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米中の狭間で「フリーズ」する韓国

木村幹教授に朴槿恵外交の行方を聞く(2)

2016年5月2日(月)

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4月11日、G7外相会合に出席したケリー米国務長官が広島で会見。朝鮮半島の非核化と引き換えに「平和条約」「不可侵協定」を話し合えると言及した(写真:ロイター/アフロ)

前回から読む)

 「韓国は米中間で固まってしまった」――。木村幹・神戸大学大学院教授に朴槿恵(パク・クンヘ)外交の行方を聞いた(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。

対立の「ローカル化」

前回、米国は韓国に「中国側には行くなよ」とだけ申し渡したとのことでしたが、米国は中国と対立の度を深めています。そんな手ぬるいことでいいのですか?

鈴置:南シナ海で米中は激しく対立し、出口が見えません。でも、朝鮮半島では「協力して問題を解決すべきだ」との確固たる共通認識が両国にはあります。

木村:朝鮮半島の対立の構造は冷戦期と比べ大きく変わりました。30年前までは韓国を米国と日本が応援し、北朝鮮をソ連と中国が支えていた。

木村幹(きむら・かん)
神戸大学大学院・国際協力研究科教授、法学博士(京都大学)。1966年大阪府生まれ、京都大学大学院法学研究科博士前期課程修了。専攻は比較政治学、朝鮮半島地域研究。政治的指導者の人物像や時代状況から韓国という国と韓国人を読み解いて見せる。受賞作は『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(ミネルヴァ書房、第13回アジア・太平洋賞特別賞受賞)と『韓国における「権威主義的」体制の成立』(同、第25回サントリー学芸賞受賞)。一般向け書籍に『朝鮮半島をどう見るか』(集英社新書)、『韓国現代史』(中公新書)がある。最新作の『日韓歴史認識問題とは何か』(ミネルヴァ書房)で第16回 読売・吉野作造賞を受賞した。ホームページはこちら

 でもそれは朝鮮半島が重要だったからではありません。朝鮮半島が冷戦期に存在した数多くの「前線」の1つであり、その状況が他のより重要な「前線」に直接影響を及ぼしかねなかったからです。

 しかし今の朝鮮半島の最大の問題は、核武装を目指す困った国が1つあることであり、しかもその国は孤立しています。

 周辺国はこの北朝鮮問題については基本的な認識を共有している。だから、朝鮮半島の事態の展開が、他の地域に波及する可能性は極めて小さい。

 北朝鮮という「冷戦の遺物」があるので、朝鮮半島は今でも大国間の対立の「前線」とのイメージで見られやすい。でも、米中は朝鮮半島で勝負するつもりはまったくない。現在の「前線」は朝鮮半島ではなく、「海」にあるのです。

半島では談合可能な米中

鈴置:もちろん米中の朝鮮半島に関する思惑は微妙に異なります。中国は、北朝鮮が第2次朝鮮戦争を始める引き金にならない限り、在韓米軍を撤収させたい。

 首都、北京の目と鼻の先に世界最強の軍隊が駐留するのは軍事的にも、威信の面からも面白くないからです。できれば米韓同盟を消滅させたいと考えているでしょう。

 米国も朝鮮半島への軍事的な関与を低めたい。ただ、米国の威信に傷が付くような「追い出される」格好での在韓米軍の削減・撤収は避けたい。

 思惑は微妙に異なります。が、180度対立するわけではない。交渉の仕方では妥協というか、談合が可能です。

 今、米中朝の3国が模索し始めたアイデア――6カ国協議を再開し「平和協定」と「非核化」を話し合う――は、まさに「米中がともに望む半島」に向け軌道を敷くものです(「交渉カードなき韓国は米中の『捨て駒』に」参照)。

朝鮮半島を巡る米、中朝のカード
米国 中国
THAAD配備留保 従来より強い対北朝鮮制裁容認
米韓合同軍事演習の中断と一部制裁の解除 北朝鮮の核・ミサイル実験の中断
米朝平和協定(不可侵協定)の締結
 ・米朝国交正常化
 ・在韓米地上軍撤収
 ・在韓米軍撤収
 ・米韓同盟廃棄
北朝鮮の核兵器廃棄
 ・核弾頭の増産中断
 ・弾頭再突入技術の開発中断
 ・弾頭小型化技術の開発中断
 ・保有核兵器の全廃
「朝鮮半島の非核化・中立化」の制度的保障
注)左右の項目は必ずしも連動しない

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「米中の狭間で「フリーズ」する韓国」の著者

鈴置 高史

鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

日本経済新聞社編集委員

1977年、日本経済新聞社に入社。ソウル特派員(87~92年)、香港特派員(99~2003年と06~08年)などを経て、04年から05年まで経済解説部長。02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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ジェンスン・フアン エヌビディア創設者兼CEO(最高経営責任者)