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米朝首脳会談、6月12日にシンガポールで開催

「北の核」は対話で解決か、戦争を呼ぶのか

2018年5月11日(金)

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核保有を主張する金正恩

シナリオ①つまり、北朝鮮が即、核を手放す可能性は全くないのですか。

鈴置:金正恩委員長にそんな気はさらさらありません。4月20日、朝鮮労働党は核武装を宣言したうえ、米国にそれを認めろと要求しました。

 核とICBM(大陸間弾道弾)の実験を中止し、核実験場は廃棄するとも発表したので、北朝鮮が改心して核を捨てる気になったかと勘違いする人も出ました。

 しかし、それらはすべて世界を欺く平和攻勢です(「しょせんは米中の掌で踊る南北朝鮮」参照)。

 4月27日の南北首脳会談も同様です。この際に署名した「板門店宣言」で「非核化は南北共同の目標」とうたいました。が、その狙いは「非核化」を米国との取引材料に使って、米韓同盟を揺さぶることでした(「『民族の祭典』に酔いしれた韓国人」)。

 北朝鮮は核を手放さずにいかに米国の空爆を防ぐか、に心血を注いでいるのです。

●北朝鮮の非核化を巡る動き(2018年)
1月1日金正恩「平昌五輪に参加する」
1月4日米韓、合同軍事演習の延期決定
2月8日北朝鮮、建軍節の軍事パレード
2月9日北朝鮮、平昌五輪に選手団派遣
3月5日韓国、南北首脳会談開催を発表
3月8日トランプ、米朝首脳会談を受諾
3月25―28日金正恩訪中、習近平と会談
4月1日頃ポンペオ訪朝、金正恩と会談
4月17―18日日米首脳会談
4月21日北朝鮮、核・ミサイル実験の中断と核実験場廃棄を表明
4月27日南北首脳会談
5月4日日中と中韓で首脳の電話協議
5月7-8日金正恩、大連で習近平と会談
5月8日米中首脳、電話協議
  トランプ、イラン核合意から離脱を表明
5月9日ポンペオ訪朝、抑留中の3人の米国人を連れ戻す
  日中韓首脳会談
  米韓首脳、電話協議
5月10日日米首脳、電話協議
5月22日米韓首脳会談
6月12日史上初の米朝首脳会談、シンガポールで
「米朝」の後、習近平訪朝か

南北のスクラムを誇示

 北朝鮮の本音は日ごとに露骨になっています。5月6日配信の朝鮮中央通信「朝鮮外務省代弁人 朝鮮に対する圧迫度合いを高めている米国に警告」(日本語版)は以下のように通告しました。

・米国はわれわれが核を完全に放棄する時まで制裁・圧迫を緩めないと露骨に唱えて朝鮮半島に戦略資産を引き込み、反朝鮮「人権」騒動に熱を上げるなど、朝鮮半島情勢をまたもや緊張させようとしている。
・歴史的な北南首脳の対面と板門店宣言により、朝鮮半島情勢が平和と和解の方向へ進んでいる時、相手を意図的に刺激する行為はようやくもたらされた対話の雰囲気に水を差して情勢を原点に逆戻りさせようとする危険な企図にしか見られない。
・米国がわれわれの平和愛好的な意志を「軟弱さ」に誤って判断し、われわれに対する圧迫と軍事的威嚇を引き続き追求するなら、問題の解決に役に立たないであろう。

 ポイントは「米国は核を完全に放棄する時まで制裁・圧迫を緩めないと唱える」部分です。これはリビア方式による非核化を指します。そして、そんな「相手を意図的に刺激する行為」は「問題解決に役立たない」と北朝鮮は言っているのです。

 この「問題解決に役立たない」とは「米朝首脳会談をキャンセルするぞ」ということでしょう。「情勢を原点に逆戻りさせようとする危険な企図」と言っていることから分かります。北朝鮮は結局は「米朝」を受けたわけですが。

 自分ひとりが肩をそびやかしても効果は薄いとも判断したのでしょう。南北対話と板門店宣言に言及することで、南と結束して米国に当たる姿勢を見せたのです。

コメント69件コメント/レビュー

私が不思議に思うのは現在の朝鮮時局を語ってその後のことを語らぬ日本の報道機関の大局観のなさである。北朝鮮が中国の支配下に入れば日本は海峡ひとつ隔てて核保有国、軍事大国、さらに昔の中華帝国の再来をねらう中国という大国と向き合うのである。そのときに向けて日本政府ではどの様な準備を整えているのであろうか。日本国家の独立を保つにはお座なりな国際世論などというものがどれほど役に立たぬものであることは今から国民に教えこんでおく必要があるであろう。トランプの出現によって平和協定なぞいつでも一方的に破棄されるものであることを我我は知った。日本の知性はこれらを踏まえて五十年、百年後の日本国家の存続させうるべき教育を提起し、実施してゆかねばならぬとおもう。(2018/05/22 07:49)

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「米朝首脳会談、6月12日にシンガポールで開催」の著者

鈴置 高史

鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

韓国観察者

元日本経済新聞記者。1995~96年ハーバード大学日米関係プログラム研究員、2006年イースト・ウエスト・センター(ハワイ)ジェファーソン・プログラム・フェロー。02年度ボーン・上田記念国際記者賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

私が不思議に思うのは現在の朝鮮時局を語ってその後のことを語らぬ日本の報道機関の大局観のなさである。北朝鮮が中国の支配下に入れば日本は海峡ひとつ隔てて核保有国、軍事大国、さらに昔の中華帝国の再来をねらう中国という大国と向き合うのである。そのときに向けて日本政府ではどの様な準備を整えているのであろうか。日本国家の独立を保つにはお座なりな国際世論などというものがどれほど役に立たぬものであることは今から国民に教えこんでおく必要があるであろう。トランプの出現によって平和協定なぞいつでも一方的に破棄されるものであることを我我は知った。日本の知性はこれらを踏まえて五十年、百年後の日本国家の存続させうるべき教育を提起し、実施してゆかねばならぬとおもう。(2018/05/22 07:49)

シンガポールで合意できない場合は帰り道の命の保障はない。絶好の斬首作戦の機会。
(可能性2は現状維持、3は戦争。アメリカからするとどちらも面倒。)
だから、北は形式上合意する。無事帰国後、履行を渋る。
当然、アメリカは北がウソをつくことを前提として考えていると思う。
その対策でどんな手をアメリカは考えているのか、このコラムで書いてほしい。
会談直後に米軍の先遣隊が平壌入りしたり、上陸したりそういうやり取りはあると思う。
米軍を核施設に招くタイミングが焦点じゃないのか?(2018/05/18 12:42)

資本主義の恩恵を維持したい韓国人、夢見る南北統一主義者、南/北朝鮮絶対滅ぼすマン、アメリカ嫌い、社会主義者、タカ派民族主義者、自虐史観の虜囚、核アレルギー、現代日本の利権や階層を一度壊したい人etc. 人それぞれ、立場から来る「思想の立ち位置」がある。

赤化統一、資本主義化統一、二極体制維持、金王朝亡命、統一し中立国化、核ミサイル日本本土飛来とその結果(失敗/迎撃成功/着弾被害)による世界の変化etc. 人それぞれ、その思想からくる「あるべき理想」がある。

全ての事実が開示されているわけでもなく、開示済みの情報も全ては追いきれない。
たまたま、あるいは恣意的に情報を取捨し、ないところは都合よく想像し「あるべき理想」への誘導合戦。そりゃ着地点はバラバラになるし、視点が噛み合うわけもないですね。
現実の結果には何ら影響も及ぼさない場所で、自説を叫び論敵を叩く。非生産的といえば非生産的。
「(俺は嫌だが)こうなる未来しか見えない…」なんて悲観論も、輪をかけて非生産的。

とはいえ。そもそも記事自体が恣意的にならざるを得ないので、こうして異論を書け、それが目に留まるコメント欄という場所があるのは、ある意味公平で有意義なことだとは思います(さすがに極論は撥ねられるでしょうが……)。

いずれは訪れる現実。たとえそれが不安の的中・最悪の結果だったとしても、それまでの不安の希釈には役に立つので。(2018/05/15 11:03)

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