。

  • 米国の善意に(韓国人)5000万人の安全を託せない。欧州の5カ国のような「韓米日の核共有制度」を紹介する。

 本文では「核共有制度」(Nuclear Sharing)を欧州の例を引いて説明したうえ、韓国への導入も訴えました。ポイントを訳します。

  • NATO(北大西洋条約機構)に加盟するドイツ、イタリア、オランダ、トルコ、ベルギーの5カ国に、米国は200個前後の核爆弾を置いている。平時は米空軍が管理するが、戦時にはこれら5カ国と共同運営する。ドイツにある核兵器は独空軍の戦闘機やミサイルに搭載される。
  • 韓国は米国に以下のように提案せねばならない。「我々は米国の核の傘の約束に5000万人の安全を任せ、ひたすら待つわけにはいかない。韓国に米国の核兵器を再配置し、欧州5カ国とのような共同管理体制を作ろう。その核は韓米連合司令部のコントロール下に置き、韓国も核兵器を使用する過程に共同で参加できるようにしよう。韓国の安全はベルギーほど重要ではないというのか?」

緊急時には使える核

 なお、核抑止論が専門の矢野義昭・拓殖大学客員教授(元・陸将補)は「米国も今度は許す?韓国の核武装」で「核共有制度」について、旧・西ドイツを例に次のように説明しています。

  • 緊急時には米大統領の承認を得たのちに核兵器を譲り受けて使用する権利です。「核の引き金」は米大統領が握っているので真の「シェアリング」とは言えず、象徴的な権利に過ぎません。それでも西ドイツは、緊急時には核を使える可能性を確保したのです。

趙甲済氏はこの記事では日本の「核共有」にどう触れたのですか?

鈴置:触れたのは先ほど引用した前文だけで、本文では触れていません。NPT(核拡散防止条約)脱退と同様、日本と共同歩調をとった方が実現性が高いとの判断から「韓米日の核共有」としたのでしょう。

 趙甲済氏は日本人の核に対する強烈なアレルギーをよく知っています。だから、日本に共闘を呼び掛けるにしても「日韓同時の核武装」では実現性が薄い。米国の手持ちの核に日韓が一緒に乗る「核共有」なら可能性がある――と考えたと思います。

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「中国の尻馬」にしがみつく韓国

2015年9月3日、朴槿恵大統領は中国・天安門の壇上にいた。米国の反対を振り切り、抗日戦勝70周年記念式典に出席した。

10月16日、オバマ大統領は、南シナ海の軍事基地化を進める中国をともに非難するよう朴大統領に求め、南シナ海に駆逐艦を送った。が、韓国は対中批判を避け、洞ヶ峠を決め込んだ。韓国は中国の「尻馬」にしがみつき、生きることを決意したのだ。

そんな中で浮上した「核武装」論。北朝鮮の核保有に備えつつ、米国の傘に頼れなくなる現実が、彼らを追い立てる。

静かに軋み始めた朝鮮半島を眼前に、日本はどうすべきか。目まぐるしい世界の構造変化を見据え、針路を定める時を迎えた。

中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』『中国という蟻地獄に落ちた韓国』『「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国』『日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う』 『「三面楚歌」にようやく気づいた韓国』『「独り相撲」で転げ落ちた韓国』に続く待望のシリーズ第7弾。12月15日発行。

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「FIFA元副会長も唱えた「韓国の核武装」」の著者

鈴置 高史

鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

日本経済新聞社編集委員

1977年、日本経済新聞社に入社。ソウル特派員(87~92年)、香港特派員(99~2003年と06~08年)などを経て、04年から05年まで経済解説部長。02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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