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韓国を無視して「パンドラの箱」を開ける米国

「米朝平和協定」で米・中・朝が取引

2016年3月31日(木)

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米中は2月23日の外相会談で「米朝平和協定」も話し合う6カ国協議の開催に合意した。韓国は寝耳に水だったようだ(写真:AP/アフロ)

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 米国、中国と北朝鮮が「米朝平和協定」の締結を模索する。韓国は蚊帳の外だ。

激変する日本の安保環境

鈴置:朝鮮戦争(1950―1953年)に正式に終止符を打つ「平和協定」。これをテーマに米国と北朝鮮が話し合う可能性が出てきました。

 米朝がこの協定を結んで国交を樹立すれば朝鮮半島は、少しは安定するかもしれません。逆に、より不安定になるかもしれません。在韓米軍の削減・撤収につながるでしょうから(「朴槿恵外交は『暴走』から『迷走』へ」参照)。

 いずれにせよ、日本を取り巻く安全保障の環境が大きく変わります。動きを注視する必要があります。米朝平和協定は東アジアにとって「パンドラの箱」なのです。

韓国には参加資格がない

韓国は平和協定に参加しないのですか。

鈴置:そこが微妙な点です。1953年に結んだ休戦協定により、朝鮮戦争は「中断」しました。協定に署名したのは米国と、中国・北朝鮮です。当時の李承晩(イ・スンマン)大統領があくまで統一を求め休戦に反対したため、韓国は署名に加わらなかったのです。

 北朝鮮は、一時的な休戦協定を恒久的な平和協定に置き換えることで地域の安定を増そう、とかねてから唱えてきました。米国との関係改善や在韓米軍の撤収が狙いです。

 実は「韓国に対する嫌がらせ」も北朝鮮の目的の1つなのです。「韓国は休戦協定に署名していないので、平和協定を議論する資格はない」と、交渉の場から排除できるからです。

 とは言っても現実には、韓国軍も北朝鮮軍と対峙しています。米朝だけが平和協定を結んでも実効性がありません。議論に韓国が加わるかは、駆け引きの材料として使われていくのでしょう。

乱れる米韓の足並み

今回、韓国はどう対応しているのですか?

鈴置:動きがとれないでいます。そもそも当事者というのに韓国は、平和協定を交渉のテーブルに載せる動きを米国からちゃんと知らされていなかったフシがあります。

 2015年9月に中国が開いた天安門での軍事パレードに朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が参加しました。それ以来、米国は韓国に肝心なことを教えてくれなくなった――と言う韓国の記者もいます。

 平和協定を巡る論議が韓国の“弱点”であることは米国も分かっています。だから、これまでは北朝鮮の誘いに安易に乗ることはなかった。

 特に、北朝鮮の核開発が問題になって以降は「北が核で何らかの譲歩を示して初めて平和協定を議論する」ことで米韓は足並みを揃えてきました。それが乱れ始めたのです。

 北の核問題が深刻になったため、対北政策に関しては米国は中国への依存を増しています。当然、韓国の意見には耳を貸さなくなります。

 韓国人は「米中が何か密約を結んだのではないか」「韓国は米国から裏切られるのではないか」と疑心暗鬼に陥りました。メディアにも、そんな心情を吐露する記事が載るようになりました。

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「韓国を無視して「パンドラの箱」を開ける米国」の著者

鈴置 高史

鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

日本経済新聞社編集委員

1977年、日本経済新聞社に入社。ソウル特派員(87~92年)、香港特派員(99~2003年と06~08年)などを経て、04年から05年まで経済解説部長。02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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